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【WNO07】コーヘン戦で、IBJJF道着柔術最強マイキー・ムスメシがADCC制覇を目指し始動

【写真】ノーギ、ノーポイント、ファンダメンタルの強さが見たいマイキー(C)MMAPLANET

26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでノーギグラップリング大会Who’s Number One(WNO)07が開催され、Flo Grapplingで放映される。世界最強のノーギ・グラップラーを3度に分けてプレビュー。

最終回はIBJJF道着ルールで、軽量級最強の存在となったマイキー・ムスメシ、5年振りのノーギマッチを深掘りしたい。
Text by Isamu Horiuchi


<15分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
マルセロ・コーヘン(ブラジル)

ムスメシは、2017年から2019年まで柔術世界選手権3連覇中(2017&2018年はライトフェザー級、2019年はルースター級、昨年はコロナ禍により大会なし)。トップ勢の実力が拮坑しがちな軽量級戦線にあって頭一つ抜けた実力を誇り、しかもまだ24歳というのが驚きだ。

2017年はライバルたちをポイントゲームで出し抜いての戴冠という印象があったが、18年は準決勝、決勝とも相手を一方的に攻め込んでの完勝。複雑なスイープはもちろん、クローズドガードからの基本的な極めやバック取りの技術の精度の高さを見せつけた。

2019年はさらに階級を下げて、準決勝で最軽量級絶対王者ブルーノ・マルファシーニと対戦。スイープ合戦の末、最後は盤石のベースで上をキープして勝利。決勝はなんとわずか12秒でホドネイ・バルボーザをストレートフットロックで仕留めてみせた。

さらにムスメシは近年は無差別級にも挑戦。昨年初のヨーロピアン大会では2試合を勝ち抜いて、準々決勝でスーパーヘビー級世界王者のモハメッド・アリーと対戦。僅差で敗れたもののアドバンテージ差の接戦を演じてみせた。

そんな自他共に認める世界最強の軽量級競技柔術家ムスメシが、今回は約5年ぶりのノーギルールでの試合出場となる。もっとも本人はノーギを苦手としていたわけではなく、その5年前の試合ではジョアオ・ミヤオに競り勝ってノーギ・ワールズ黒帯初戴冠を果たしている。

戦い方を見ても、クローズドガードからの仕掛けや低くプレッシャーをかけてのパスガード等の柔術ファンダメンタルにおいて無類の強さを誇り、トラックポジションの奪取等ノーギでもよく使われる動きを得意とするムスメシのスタイルが、ノーギでも猛威を振るうことは容易に想像できる。

「僕は子供の頃からノーギの試合が大好きで、ずっと道着ありと並行してやってきた。ただ成長してからは、練習相手の多くが道着ありで練習していたから、僕もそっちに専念していただけだよ。そして僕は道着着用ルールでは全てを成し遂げた。ノーギでもワールズは優勝したけど、まだADCC世界大会は獲っていない。それが今の僕の夢なんだ」と語るムスメシ。

今や道着とノーギは別物という世界観になるつつあるなか、やはりずぬけた力の持ち主は思考も違ってくるのか。今回の試合はADCC優勝=道着あり&ノーギの両部門における世界完全制覇という野望に向けての第一歩と位置付けられることとなる。

対するコーヘンは37歳ながら近年、パンノーギ大会やノーギアメリカンナショナルズで優勝を果たしている選手。先のコンバット柔術ワールド2021ではリチャード・アラルコンと準々決勝で戦いRNCにより敗れている。その際、コーヘンは上も下も徹底して寝技を避け、OTに賭けるという戦いを見せていた。とはいえ、本来の彼はクローズドガードからのキムラで返して極めるのが必殺パターンだ。グラウンドにおける全てに局面に強いムスメシ相手では圧倒的不利は否めないが、まずは自分の得意の形を作りたいところだ。

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