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【Bu et Sports de combat】UFC ESPN22でロマノフと対戦、民族レスリング王フアン・エスピーノ

【写真】Zoom越しではあるが、16年振りの対面となった (C)MMAPLANET

17日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC on ESPN22「Whittaker vs Gastelum」が開催される。

同大会にはTUF28ヘビー級優勝のフアン・エスピーノが出場してモルドバのアレクサンドル・ロマノフと対戦する。40歳のスペイン人ファイター、いやルチャドールは他に比肩する者がいない格闘家人生を送っている。

スペインはグラン・カナリア出身の彼は、カナリー相撲(ルチャ・カナリア)のプロチームで活躍し、韓国のシルム、ブラジリアン柔術、グラップリング、英国のコーニッシュ・レスリング、フランスのグーレン、ウズベキスタンのクラッシュ、コンバットサンボ、そしてセネガルのセネガル相撲(ルッ・セネガリア)という数々の民族レスリングで活躍してきた。

その経験がどこまで生きるのか不明だが、TUFで優勝するまでのMMAファイターとして活躍している。土曜日の試合を前にしてZoomでエスピーノのインタビューを敢行し、民族レスリング王のルチャドール人生を振り返ってもらった。


──インタビューを受けていただき、ありがとうございます。

「僕は英語がそれほど得意じゃないけど、ベストを尽くして話すよ」

──重ねてありがとうございます。実は私は2005年のムンジアルで、フアンの紫帯ペサディシモ級で優勝した時を取材しているんです。そのと際、カナリア相撲のCDをフアンからもらったことがありました。

「おぉ、そうだったのかい。実は今回、僕と以前に会ったことがある記者からインタビューの依頼があると聞いていて、てっきり韓国の誰かだと思っていたんだ。僕はムンジアルで優勝する前に、韓国を訪れたことがあったから」

──アハハ、そうったのですね。あれから15年近くが経過た時、TUF28でフアンの名前を発見して、『あのムンジアルで優勝したカナリー相撲出身の選手か!』と大興奮したんです。彼がUFCに出ているのか──と。

「ホント、クレイジーな話だよ(笑)」

──フアンは2005年の時点でカナリー相撲、シルム、そしてブラジリアン柔術の経験がありました。それからの軌跡を追ってみたのですが、驚くべきことにUWW(世界レスリング連合=旧FILA)主催のグラップリング世界選手権で優勝、それ以外にもコーニッシュレスリング、グーレン、クラッシュ、コンバットサンボ、セネガル相撲と非常に多くの民族レスリングで活躍してきました。

「僕は民族レスリングが大好きなんだ。色々な国で戦ってきた。でも、僕自身がどこで戦ってきたか正確に把握できなくなっているのに、よくそれだけ調べることができたね」

──それにしても、ここまであらゆる民族レスリングを実際に戦ってきた選手はフアン以外に存在しないのではないでしょうか。

「若い頃にルチャ・カナリアを始め、チーム戦のルチャ・カナリアのジムには柔道やサンボの経験者がいた。

サンボや柔道は僕らとは違う規律あるモノだと知った。そして、チームで最強のルタドールだったチアゴ・モラエスは、レスリングの練習のために米国を訪れたりしていたんだ。その時、色々な民族レスリングが存在するから、自分でもあらゆる試合に出てみたいと思うようになった。

そして地球の反対側の韓国にはルチャ・カナリアにめちゃくちゃ似た、シルムというレスリングが存在することを知ったんだ。

あの時、韓国に行かないといけないと感じた。それまでもルチャ・カナリアだけでなく、柔道や柔術のトレーニングをしたことはあった。でも、現地に行って練習や試合をしたのは韓国とシルムが初めてだった。そこからだね、僕の長い旅が始まったのは(笑)。

2カ月間、韓国でシルムのトレーニングをした。その時、風土や食事、習慣の違いを知った。カナリーでの練習は1日に1回、月曜日から水曜日まで。金曜日に試合があるから、木曜日は休むんだ。

