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【DEEP JEWELS33】仕切り直しのプロ初陣&初勝利、総斗會三村道場所属・竹林エル「1試合、1試合……」

【写真】打撃のなかで、テイクダウンにごく自然と対応できているのは──現時点でもセンスと日々の努力の融合と思われた (C)MMAPLANET

20日(日)に行われたDEEP JEWELS33で竹林エルが音波を破り、仕切り直しのMMA初陣で判定勝ちを収めた。

総斗會三村代表と竹林。三村代表は三軒茶屋のゴリラビルにあった時代のスーパータイガージムから、木口道場で練習をしていた日本総合格闘技の第一世代。1998年に福井に総斗會を開いた

年末のRIZINでは計量オーバーの相手と戦い、腕十字で敗れるもノーコンテストに。仕切り直しのMMAデビュー戦で、キャリア4勝2敗でアトム級GPに出場予定だった音波を相手に、下馬評を覆す判定勝ちを収めた。

テイクダウンに対応した鋭い打撃の持ち主、福井からやってきた高校3年生のプロMMAファイターに試合後、所属する総斗會の三村光輝代表と共に話を訊いた。


──正直、女子MMAへの知識が圧倒的に記者として欠けているのですが、竹林選手の動きを見て良い打撃を出す、そして組みに対処していることで、驚かされました。

竹林 ありがとうございます。

──知り合いの記者に、『この選手、どこの選手なんですか?』と尋ねると、『禅道会系の空手で活躍して、アマJEWELSで連勝して、RIZINにも出ていますよ』と説明を受けました。でもインターバルになり、セコンドを見ると『アレ、三村さんやないか!!』と

竹林 アハハハハ。

──『あぁ、総斗會所属なんだ。あの3人ぐらいでMMAの練習をしていた道場から、こんな選手が出てきたんだ』と嬉しくなった次第です。もう5年ぐらい前ですかね、総斗會の取材に行かせてもらったことがあって。

竹林 ハイ、そう聞きました。

三村 金沢まで北陸新幹線が開通した時に、福井に路面電車が見たいからってやってきて、ついでにジムの取材をしてくれたんだよ。

──それを言っちゃぁ……(苦笑)。でも、本当にアマチュアを含め、あれだけの少人数で練習していたことを凄く思い出してしまって。いつぐらいから総斗會で練習を?

竹林 高1の6月です。

三村 2年ぐらい経つんかな。

──まだ高校3年生なのですね。なぜ、総斗會でMMAを始めたのですか。

竹林 最初はMMAでなく空手をやっていました。空手を9年……実質10年ほどやっていて、空手の最後の大会に出て格闘技は辞めようと思ったけど、なんか楽しくなってMMAを続けることにしたんです。

三村 キッズで活躍していて、ウチに入ってきて高1の終わりに、最後に大会に出て思い出を創って辞めようとしていたんです。その時に私が、2カ月後にあったJEWELSのアマチュア大会に出てみないかと伝え、MMAの練習を始めました。

──三村代表から見て、彼女にはキラリと光るモノがあったのでしょうか。

竹林 フフフフ。

三村 いやぁ、なかったです。打撃に関しては、空手なりの基本はできていましたけど、テイクダウンも関節技も寝技も分からない。そこは練習せずに空手の大会に出ていただけで。それでもウチに来るようになり、グラップリングとか色々なクラスには出ていたんです。

華奢に見えるのですが、力は強いんです。だから自力があるといえば、あったのかもしれないです。

──空手から組み技の練習をするようになって、どのように感じましたか。

竹林 楽しいけど、難しいです。

三村 アマチュアJEWELSで3連勝して、勝っていたから面白かったんだと思います。

──総斗會では女子の練習相手はいるのですか。

竹林 女の子はいないです。

──あのう……自分が取材に行かせていただき、その後もチョモランマ1/2選手の試合などで総斗會の方をお見掛けすると、個性的な方がおられて……。

竹林 〇田さん? おじさんですよね? あのモヒカンの。

──あの時はモヒカンではなったですけど、三上(洋祐)さんとFBで繋がっていて、モヒカンになっているのを見ました。

竹林 アハハハハ。〇田さんですね。よく〇田さんとはスパーしています。

三村 もう〇田は、竹林にボコられています(笑)。

──なるほど(笑)。RIZINでは対戦相手の体重オーバーで試合をした結果NCという形になり、今回が仕切り直しのプロデビューでした。そして、周囲の声は音波選手に注目が集まっていた試合で、格上の相手に判定勝ちながらしっかりと勝てました。

竹林 格上、格下は全然気にせんけど、ただただ自分が緊張していました。勝てたことは嬉しいでのですが、自分がやってきたことは全部は出せていないし、そこはちょっと悔しいです。

三村 全然、動きは悪かったです。

──えぇ、そうなのですか。確かに腕十字の対処はそんな感じでしたが、打撃は良かったように見えましたが……。

三村 いやぁ、本来はもっと動ける子ではあります。

──〇田さんをボコるぐらい戦いたかったですか(笑)。

竹林 〇田さんとやっているときぐらい、動きたかったです(笑)。

三村 僕のなかでは、もっと圧倒して勝ってほしかったですね。それだけの力はあるので。

──現時点でMMAファイターとしての目標はどのように考えていますか。

竹林 何も決めていないです。取りあえずは1戦、1戦こなしていくことです。いつも会長が試合のたんびに目標というか、ミッションのようなモノを創ってくれます。だから、それをこなしていきながら勝っていきたいです。

三村 正直に言えば、目標なんてないんですよ(笑)。本当にないです。選手のことも、高島さんの女子格闘技ぐらい知らない(笑)。

──そうなのですか!!

竹林 ハイ、ホントに知らなくて(笑)。誰と試合をしたいと聞かれても、分からないです。

──そんな竹林選手を三村代表はどのように育てていきたいと考えているのでしょうか。

三村 そうですねぇ。本当に欲がない子なんです。誰のようになりたいとか、MMAに興味を持って始めた子ではないので、そこは任せたいです。まだデビュー戦に勝っただけですし、勝ち負け関係なく経験は積ませたいですね。ポテンシャルはあるので。

──そういう風に先生に言ってもらいましたが。

竹林 ねぇ……(笑)。

三村 お菓子も食べたい年ごろで、減量も嫌がりますからね。

──可能性のある選手を見ていると、女子MMAも楽しくなってくるので、ぜひとももっと楽しませてください。

竹林 ハイ、頑張ります。ありがとうございます。

三村 練習は本当によくやっています。週に7日やっていますから、その点においては私も真剣に指導をしたくなる。そういうモノは持っています。

──また、強くなって福井で取材できる日を楽しみにしています。

三村 新幹線の開通は1年延びましたが、また路面電車を見るついでで構いませんのですが、道場に来てください(笑)。

──言い方……。ただ、本当に福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れが見られる田原町駅が日本で一番好きな駅なんですよね。

竹林 本当ですか(笑)。ちょっと分からないですけど、田原町は自分の学校の近くですよ(笑)。

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