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【WNO08】ダナハー軍のニッキー・ライン&クレリンステンが、10thPlanet&ATOS勢と組技の宴

【写真】1年半前のADCCでは66キロ級でシェーン・ヒルテイラーに勝利のニッキー・ライアン。今回の試合は175ポンド契約、実に79.37キロだ!!(C)SATOSHI NARITA

30日(金・現地時間)、テキサス州オースチンのJWマリオットで、制限を設けた有観客大会として開催されるWNO 08。

純粋にプログラップリングイベントとしてプレリミアム感を醸し出し、注目のカードが数多く見られる同大会──ここではダナハー軍団と10thPlanet、ATOSの精鋭がぶつかる2試合の見所を紹介したい。
Text by Isamu Horiuchi


<ノーギ/15分1R>
ニッキー・ライアン(米国)
PJバーチ(米国)

現在世界最強のノーギグラップラー、ゴードン・ライアンを兄に持つニッキーは、現在19歳。ダナハー軍団らしくシッティングガードからの足関節を中心とした多彩な仕掛けを持つ。2018年にQUINTET 3 で所英男を、Polaris 8で今成正和をチョークで下し、日本のファンにもその実力を知らしめた。

また2019年のADCC世界大会では、1回戦で柔術世界王者シェーン・ヒルテイラーに僅差の勝利を挙げている(続く準々決勝でパウロ・ミヤオに惜敗)。

対するPJ・バーチは、ハイスクール&カレッジのレスリングを経験した後、ブギーマンことリッチー・マルチネスの道場で10th planet系の技術を身につけて頭角を現した。そして2018年のQUINTET03において、柔術レジェンドのヴィトー・シャオリン・ヒベイロから内回りでバックを奪い、腕十字で一本勝ち。世界を驚かせた。

今年に入ってからもジョン・コムズを内ヒールで仕留める等、高い極め力を誇るバーチ。だがこれまでダナハー軍相手には分が悪く、ゴードン・ライアンにはチョークで、オリバー・タザには内ヒール、そしてイサン・クレリンステンにはEBI式オーバータイムで敗れている。

バーチが所属する10th planet柔術の総帥エディ・ブラボーは、自らが創設したEBIで大活躍したダナハー軍の足関節を中心としたシステムを常に絶賛。徹底的に研究した上で自らの技術体系に取り入れていることを認めている。当然その打倒法の探究にも余念がないはずだ。今回バーチは、どのような方法で精緻きわまりなく──かつ急激に大きくなっているニッキーのシッティングガードに対抗するのだろうか見ものだ。

<ノーギ/15分1R>
イサン・クレリンステン(カナダ)
ケイド・ルオトロ(米国)

クレリンステンはカナダのモントリオール出身の27才。メガジムとして有名なトライスタージムにて名伯楽フィラス・ザハビの下で柔術を学び、やがてザハビの師匠であるダナハー門下に加わった。

2020年末に共に黒帯昇格したチームメイトのニッキー・ライアン同様、シッディングガードからの仕掛けを中心に試合を組み立てる技師だ。

対する18歳のケイド・ルオトロは、双子の兄弟であるタイとともに幼少時から注目を浴びていた次世代グラップラー。タイ同様にトップからダイナミックに動きノンストップにパスを仕掛け続ける戦いを身上とする。

この両者は昨年のWNO大会で一度当たっており、その時はしきりに下から足を絡めて足関節を狙うクレリンステンが、二度にわたってスイープからマウントを奪取する等、ポジション争いでも明らかに優位に立った。

が、判定では意外にも3人ともケイドを支持。サブミッションの仕掛けを最大重視するという指針のもとで、ケイドの下からのアームロック狙いや終盤に仕掛けたエスティマロックが評価された形となった。

当然のように多くの異論が出たこの判定を機に、WNOは判定基準を見直すことに。ポジションの優劣を評価に組み入れつつ、サブミッションは深く入ったもののみを大きく扱うという形に変更された上で、今回の再戦となる。

今回も「下攻めのクレリンステン対上攻めのケイド」という構図は変わらないだろう。前回苦戦を強いられたケイドが、絡んでくるクレリンステンの足をいかにさばいて突破してゆくかが見どころだ。

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