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【3CG06】1万5千$=8人制T・プレビュー─01─ロドリゲス、ウゴ、グラップリング界の未来が潰し合う

【写真】優勝候補の一角、ニック・ロッドことニック・ロドリゲス(C)SATOSHI NARITA

3日(土・現地時間)、テキサス州ヒューストンのホワイトオーク・ミュージックホールにて、プログラップリング大会Third Coast Grappling 06が開催される。

サードコーストとはメキシコ湾を指し、そのメキシコ湾岸のテキサス州ダラス及びヒューストンで、過去5大会を開催してきた。金大会の目玉は、トップグラップラーをズラリと集めた8人によるノーギ・トーナメント──優勝賞金15000ドル、準優勝は5000ドルが懸けられたトーナメントには。各種ノーギマッチで結果を残す、旬のグラップラーが揃っている。そんな3CG 8men GP、準々決勝の顔合わせは以下の通りだ。

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
ウィリアム・タケット(米国)

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

<3CG GP準々決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)

<3CG GP準々決勝/7分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

ここではルール&ポイント制度の解説に続き、最初の山で組まれた準々決勝2試合の見所を探りたい。
Text by Isamu Horiuchi


1R7分。得点システムはIBJJFルールに準じたものとなっているが、2000年代序盤に見られたノーギブームの際に見られた11点先取制を採用しているのが、3CGの特徴でもある。結果50/50シーソーゲームや、終盤での微妙なポイントの出し抜き合いを防いでいる。

本戦7分間でどちらも11点を取れなかった場合は、5分間のゴールデンスコア形式の延長戦があり、本戦で点数をリードしていた方が「クローズドガードの上か下、あるいはスタンドから」とスタートのポジションを選ぶ権利が与えられる(ポイントが同数の場合はレフェリー判定で本戦優勢だった選手が決められ、その選手に延長開始のポジションを選ぶ権利を与えられる)。

延長でどちらもポイントが取れなかった場合は、本戦でのスコアが勝っている側が勝利となり、それも同点の場合は、レフェリー判定に決着が委ねられることになる。新鋭のサバイバル合戦となる2試合のプレレビューは以下の通りだ。

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)
ウィリアム・タケット(米国)

(C)F2W

24歳のウゴは将来の世界最強グラップラー候補の一人。

195センチで110キロという巨体の持ち主にして、体格を活かしたトップゲームはもちろん下からの緻密な仕掛けも得意とする。2019年のノーギワールズ無差別級の決勝でサイボーグことホベルト・アブレウを下からのヒザ十字で秒殺した実績が光る。

先月のF2W 167でも、ティム・スプリッグスに対し50/50からのインサイド・ヒールを極めてみせた。対する19歳のタケットは、現在もっとも注目を集めるグラップリング界中重量級のニュースターだ。

タケットの特徴といえば、とにかく積極的に動き上からも下からも極めを狙ってゆくスタイルにある。先月のF2W 166では、マニュエル・ヒバマーと対戦し、カニバサミからの外ヒールで鮮烈な秒殺一本勝ちを収めている。

体格では劣るタケットだが、それを補うに十分なスピードと多彩な仕掛けを誇る。得意のヒールは体格差を超えてどのような相手でも極めることのできるキレ味を持つ。

対するウゴはそのタケットに決して動き負けない機動力を誇る。グラップリング界の未来を象徴するような両者の初対決だ。

<3CG GP準々決勝/7分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

ジョン・ダナハー軍のニック・ロッドことロドリゲスは、2019年のADCC世界大会最重量級にて、青帯ながらモハメッド・アリーやアブレウといった世界王者等を倒して準優勝に輝いた選手。

当時は爆発力を活かしレスリングに頼った戦いぶりだったが、先日のWNO大会では、きわめてタイトなボディロックからのパスガードを何度も決めて、ADCC世界王者ユーリ・シモエスの下からの攻撃を完封している。段階を着実に踏んでポジションを進めてゆく師匠ジョン・ダナハーのシステムを、高いレベルで体現しての勝利だった。

対するマリーニョは、バッハ期待の新黒帯。常に闘争心を前面に押し出す戦いを見せ、相手を抱え上げての豪快なテイクダウンと、そこからスクランブルしてくる相手を狙う強烈無比なギロチンを主武器とする。

今年はノーギマッチでガブリエル・アウメイダマテウス・ルナと対戦。両試合とも、相手にギロチンを警戒させ消極的な戦いぶりに追い込んでの完勝だった。

トップゲームを身上とする両者だけに、まずはスタンドレスリングの攻防が鍵となるだろう。カレッジで実績を持つロドリゲスの爆発的なテイクダウンに、マリーニョがいかにギロチンを用いて対抗するか、また、シモエス戦で絶大な威力を見せたロドリゲスのボディロックパスをマリーニョがいかに防ぐかが焦点となりそうだ。

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