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【UFN189】ポンジニビョと対戦、距離のサイエンティスト=ミゲール・バエサ「初回で距離を見極める」

【写真】MMAにはフィジカル、気持ち、そしてスマートさが欠かせないことがバエサの言葉でも再認識された(C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN189:UFN on ESPN+47「Rozenstruik vs Sakai」が開催される。ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク✖アウグスト・サカイのヘビー級ストライカー対決がメインの今大会。そのメインカード・オープニングの一番で、ミゲール・バエサがサンチアゴ・ポンジニビョと対戦する。

バエサといえば昨年11月に佐藤天と対戦し、2R4分28秒で肩固めを極めて一本勝ちしたことで日本のファンにも名が知られた存在だ。佐藤戦の勝利でMMA戦績を10勝0敗、UFCでも3連勝を達成しているバエサは、ヘクター・アルビナをカーフでKOし、マット・ブラウンには左のカウンターを決め、優れた距離とタイミングの取り方を披露してきた。

ポンジニビョというブルファイターを相手に、バエサはどのようなファイトを魅せるのか。「対戦相手を研究し、距離をセットすることで練習してきた技を存分に使うことができる」──ファイターというよりも、距離のサイエンティストと言うべき言葉からも、バエサがUFCウェルター級で結果を残し続けている片鱗を伺うことができるインタビューとなった。


──サンチアゴ・ポンジニビョとの対戦が土曜に迫ってきました。調子の方はいかがですか。

「サンチアゴ戦に向けて、数週間しっかりと作戦も立ててきたし準備は出来ているよ。土曜日は僕の試合になるだろう」

──ミゲールは昨年11月に佐藤天選手を破ったことで日本でもその実力が知られています。

「あの時は最初はタカシと僕は試合をする予定でなくて、ミッキー・ガルと戦うはずが、欠場になりジェレマイア・ウォレスと戦うことになった。でも、その選手も欠場になって、1カ月ぐらいに前にタカシ・サトーが対戦相手になったんだ。

その前の試合で短時間でKO勝ちをしていることが、頭に残っている選手だった。でも、その試合だけじゃ彼のことが分からないからパンクラス時代から彼のファイトをチェックしたんだ。そして彼がどういう選手か理解を深めた。結果、常にパンチを出し、蹴りも交えて距離を取ることを決めた。

テイクダウン後に彼がどういう動きをするかを頭に入れて戦ったよ。僕のトレーナーは高い柔道のスキルを持っていて、タカシが柔道時代の習慣かテイクダウン後の攻防になると背中を見せることを見抜いていた。実際に試合ではまさにその展開になって、しっかりと練習してきたことを出せた」

──佐藤選手が前に出てくるのを誘っているような動きが印象に残っています。そこでオーバーハンドやライトクロスを打ち、また前進を止めるために蹴りも多用していました。

「それもしっかりとタカシの戦い方を頭に入れて、彼の距離とステップインのタイミングが分かっていたからだよ。MMAはボクシングとも、レスリングとも全く距離が違う。ボクシングはパンチの距離で戦う。MMAは当然のように蹴りもあるし、組みもある。

そういうなかで、対戦相手の得意な距離にならないよう自分のレンジで戦う。そこを見極めることができたから、タカシを相手にして自分のすべき戦いができたんだ。

MMAマスターズではコーチと一緒に、彼を丸裸にした。タカシのパワフルなパンチは、どの距離にあるときが最も威力を発揮するのかを見抜いていた。タカシのスピードを考えると、近い距離で向き合うよりも、離れて前に出てこさせる方が、その動きがずっと見えるんだ。そして蹴りを使うことで、仕留めるパンチを見えなくなくする。そのためにオーバーハンドのフェイクも使ったよ」

──そこまでしっかりと対戦相手の特性を見抜いてケージに入るので、サウスポーもオーソドックスも関係なく戦えるのでしょうか。

「そうだね、タカシと戦う時はそうできた。ただし、コンテンダーシリーズでヴィクトー・レイナと戦った時は、そうではなかったよ。1週間前に彼と戦うことが決まって、当初戦う相手とはまるでスタイルが違っていたからね。

だから戸惑ったことも確かだけど、自分の距離で戦うためにバックステップが必要なことは変わりないからね」

──その下がって、相手を誘ってのカウンターショットは見事です。マット・ブラウン戦では結果的に左フックで倒していますが、返しの右ストレートも打っていました。

「マット・ブラウンはオーソドックスだけど、しっかりとビデオを見て研究していればスタンス、前手がどちらかは関係なくカウンターを打ち込むことは可能だよ。だから試合ではだいたい、練習で準備したことがしっかり使えるように初回は相手の動きを観察するようにしている。どう動き、どう反応するか。それを最初の5分で確かめてから、自分のタイミングと距離をどうはめ込むかを決めるようにしている。ここからは、僕の判断だ。

そのために距離の取り方が、凄く重要になってくる。立ち上がりの5分間で、そこを見極めることができればファイトは僕のモノだから。距離を把握すれば、マット・ブラウンの拳、ヒザ、視線も鮮明に見えるようになる。すると彼が動くことで、その次の彼の動きが僕には読める。マット・ブラウンは自分で動いでカウンターの標的になってくれたんだよ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
6月6日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS

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