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【ONE TNT02】草原の剛腕ゾルツェツェグと対戦、中原由貴─01─「誰のパンチを貰っても倒れる」

【写真】このパームトゥパームが意味するのは?(C)MMAPLANET

15日(木・現地時間)に中継されるONE118:ONE TNT02で中原由貴✖シネチャグタガ・ゾルツェツェグが放送される。

昨年12月に12勝0敗のラスラン・エミルベクを見事にTKOした中原が、またもシルクロード系の剛腕ファイターと相対することとなった。

無名の猛者はプロとして一番避けたい相手というのが、多くのファイターが抱く本音だろう。ただし、今やMMAは世界中に広まり、我々のレーダーに掛かっていない強いファイターはいくらでもいる。そんなMMAの世界標準で戦う、中原の心境を尋ねた。


──当初、放送日程が確定していないアディショナル・カードで組まれていると聞いていたシネチャグタガ・ゾルツェツェグ戦が、TNT02の中継枠に組み込まれた中原選手です。まず、昨年12月18日にラスラン・エミルベクに90秒TKO勝ちした試合について、どのようにあの勝利を捉えていますか。

「相手の良さが出る前に、勝てた感じでした。練習でやってきたことを出せました。しっかりと見て打てたので、回りからも『まぐれのカウンターではない』と言ってもらえましたし、ちゃんと練習してきて良かったです」

──未知の相手で、ケージの中で見合った時はどのような印象を持ちましたか。

「当日は全然デカくないと思いました。映像ではもっとデカくて圧力があるように見えていたので。サークルケイジのなかでは、そんなに変わらないなって」

──素晴らしいTKO勝ちでしたが、放送を2カ月以上も待たないといけなくなりました。結果を周囲に漏らすこともできない状態が、ここまであり──その間に次の試合に向けて気持ちをもっていくことなど、メリハリをつけることは難しくなかったですか。

「最初は1月22日の大会へのオファーが、1月1日にあったんです。でも、それは相手も聞かずに断りました(笑)。年末年始で休んでいたので。

そうしたら1月中旬に2月にタン・カイとやらないかという話もありました。ここに関しては、正直にいうとエミルベクに勝った試合が中継もされていなくて……という意識があったかと思います」

──やはり前の試合が中継されて、次に向かいますというケジメが必要ですよね。

「それでも2月の頭に4月8日にTNT大会で試合ができるという話が来て、その時はTNT枠に入ることなんてないんだろうなって思いつつ……」

──了承したと(笑)。選手としては終わった試合はさっさと放送してほしいですね。

「……まぁ、そこは柔らかく伝えましたけどね(笑)。そろそろスイッチを入れないといけない時期だとも感じていたし、2カ月あれば準備できますからね。そうしているうちに相手の名前が来て……これは余りやりたい相手ではないというのをまず思いました」

──またもシルクロード系の未知系剛腕ファイターです。

「ハイ。でも、そういう相手と戦う時ほど強くなれるとも思っています。開き直りじゃないですけど、録画中継のことも対戦相手のこともいちいち気にすることなく、淡々と試合をこなしてファイトマネーを得ようという風になっていますね。

選手一本の時は生活があるから、もっとシリアスに捉えていたと思います。ファイトマネーも放送後に振り込まれるとかだったら文句も言いたくなりますけど、そんなこともなく。ONEはすぐに入金もありますしね」

──何よりも大切なことです。ただスポーツなので何カ月も中継が遅く、本当はいつ戦っているのか分からなくなってしまうような状況はなくしてほしいと思います。

「選手としては勝ちゃ良いのですが、身近で応援してくれる人には申し訳ないですね。会社の人達、スポンサーさん、友達に対しては複雑な想いでいるので、15日に今回の試合が放送されることが分かり、少しモチベーションは上がりました。単純です(笑)。

こんなこと考えている時点でダメなのかもしれないですけど、勝っても負けてもすぐに情報が公開されるのでスッキリできるかと思います。だって試合に負けて、中継まで3カ月とかあると最悪ですよ」

──そこも全肯定させていただきます。そんななかでシネチャグタガ・ゾルツェツェグ。無名で恐らくは相当に強い。

「日本にいたら、日本人の強いヤツと戦えますが、こういう相手とは戦えないですよね。まぁ日本で一番になってない奴が世界とか言うなってなるかもしれないですけど、僕はこういう戦いがしたくてONEと契約をしたので」

──青木選手や北岡選手たちの世代って、国内でもっと国際戦を戦うことができていました。北米基準の選手と。今や、北米基準でなく世界中が強いですから日本で無名でも、強くて当たり前で。その代表格がシネチャグタガのような選手かと思います。

「そうやって見てもらえると嬉しいですね。国内では30代後半や中盤でベルトを巻いている人がいますけど、ピークじゃないとかっていう評価がついてくるなら、勝っても素直に喜べないじゃないですか。なら、知られていなくても強いヤツと戦える環境にいる方が、僕は良いですよね。

実はゾルツェツェグと戦うことは去年の4月に一度決まっていて、コロナで流れたんです。だから、ここでやるのも運命ですよね。あの時に、一度はコイツとやるという気持ちはできていたので……でも、ヤバい相手ですよね」

──底が見えていないだけ怖いです。

「ただ、誰のパンチを貰っても倒れるんですよ。こないだのキルギスのエミルベクが相手だろうと、今回のモンゴルのゾルツェツェグだろうと。

皆、倒せるパンチを持っています。ちょっとアグレッシブすぎるので気を付けないといけない部分はありますけどね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
4月15日(木・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE TNT02中継対戦カード

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ジャネット・トッド(タイ)
アン・リン・ホグスタッド(ノルウェー)

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シネチャグタガ・ゾルツェツェグ(モンゴル)
中原由貴(日本)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・キュソン(韓国)
ワン・シュオ(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ミッチェル・チャマール(米国)
上久保周哉(日本)

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