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【Shooto2021#06】激闘王の本音。後藤丈治戦へ、石橋佳大─02─「激闘でチヤホヤされてもダメ」

【写真】グラップリングでは冷静、熱くならない石橋(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、後藤丈治と対戦する石橋佳大のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

激闘王と呼ばれる石橋が試合で目指すのは、激闘しないことだった。意外な言葉が言聞かれたインタビュー前編に続き、後編では石橋が現状と後藤戦について語る。次の試合が激闘になるか、あるいは違う展開になるのか――そのカギは石橋が握っている。

<石橋佳大インタビューPart.01はコチラから>


――「正直、激闘はしたくない」とのことですが、激闘が続くと試合結果だけでなく、ダメージが溜まることも心配にならないですか。

「自分が昔より打たれ弱くなっていることは、僕自身が練習していて分かっています。練習でも試合でも、一発打たれると気持ちが上がってしまうことがあるんです。ファイターズ・ハイというんですかね」

――ファイターズ・ハイの状態になってから勝つ選手もいますよね。

「僕はダウンした試合でも、ダウンした後のほうが動きも良いこともあります。やる気スイッチが入るというか。でも、そこでエキサイティングしすぎないほうがいいんですよね。我慢して、むしろ試合を有利に運んでいる時こそ、行かない。攻めていけそうなところでも、無理には行かない。そこは、自分自身との戦いです」

――激闘の結果、ファンの記憶に残る試合になっていることは間違いありません。その一方で星を落とし、現在は世界ランキングからも落ちている現状については……。

「見ている人の記憶に残ってくれているのは、ありがたいです。でも選手の本質は、試合で勝って、ランキングに入って、ベルトを巻いて……ということじゃないですか。今は僕が試合をするというだけで、激闘を楽しみにしてくれる人がいる。でも、そうやってチヤホヤされていたんじゃダメだと思います」

――そんななかで、今の石橋選手にとってMMAを戦う目標は何なのでしょうか。

「修斗のランキングを見て、今の時点では『もっとランキングで上に行きたい』とか『ベルトを獲りたい』――ましてや、海外の大会に出たいとかっていう気持ちはないです。もしかしたら、強くなりたいという気持ちも、ないかもしれません」

――えっ……。

「今は、目の前にある試合に勝って次の試合へ――それだけを考えています。とにかく勝ちが欲しい、それだけです」

――分かりました。その次の試合は、後藤丈治選手と対戦します。まず後藤選手の印象を教えてください。

「後藤選手は打撃が中心のファイトスタイルで、しっかり打撃をやってきた正統派の選手だなって思います。今も強いし、これからどんどん強くなっていくでしょうね。彼の試合映像をしっかり見始めたのは、対戦が決まってからですけど、もしかしたら試合することもあるかなとは以前から思っていました」

――後藤選手といえば、やはり左ミドルを軸とした試合運びです。石橋選手にとって、後藤選手との相性はどうでしょうか。

「相性は悪くないと思っています。僕が組んでいって、後藤選手が組み合うのか、あるいは突き放して打撃戦を選ぶのか。彼の出方次第じゃないですかね。彼も組みの練習は十分やっていると思うので」

――石橋選手と後藤選手は、ともに藤井伸樹選手との対戦経験があります。石橋選手はアップダウンの激しい展開の末、試合時間残り10秒で藤井選手にKO負け。一方の後藤選手は、2R以降は藤井選手にテイクダウンとバックマウントを奪われ判定負けを喫しました。

「正直、僕が後藤選手に勝つなら、同じような展開になると思います。藤井選手の試合運びを参考にするというよりは、自分が得意なものを考えた時、一番近い展開が藤井選手と後藤選手の試合内容になるのかな、と」

――もちろん、後藤選手もそこは警戒してくるでしょうね。

「彼も藤井戦を経験して、自分の弱いところは鍛えてくるでしょう。僕にとっても難しい試合になるのは分かっています。そんななかで、自分が勝つ展開に持っていきたいですね」

――嫌な聞き方かもしれませんが、後藤選手の左ミドルや左ストレートを食らっても、エキサイトせず自分を制して戦うことはできるでしょうか。

「いやぁ、彼の打撃をモロに食らったら、自分のスイッチが入る前に試合が終わってしまいますよ。それだけ後藤選手の打撃は強い。だから相手の攻撃をもらう前に、しっかり自分の展開を作っていきたいです」

――現在、石橋選手は所属がDuroジムからZEEKジムに変わっていますよね。このZEEKジムについて教えてください。

「もともとDuroジムの支部だったんですけど、コロナ禍もあって経営の体制が変わるなかで、しっかりMMAの練習ができる環境として独立された形です。……うん、そうですね」

――……何か思うところがあるのでしょうか。

「えぇと……実は藤井戦が終わって、もういいかなと思った時もあるんです」

――それは、引退するという意味ですか。

「そうですね。でも、みんな大変ななかでZEEKジムという場所を作ってくれた。そこで自分がZEEKジム所属として何も残せないまま、引退していいのかなと思って。ZEEKジム所属として試合したい、そう思って出場したのが前回の論田戦だったんです」

――……。

「僕が試合に出るのは、自分が勝って気持ちよくなるための自己満足です。そんな自分でも試合で勝てば、ジムへの恩返しになるなら……って思います」

――分かりました。最後に、こういったインタビューだと締めとして「次も激闘を期待しています!」と言いたいところですが、今回は勝手が違いそうですね。

「あっ、それなら一つ言っていいですか」

――もちろん、お願いします。

「次の試合が決まってから、よく言われるんですよ。後藤選手は若くて強い選手だけど、石橋選手も頑張ってね、とか――完全に後藤選手ありきの試合だと思われていて。それがちょっと癇に障るので、試合に勝って言ってやりますから。『ポジションゼロ! ケージの中の主役は俺だ!』と」

■視聴方法(予定)
9月20日(月・祝)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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