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【UFN184】既に世界王者級の強さ、コリー・サンドハーゲン「フランキーは本当の意味でウェルラウンダー」

【写真】ステーリングに不覚を取ったが、この選手の強さは特別だ (C)Zuffa/UFC

6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN184:UFN on ESPN+42「Overeem vs Volkov」で、フランキー・エドガーとコリー・サンドハーゲンが対戦する。

世界最高峰のUFCにあって、その群雄割拠振りはずぬけているといっても過言でないバンタム級の今後を占ううえで非常に大切な一戦になる。

サンドハーゲンはオーソ基調のスイッチヒッターで、左ボディで腹を効かせ、頭が下がった相手にヒザの追撃を掛ける。ローをはじめとする足技も破壊力があり、グランドでは容赦のないヒジ攻撃はフランキーを粉砕する力を十分に有している。

MMA柔術も優れており、上になろうが、下になろうが徹底して攻めの姿勢を貫く。世界チャンピオン級の力を既に有しているといっても過言でないサンドハーゲンに初インタビューを試みた。


──2020年はアルジャメイン・ステーリングにUFCで初黒星を喫し、マルロン・モラエスに完勝とCOVID19のパンデミックとともにアップ&ダウンのある1年となりました。

「そうだね。去年は1月にフランキー・エドガーと戦うことが決まっていたけど、彼が12月にブライアン・オルテガの代役でコリアンゾンビと戦ったことで試合がなくなってしまった。

そうしたらCOVID19がやってきて、何もかもが止まってしまったよ。それでもUFCはすぐに活動を再開し、ステーリング戦という僕が望んでいたビッグファイトを用意してくれた。

ただし、僕の夜にはならなかった。ステーリングはあの夜、僕より良かった。でも彼はタイトル挑戦を決めたから、僕もタイトル挑戦できる位置に近いことが証明されたんだ」

──パンデミック後は米国でも住んでいる州で練習できる形態が違っていました。そこがステーリング戦で敗因の一つになったと考えていますか。

「コロラドは3月と4月は完全にロックダウンされた。5月から6月にかけて少し規制が緩んだけど、練習に関してはトレーニングパートナーは2人までしか許されなかった。コーチと4人体制というのがアルジャメインと戦った時のトレーニング環境だったんだ。

7月、8月と少しずつ状況は良くなっていき、フルということではないけど、4人で練習するよりはずっと良い状態になったよ。確かにあの練習環境はアルジャメインに敗れたことに関係はしているだろうけど、どれだけの問題だったかは分からない。何よりも、そんなことを言い訳にしたくないからね。

あの日、僕は負けたのはアルジャメインの方が強かったからだよ。いくら練習環境が影響したとしても、大部分ではない。確かなことは──あの試合ではしっかりと自分をコントロールすることができていなかったんだ。

MMAは1年に3、4試合しないと精神面も体も戦う感覚を失ってしまうことを学んだ。そして、あの試合の後から練習中でも自分のコントロールすることを心掛けるようにしたんだ。結果ランキング1位のマルロン・モラエス戦で、ステーリング戦で学んだことを生かし、2RでKOできた。ファイトアイランドのメインイベントでね」

──そして再度決まったフランキーとの試合に臨むことになりました。

「スーパータフマッチになるだろう。殿堂入り間違いないファイターと戦うのだから。でも、ずっと彼のような選手と試合がしたいと思ってきたんだ」

──キャリア最大のビッグネームかと思います。

「フランキー・エドガーのようなまるでキャリアを積んできた時代が違う、経験豊かなファイター戦うのはレアケースだと心得ているよ。彼は僕が育ってきた場所にはいなかったファイターだ。

10歳年上だし、それだけ長く戦ってきて経験値も高い。僕のキャリアのなかでも凄く大切な試合になるだろう。これほどの力を持った素晴らしいファイターであるフランキー・エドガーとチャンピオンになる前に戦う……自分の力を彼に全てぶつけるよ」

──今の彼とライト級チャンピオンだった時代の彼とでは違いがあると思っていますか。

「フランキーはいくつか手痛い敗北を経験しているけど、負ける時は得てしてああいう風になるのがMMAだからね。今も十分に強いよ。ペドロ・ムニョスとの試合では、皆が想っているような年を取ったファイターでは全くなかった。

これまでやってきたように、今も戦うことができる。それこそ僕が望んでいることだよ」

──フランキーの長所はどこだと思いますか。

「何でもできることだよ。ハイライトリールに残るようなビッグKOがなくて、決して派手ではないけどスタンドも寝技も穴がない優れたレスラーだ。人と違う戦い方をして、UFCというハイレベルな試合が続く場所で、その勝ち方を知っている。そうやって勝ち星を積み重ねてきた」

