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【PFL2021#01】「パーマー✖ジェンキンスが流れを決める」ケージの賢人ケンフロに訊くPFL2021─02─

【写真】ケンフロがフェザー級で本命視する2連覇中のランス・パーマーは、23日に要注目──レスリングで敗れているバッバ・ジェンキンスと対戦する(C)PFL

23日(金・現地時間)にニュージャージー州アトランティックシティのオーシャン・カジノリゾート開幕するPFL2021#01。過去最高の面子が揃ってPFKの実況陣に加わったケニー・フロリアン・インタビュー第2弾。

ケージの賢人ケンフロが、注目するファイターは誰なのか。まずは開幕戦となるフェザー級とライト級、その他の階級について──見逃してはならないファイターの名前を挙げてもらった。

<ケニー・フロリアン・インタビューPart.01はコチラから>


──確かにマーシャルアーツは自身の身を守るモノ。競技になると攻撃性が評価されるなか、ここを根源にUFCはスタートを切りました。

「シーズン制を採用することで、図らずもファイターは身を守ることを頭において勝利を目指すことになる。そこは興味深いよね。年に2度か3度、いつ試合があるのか待ちの状態のケースが多いMMAにあって、先が見えるからこそ準備、調整力が問われることになる。そこがシーズン制と他のプロモーションの相違点だね」

──通常のフォーマットと、シーズン制のどちらがハードかはいえないですが、いずれにしてもハードです。

「それと米国のスポーツファンからすれば、プレーオフ制は非常に慣れ親しまれたフォーマットなんだ。NFL、NBA、MLBというメージャースポーツが用いている。

勿論ひいきのチームが存在するから、MMAという個人スポーツとは違うかもしれないけど、優勝への道程を追うことと、一つの試合ごとの結果を注視することが合わせ合っているのは同じだと思うんだ。そして、番狂わせなど予想できない展開をファンは楽しんでいる。結果、誰が勝ち残って世界チャンピオンになるのか。そういう見方ができるよね」

──解説者の立場として、全ての階級の戦いを盛り上げていく役目がありますが、それでもシーズン開幕戦を担うライト級とフェザー級は注目度が高いと思います。ケニー、あなたのフェイバリット・ファイターは誰になりますか。

「ライト級ではナタン・ショルチ、このブラジル人ツータイム・ワールドチャンピオンにまず注目している。

テクニカル的にも、メカニカル的にも優れウェルラウンダーで、なんといっても我慢強い。

そんな彼に対して、ファンが一押しのアンソニー・ペティスがタフなライバルになることは間違いないだろうね。今のアンソニーは再びやる気になり、ハングリーだ。この状態が彼の卓越した技術を引き出すだろう。

アンソニーはなぜUFCのチャンピオンになれたのか。チャンピオンになれる方法論を既に持っている。そして100万ドルという優勝賞金がモチベーションになり、彼をあの頃に戻していると思う。

フェザー級ではランス・パーマーが本命であることは間違いないよね。ランスは勝ち方が分かっている。彼の壁を崩すのは、全てのファイターにとって困難だ。あのレスリング力に加えて、試合をするたびに打撃が伸びているからね」

──大穴的に楽しみな選手はいますか。

「大穴というより対抗、本命に近い注目をしているのはバッバ・ジェンキンスだよ。

ジェンキンスはレスリングでパーマーに勝っている。MMAとレスリングは別モノだけど、そのレスリング力の高さがあるから、ランス・パーマーが想い描く試合ができないことも十分にありえる。いきなり2人が開幕戦で戦う、シーズンの行方を決定づけるファイトになるよ。

ライト級の大穴はジョニー・ケースだ(※家庭内暴力で逮捕され、インタビュー後にシーズンから撤退)。彼はきっと何かをしでかすよ。優勝できるかどうかは分からない。でも、注目が必要なことは確かだよ」

──他の階級で注目している選手は誰になりますか。

「ウェルター級で──ローリー・マクドナルドが参戦したことにより、世界王者のブラダボーイ(レイ・クーパー3世)への注目度が高まることは間違いないね。ブラドボーイはビーストだよ。