それが韓国のシルム・レスラーは、1日に3度か4度も練習する。全く別世界だったよ。僕らのように毎週試合をするということではなかったけど、それにしもこんなに練習するのかって驚かされた。でも、全てが新鮮で気に入ったよ。シルムを経験し、次は柔術だって思ったんだ。でも、柔術の前に何かやっていたかもしれないな……。もう覚えていなんだ(笑)」

──アハハハ。

「とにかく目新しいレスリングを経験して、知識を得たかった。そうだ、韓国にいる時にモンゴル相撲(ブフ)の関係者にコンタクトを取ったんだ。でも試合に出ることはできなかった。トルコのオイルレスリング(ヤールギュレシ)も出たかったけど、叶わなかった。

今はUFCに集中しているから、民族レスリングに出ることは控えるようになったけど、英国やフランス、そしてウズベキスタンやセネガルで民族レスリングを経験してきた」

──セネガル相撲はパンチ有りで興味深いです。しかもレオ・ブロンという名称を得て、プロとして活躍していたと聞いています。パンチ有りの民族レスリングはMMAに役立つモノでしたか。

「レスリングだけをやってきた人間が、MMAを戦うようになるとまず打撃に慣れる必要があり、同時にそこが大きな問題になる。でも僕には皆無だった。それはルッ・セネガリアに出ていたからだ。

ルッ・セネガリアはまるで別物だぞって言われ、ならトライしてやろうと思ったんだ。確かにルッ・セネガリアが他のレスリングとは別物だった。

セネガルでのルッ・セネガリアの人気は絶大で。TVの視聴率は90パーセントや95パーセントにもなって、フットボール以上だ。セネガルの人にとって、欠かせない重要なモノだった。宗教も関係していて、呪術のような伝統的なお祈りの歌が歌われ、試合前には儀式もある。

ルッ・セネガリアはMMAに転じて成功するのに、凄く良い経験になった。ルッ・セネガリアからMMAに転向すると、その多くが成功するだろう。何といっても、あの注目の高さだよ。プロとして戦うことにも、慣れた」

──UFCで戦うために、そこも良い経験になっているのですね。

「確かにUFCファイターはラスベガスにやってくると、多くの人が認識している。

それでも、普通は半分やそこらだろう。セネガルではルッ・セネガリアの試合になると国の動きが止まるんだ。

あらゆるメディアが試合を報じ、街を歩けば誰もが僕の18ことを知っていた。本格的にMMAに転向するために、ルッ・セネガリアのキャリアを終えたけど、白人で活躍した唯一の選手だったし、宗教、呪術、ボクシング、凄く色々と学べた。ファイトとして違うだけでなく、存在感がまるで違っていたんだ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
4月18日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN22対戦カード

<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー(豪州)
ケルヴィン・ガステラム(米国)

<フェザー級/5分3R>
ドラッカー・クローズ(米国)
ジャレミー・スティーブンス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレ・オルロフスキー(ベラルーシ)
チェイス・シャーマン(米国)

<ミドル級/5分3R>
アブドゥル・ラザク(米国)
ジェイコブ・マルクーン(豪州)

<ライト級/5分3R>
ルイス・ペーニャ(米国)
アレックス・ムニョス(米国)

<フェザー級/5分3R>
ヒカルド・ラモス(ブラジル)
ビル・アレジオ(米国)

<女子フライ級/5分3R>
トレイシー・コーテズ(米国)
ジャスティーン・キッシュ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)
フアン・エスピーノ(スペイン)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)
フアン・エスピーノ(スペイン)

<バンタム級/5分3R>
トニー・グレイブリー(米国)
アンソニー・バーチャク(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ザラ・フェアン(フランス)
ジョシアニ・ヌネス(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・ペネ(米国)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<155ポンド契約/5分3R>
オースチン・ハバート(米国)
ダコタ・ブッシュ(米国)

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