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【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その参─ビブラトフ✖オリヴェイラ「相当な気合がないと」

【写真】UFC以外で日常的にロシア✖ブラジルのワールドクラスの攻防をACAでは見ることができる(C)ACA

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

2021年3月の一番、第三弾は26日に行われたACA120からACAバンタム級選手権試合、マゴメド・ビブラトフ×ダニエル・オリヴェイラ戦について語らおう。


──青木真也が選ぶ2021年3月の一番、最後の試合をお願いします。

「マゴメド・ビブラトフ×ダニエル・オリヴェイラです」

──これから日本人がUFCと契約するには……という話で、一つの選択肢として名前が挙がったACAのバンタム級選手権試合でした。

「バンタム級とフェザー級(フロド・カズブラエフ✖フィリッピ・フロイス)と2つのタイトルマッチがあって、ビブラトフもカズブラエフもスタイルが似ています。ステップを踏んで、レスリング軸でパッと攻めて。後ろ回し蹴り3連発とか、謎ですけどね(笑)。

ロシア人あるあるなんですけど、ビブラトフで思ったのは組むことを厭わないことです。あれだけ組んでテイクダウンして、コントロールすると疲れないわけがないのに。

アルジャメイン・ステーリングが疲れたように。もちろん、自分のペースで戦っているというのはあると思いますけど、あそこまで徹底できる体力、何より5Rでアレをやろうというのはちょっと気合が違いますね」

──それは人知を超えたエクストラな要素の有無に関係なく、ですか。

「それは分からないですよ(笑)。使ったことないから」

──アハハハハ。「ア〇ルセックスって気持ち良いの?」って聞いているようなものですね。

「アハハハ、やったことねぇよって(笑)。ただし、5Rにアレをやろうというのは、相当な気合がないとできないです」

──対してベルトを失ったオリヴェイラは、ここ2試合ほどの100メートル走のダッシュでフルマラソンを走り切るというスタイルと比較すると、随分と動きを抑えていたように見えました。

「確かに、違っていましたね。その分、カズブラエフはもっと凄くて。テイクダウンをし、ガードの中からヒジをガンガン落としていました。あんなことをやっていると、絶対に疲れるだろうって」

(C)BELLATOR

──フロドはベラトール時代にマルロン・サンドロと戦っていた時は、もっと関節技とか駆使していたのが徹底したスタイルに変っていましたね。

「あぁ、トーナメントで優勝しているのにベラトールを離れたんですよね。ベラトールで負け無しで。でも、凄くタフな戦いをしていました。派手じゃないけど、好感が持てる試合でした」

※2013年6月、Bellatorフェザー級トーナメントを優勝した時点でのフロド・カズブラエフのインタビューはコチラから

──あのロシアン・レスリングMMAスタイルをベラトールでマゴメド・マゴメドフが貫くことができるのか。ACAでできていたことが北米でもできるのかが楽しみです。

(C)BELLATOR

「ちょっと落ちていくのか……。どうなんでしょうね。対戦相手の技量もあるし、分からないですよね。

(※4月2日のBellator255でシージェイ・ハミルトンにRNCで一本勝ち

あと負けたけど、オリヴェイラとフロイス。彼らも強いです」

──フロイス、ぜひともRIZINフェザー級GPに招聘してほしいです。日本人選手、厳しいんじゃないかと。

「勝てないですね。全然強いですよ。フロイスって修斗ブラジルの南米王者で、確かノヴァウニオン所属のはずです。オリヴェイラは別のチームだけど、ブラジルには修斗ブラジルがあるのは大きいですね」

──あまり詳しい経緯は分かっていないのですが、日本の修斗を頂点とする組織とは、一線を画した印象があります。日本の修斗がケージを解禁する前に北米ルールに切り替えていましたし。伝統と将来のバランスのとり方に関して、アンドレ・ペデネイラスは現実的でした。

「そうなんですね。修斗ブラジルというブランドなんだ。それ、面白いですね。人材育成大会として成り立っていて、修斗ブラジルはACAにもかなりブラジル人選手を送り込んでいますよね。そういう意味で、なんだかんだと『ここにもいるな、ブラジル人』って」

──サッカーでも欧州のプレイヤーが南米で活躍するかといえば、それはあまりない事例だと思います。でも、ブラジル人は世界中のリーグで活躍しているのと似ていますね。

「もちろん、外の方がファイナンシャルが良いというのがあるでしょうしね。それにブラジルは、修斗ブラジルやジャングルファイトにしても、強くするという点で信頼のおける人材育成大会です。ブラジル人同士の対戦で強くなれている」

──そこは日本との違いでもあるのですね。

「今、トップで強い国はしっかりと育成大会が機能しているということなんですよね」

──大会を開いて経験を積ませ、かつ篩に掛ける。そして、海外に送り出している。KSWのフェザー級チャンピオンもオーストリアのジムに所属して現地在住になっていますが、ブラジル人のダニエル・トーレスです。

「英国の大会でもブラジル人は出ていますしね。UFCに行ってなくてもACAに出ていく。チャンスに対して貪欲です。ロシアに行くと負けることも多い、でもオリヴェイラやフロイスのようにチャンピオンになる選手もいる。

ACAも意地があるから、ちゃんと2人を負けさせた。あの2人にしっかりと勝つ自国選手がいる。何もかも、違います」

<この項、続く>

【主な修斗ブラジル南米王者】

<ヘビー級>
グト・イノセンチ
グローバー・テイシェイラ
フランシマール・バホーゾ

<ライトヘビー級>
ホニー・マルケス

<ミドル級>
カイオ・マガリャエス

<ウェルター級>
ルイス・ハモス
エルナニ・ペルペトゥオ

<ライト級>
ヴィラミー・シケリム
ハクラン・ディアス
ホニ・トーレス

<フェザー級>
ヘナン・バラォン
ジョニー・エドゥアウド
ハオーニ・バルセロス
フィリッピ・フロイス

<バンタム級>
エドゥアルド・ダンタス

<フライ級>
ジョズエ・フォルミーガ
アドリアーノ・モライシュ
ホナウド・カンジド

<ストロー級>
ヤゴ・ブライアン

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