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【LFA110】いつになくアウェイ感のなかで堀内佑馬、スプリットで敗れLFA暫定フライ級王座奪取ならず

【写真】減点があっても47-47が妥当と覆われたが、ケージサイドからだとジョンソンのジャブ、ストレートがより効果的だったのか(C)LFA

<LFA暫定フライ級王座決定戦/5分5R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
Def.2-1:49-45.48-46.47-48
堀内佑馬(日本)

まず右ローを蹴った堀内。さらに左ローを入れ、ジョンソンもカーフ気味の蹴りを入れる。左右のローで距離を詰める堀内が、鋭い右ローを蹴って圧を高める。カーフ、ローを左右で蹴る堀内が、左ハイを2度見せる。ジョンソンは前蹴り、スイッチしても足への攻撃を堀内が続ける。

蹴りだけでなく左ジャブを見せた堀内に対し、ジョンソンは前蹴りを腹、そして関節蹴りを見せる。左フックをかわされ、近い距離で組みもあると見せた堀内、ジョンソンは関節を蹴っていく。腹より下の蹴りのなかで、ジョンソンが左ジャブを当てる。蹴りからジャブという流れのジョンソンがノーガードへ。

堀内は距離を詰めず、次の局面で左フックから左ミドルを2発繰り出す。ローを蹴り合い、最後の30秒で左の直後に、右フックのダブルの2発目を当てられた堀内の腰が落ちる。それでも高い位置の蹴りを返すと、ワンツーフックで前へ。ローを連続した堀内だが、右フックの動きが止まり初回を落とした。

2R、スイッチするジョンソンが、スピードを上げて右前蹴りを突き刺す。早いジャブから前蹴り、キャッチしかけた堀内は前に出て右ストレート。ジョンソンはヒザ蹴りを入れるが、堀内の右ハイが顔面を捕らえる。直後の組みにはエルボーを見せながら離れたジョンソンが、右カーフを蹴る。堀内は再び右ハイを顔面に届かせる。

ジャブをはたいてペースを譲らない堀内が、左ジャブ。堀内は右目の周囲が腫れているか。引き続きジャブをはたいてローを蹴った堀内に対し、ジョンソンはケージを背負う。ジャンプして右の蹴りを掴んだジョンソンだが、堀内はすぐに足を引き抜く。と、前蹴りが急所に入ったとジョンソンがアピール。なんと、この急所蹴りにレフェリーがペナルティを与えたような仕草を見せる。

再開後、思い切って前に出る堀内が右ハイ、ジョンソンがジャブを放つ。堀内は右ミドルから左ロー、さらに左ジャブ──本来なら10‐9で堀内だが、減点があるかどうかが気になるところだ。

3R、まず左フックから左右の蹴りにつなげた堀内が、打撃戦のなかでテイクダウンを狙って組み付く。ジョンソンの首相撲に離れた堀内がボディを入れる。右ボディを織り交ぜ、ステップインをしてボディフックを打ち込む。堀内は左ジャブ、右ボディ、右ハイと手数でもリードする。右ボディが確実に腹を捕らえ、ワンツーで左フックをヒットと堀内がペースを握ったか。

ジャブの差し合いにも左ミドル、ジャブの堀内に対し、ジョンソンは蹴り主体でパンチの堀内の間だ。ジョンソンの踏み込みに右を入れた堀内は右をかわして足払い、崩してパンチをまとめる。右ストレートを2発、そして3発、4発と重ねる。ワンツー、引き続き右ストレートを打ち込んだ堀内が絶対的に流れを掴む。

ジョンソンが左ジャブ、これを気つけたい堀内。前蹴りでリズムを変え、足を蹴る。ジョンソンも右ストレート、左フックを返し、前蹴りへ。押し切れられないジョンソンだが、ここは堀内のラウンドだ。

4R、堀内が右フックから、ローの連打。ジャブの数も多く、右ボディフックを入れワンツーで顔面を打ち抜く。ガードを固めたジョンソンに対し、ペースを緩めない堀内は右フック、さらに左右のワンツーフックから右ストレートを決める。完全に顔を覆うジョンソンに対し、右ボディフックを入れた堀内がガードの隙間から右ストレートを打ち込む。

ボディ、顔面をいいように打つ堀内が、ジョンソンの左を察知する。ここで前蹴り、アイポークがあったとアピールし「シット」と声を出すジョンソンだが、これは時間稼ぎの機会を与えてしまったか。残り2分で再開となり、ワンツーを堀内が見せる。ジョンソンもガードを固めるのを止め、縦ヒジから左ジャブを放つ。

前蹴りをボディに受けて、「ア~」と声を挙げたジョンソンが、組んで時間を稼ぐ。離れた堀内は左を被弾、ジョンソンはここでクリンチへ。離れてパンチをまとめ、三日月を蹴った堀内は、組んできたジョンソンをボディロックで捕らえて即離れる。左ローを連続し、左ミドル、右の相打ちから左ハイとこの回も堀内が取った。

ここまで3Rと4Rは堀内、2Rに減点があったとしても9‐9でイーブン。そして初回が10‐9でジョンソン、つまり1Pをリードしているのは堀内だ。そんな計算も関係なく、ラウンドを取りに行く堀内の右ボディでジョンソンの動きが止まる。ジョンソンはそれでも左ジャブ、左ストレートを伸ばす。

対して、絶対に下がらない堀内は左フックを打たれても、組んで小外、すぐに離れる。ジョンソンは左ハイ、パンチをまとめて前に出る堀内から離れたジョンソンが足を滑らせる。左ミドル、右ボディと腹を攻める堀内はジャブを被弾し、左フックを受ける。堀内は左を受ける数が増え、右も当てられる。残り1分、左ミドルを繰り出した堀内が左ジャブを差し合い、手数でも負けない。気持ちで絶対に負けない堀内は、ジョンソンの横回転からの右ハイをかわして前蹴りへ。ミドルの蹴り合いから、前蹴りと最後まで攻撃する意思を見せた堀内は、タイムアップ直後のジョンソンのハグを拒否した。

5Rはジョンソンが取ったが、ここでやはり気になるのは2Rの減点の有無だ。レフェリングに最近になくアウェイ感が出た一戦の勝敗の行方は、ジャッジの手に委ねられることに。

まず最初のジャッジは49‐45でジョンソン、2人目は48‐46で堀内、3人目は48‐46でジョンソンに。堀内には2Rに減点があった模様だが、結果としてそこがなくとも2‐1で敗れていた形だ。3Rと4Rですら堀内のラウンドとならない……何とも悔しい敗北となった。

新LFA暫定フライ級王者ジョンソンは「悔しい。自分の力を見せることができなかった。試合は勝ったと思うけど、実力通りの試合ができなかった。リードジャブで自分の距離を創って、4Rと5Rを睨んで戦ったんだ。ガードを固めた? 彼はずっと同じコンビネーションだったから。彼は自分の負けを認めたくないだろうけど、僕が勝っていた」という旨の話をした。

この裁定に関して、コリン・オーヤマ・コーチは試合直後に「待ち過ぎだ」と中部地方在住の日本の知人にメッセージを送ったという。このような戦いを見せてなお、師から待ち過ぎと指摘される──なんと高い山に堀内は登ろうとしているのか……。ただし敗れたしたとしても、堀内佑馬はその頂へ向け──確かな足跡を見せたのは絶対だ。


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