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【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その参─ビブラトフ✖オリヴェイラ~「日本の現状とこれから」

【写真】岩﨑大河のようにミドル級以上のこれからのファイターは、どのようにキャリアを積んでいくべきなのか。J-MMA界の構造論に青木の話は発展した (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

引き続き2021年3月の一番、第三弾のACAバンタム級選手権試合=マゴメド・ビブラトフ×ダニエル・オリヴェイラ戦からの──日本の現状について語らおう。

<青木真也が語るマゴメド・ビブラトフ×ダニエル・オリヴェイラPart.01はコチラから>


──ロシアで2階級を取ってしまうブラジル人。そのブラジル人からベルトを取り返すロシア人……。

「なかなかできることではない。それだけ強い2人をぶつけてきましたね」

──何度も見返すことはない試合かもしれないですが、ライブで視て、本当に手に汗握る試合内容でした。

「僕は2回、見直すことができます(笑)。ずっと動いているし。アンダーでもフェザー級でイスラム・オマノフっていう10連勝した選手がいるんですけど、彼も同じようなスタイルなんですよね。オマノフも良い試合をしていましたね。凄く面白かった。彼のようなレコードが良い者同士をぶつけさせるのもACAの特徴ですよね」

──旧ソ連国家というべき、ベラルーシやアゼルバイジャンの選手の発掘、サバイバル戦も組んでいます。

「アゼルバイジャンとか、もう国境があるだけで民族はチェチェンとか、ダゲスタンで同じような気がします。ジムもアクマット・ファイトクラブ所属の選手が多いですしね」

──そこはBRAVE CFやUAE Warriorsにも当てはまりますね。

「中東とのパイプは強いですね。コロナ次第ですけど、1回、アクマット・ファイトクラブとかグロズヌイやマハチカラのジムに行ってみたいですね。どういう練習をしているのかって」

──そうなりますか(苦笑)。自分はコーカサスは避けたいです。言葉も通じないし、生き物として別物というか。

「ロシアは難しいというのは、正直ありますね」

──正直、怖いです。

「分かります(笑)」

──ダゲスタン人とか欧州人ファイターもいるKHKジムとかどうですか。

「バーレーンの?」

──ハイ、安全ですし言葉も通じます。BRAVE CFと同じKNKスポーツが所有&運営するジムです。イスラムですが、西側社会の習慣が通じそうですし。

「あのスーパーファイト級のチャンピオンが指導とかしているんですよね。エルダル・エルダロフだ。あれ、強いですよ」

──コナー・マクレガーの師匠のジョン・カバナウの先生も指導をしているようです。

「そうなんですねぇ。いやぁ、頭になかったです。でもダゲスタンとかチェチェンの選手がいるのは興味深いです。給料をもらって練習しているようですしね」

──ハイ、アマチュアのIMMAFで目立った選手をスカウトして、育てている。

「あぁ、これまでと根本が違うことをしていますね。世界大会でバーレーンの王族に拾われる子がいるなら、IMMAFは大切になってきますね。それは興味深い──行って見たくなっちゃいますね。

でも、めっちゃ練習させられそうですね。僕のようなスタイルは、あんまりいないし」

──それで金の延べ棒がもらえると最高じゃないですか(笑)。

「そこも十分にあり得るのが、違いますね。それにスーパーライト級っていう階級を作っているのも面白いですしね。そこはBRAVE CFで興味を持っているところです」

──実は北米MMAのレギュレーションでも階級は小分けにされています。ただし、王座を設けているプロモーションは存在しない。

「それって、どう思いますか。途中の階級ができることは? 日本だとそこまで人材がいないし、一つの王座を争うという部分で、もっと薄味になります」

──その通りですね。と同時に、王座はともかくスーパー階級ができて計量失敗が出ないようになれば良いなと思います。健康面もそうですし。日本の大会は計量の失敗は、全て選手に責があり、手売りのチケットの代金回収までそれが及んでいるという話をきくこともありますし。

「減量失敗をなくす。それも1つの方向性ですね。で、ベルトを狙う時とか、海外に行くときはスーパーじゃない上か下を選ぶ。女子レスリングのオリンピックと同じですね。

これから日本がどうなっていくのか。そこでいえば、重たい階級の選手……岩﨑大河選手とか、どうやってキャリアを積んでいけば良いと思いますか」

──コロナ終息後といいますか、海外との行き来が頻繁にできるようになり、隔離措置なしで試合にでられるようになれば、彼のキャリアにあったマッチメイクを組んでくれるところで経験を積むこと……ではないでしょうか。

「そうですよね? いや、良かった。僕もそう思っています。韓国とか、そういうところからですよね。日本でやっていても仕方ない。強くなれない」

──ハイ。今では日本のファンは素晴らしい、MMAへの理解があると外国人選手が言ってくれています。そういう良い部分を誇りにして、嫌な現実も見る必要があると取材をしていても痛感します。

「もう過去の栄光を首からぶら下げても食っていけない……。日本で食っていける基盤がなければ、海外に行く。他のスポーツでも普通にやっていることだし。MMAの重量級もそうだし、グラップリングもそういうことですよね」

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