ローリー・マクドナルドのアドバンテージは経験値だ。UFCとBellatorでとてつもない相手と戦ってきた。彼らとしのぎを削り合ってきた技術力の高さは疑いようがない。

と同時にウェルター級に出場する選手たちは、全員がローリーをターゲットにしている。ローリーに勝つことを考えないでシーズンに挑むファイターはいない。だから彼は1試合、1試合が非常にハードなモノになるだろう。皆がローリーのネームバリューを奪い取りたいからね」

──ウェルター級は2018年にブラダボーイを破って世界一となったマゴメド・マゴメドカリモフもいます。

「マゴメドカリモフは絶対に見逃しちゃいけない。彼の活躍にはエメリヤーエンコ・ヒョードルを思い出してしまうんだよ。破壊力のあるパンチと、グラウンドコントロール。パウンドの強さ、ギロチンという極めも持っている。マゴメドカリモフに代表されるロシア人やダゲスタンのファイターは、シーズンを動かす力を持っているよ。それとウェルター級で僕が注目しているのは、サディボウ・シなんだ」

──2018年ベスト4のスウェーデン人ファイターですが、それは意外な選出です。

「シはロングレンジからの攻撃が得意なトリッキーなストライカーだ。ちょっとした動きが予測できないところがあるから、ハマれば強いと思うよ。それとヘビー級のファブリシオ・ヴェウドゥムという存在に触れないわけにはいけないだろう(笑)」

──既に43歳、最後のチャレンジで100万ドルを狙いにきた感があります。

「まぁ、どちらかといえば大穴かな。キャリアの終盤を迎えていることで、もう歳が行き過ぎて難しいという声も聞かれる。だけどヴェウドゥムの経験がモノをいうこともあるし、何より彼のスキルは今も健在だよ。

2019年ウィナーのアリ・イサエフの強さは疑うところはない。そんななかでヴェウドゥムが何かをやってのけることを期待している。と同時に、シーズン制を初めて戦うファイターは、既に経験している選手と比較すると不利な点は否めないよね。

だけどね、これがまたシーズン制の面白いところで僕も含め、皆の意見が途中で変わるんだ。当初、思っていたのと同じようにならないから」

──それでも女子ライト級はもうケイラ・ハリソンの独走が見えているような気がします。彼女は昨年Invicta FCでフェザー級まで体重を落としました。正直コンペティターの多いフェザー級の新設を望みました。

「ケイラはライト級だけでなくフェザー級でも、圧倒できるだろう。PFLはケイラとともに女子ライト級を開拓しているんだと思う。

リオ五輪金メダリストでWBA、IBF、WBC、WBOの統一世界ミドル王者、WBC&IBF世界王者のクラレッサ・シールズと契約した。フランスの五輪レスラーであるシンシア・ベスカンもPFL女子ライト級のロースターだ。彼女達には経験が必要で、今はケイラのライバルにはなり得ない。だからシーズン・プレイヤーでもない。今後のこの階級を考えての契約だろう。

だからケイラに関しては、誰とマッチアップするのかという部分が問題で。全員を破壊できるのが、今の彼女なんだ。ケイラ自身のためにも競い合いが必要になるけど、今それを期待できるのはフェザー級で実績を残してきた選手が、ライト級の体格にフィットして戦える場合──ということになるかな」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
4月24日(土・日本時間)
午前6時30分~Official Facebook

■PFL2021#01対戦カード

<ライト級/5分3R>
アンソニー・ペティス(米国)
カシアス・クレイ・コラード(米国)

<ライト級/5分5R>
ナタン・シュルチ(ブラジル)
マルチン・ヘルド(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
ラジャー・ストヤディノビッチ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ランス・パーマー(米国)
バッバ・ジェンキンス(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブレンダン・ラウネーン(英国)
シェイヤン・モラエス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジョイルトン・ラターバッバ(ドイツ)
ハウシュ・マンフィオ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アクメト・アリエフ(ロシア)
ミハイル・オジンツォフ(ベラルーシ)

<フェザー級/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
アントニー・ディジー(フランス)
<フェザー級/5分3R>
チョ・ソンビン(韓国)
タイラー・ダイヤモンド(米国)

<ライト級/5分3R>
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)
アレックス・マルチネス(パラグアイ)

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