──小刻みなステップで相手を幻惑し、抜群の距離のコントロールとタイミングを測ることでテイクダウンを奪うことができました。

「一つひとつの動きが速くて、しかもそのペースを守ってレスリングも打撃もできる。だからこそフランキーは本当の意味でウェルラウンダーなんだ。時間をもしっかりと把握して戦うことができる。僕らの対策がハマれば良いけど、こればかりは試合が始まってみないと分からないからね」

──コリー自身は、アドバンテージはどこだと思っていますか。

「違いは僕の方がダイナミックだということ。ただし、そこは特に必要じゃない。その一方で動きが多いから、フランキーにはない攻撃の選択肢が僕にはある。

それとフットワークに関しては、僕のシステムの方が少し彼を上回っている。グラップリングでも、僕の方が優っているかな。レスリングで育っていないから、レスラーとは違うグラップリングができる。グラップリングもそうだし、全ての局面で僕とフランキーはハイレベルな攻防を見せることができると思うよ」

──レスリングがバックボーンでない……ムエタイや柔術の融合をいうスタイルは、コロラドのMMAの一つの特徴であるかと思います。2000年代初め柔術、レスリング、ボクシングがようやくクロストレーニングされるようなMMAにあって、ドゥエイン・ラドウィック、そしてクリスチャン・アレンがキックやムエタイを柔術と融合させたスタイルを持ちこみました。実はコリーの試合を初めて見た時に、あなたがクリスチャン・アレンの教え子だと知らずに、ああアレンやドナルド・セラーニのコロラドMMAがよりパワフルになった感じだと思ったんです。

「昔からMMAを見ている人は、僕の試合を見てクリスチャンと双子みたいだっていうんだ(笑)。そう言ってもらえると凄く嬉しいよ。

クリスチャンはジムに入会した10代の時から、ずっと僕のセンセイだよ。ただコーチというだけでなく師匠であり、MMAのことだけでなく人生においても導いてくれた。クリスチャンの教えがあって、今の僕がある」

──ところで3月にピョートル・ヤンとアルジャメイン・ステーリングのUFC世界バンタム級選手権試合があります。

「勝者予想ってやつだね(笑)。ほんと、どこへ行っても聞かれてそのたびに僕の答も変わってしまうんだ。それだけ、2人の力は拮抗していて、予想が難しい試合になる。

今日の僕のピックはステーリングだ。アルジャメインは本当にアンオーソドックスなスタイルの持ち主で、絶対的に強いエリアがある。そして対戦相手が経験したことがない動きをするんだ。

ヤンはチャンピオンだけど、十分な経験がUFCではない。アルジャメインはUFCでの経験も多いし、とにかくケージ際での強さは絶対だ。でも、ヤンにも数多くのアドバンテージがあって……試合予想は無理だよ(笑)」

──その勝者に挑戦するために、フランキーとの試合はとても重要になりますね。

「もちろんだ。僕の目標はUFC世界バンタム級世界チャンピオンになること。そして長期政権を築きたい。ただし、今はフランキーを倒すことしか考えていない。試合も近づいてきているし、土曜日のことしか頭にはない……んだけど、この試合が終われば次は世界タイトル挑戦だよ」

──日本のMMAを知ったファンのなかで、非常に評価の高いコリーです。そんな日本のファンにメッセージをお願いします。

「実は僕のガールフレンドは日本人なんだ(笑)。お父さんが日本からやってきた人で」

──!!

「日本のどこが故郷かは知らないんだけど、僕も日本を訪れたいと思っている。そして、いつの日か米国のファンとは違い、何が試合中に起こっているのか理解し、凄くファイターを尊敬してくれると聞いている日本のファンの前で戦いたいと思っている。ホント、シリアスな夢なんだ。キャリアが終わる前に絶対に日本で戦いたいと思っている」

■視聴方法(予定)
2月7日(日・日本時間)
午前7時~UFC FIGHT PASS

■UFN184対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
アリスター・オーフレイム(オランダ)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
フランキー・エドガー(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
マリオン・ルノー(米国)
メイシー・チアソン(米国)

<フライ級/5分3R>
アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
マネル・ケイプ(アンゴラ)

<バンタム級/5分3R>
コディ・ステーマン(米国)
アスカル・アスカル(米国)

<ライト級/5分3R>
ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)
ベニール・ダルーシュ(米国)

<ライト級/5分3R>
マイケル・ジョンソン(米国)
クレイ・グィダ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マイク・ロドリゲス(米国)
ダニーロ・マルケス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
チムール・ヴァリエフ(ロシア)
マーチン・デイ(米国)

<160ポンド契約/5分3R>
ジャスティン・ジェインズ(米国)
デヴォンテ・スミス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホザ(ブラジル)
ホセリン・エドワルツ(パナマ)

<女子フライ級/5分3R>
モリー・マクマン(英国)
ララ・プロコピオ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ユーゼフ・ザラル(米国)
チェ・スンウ(韓国)

<140ポンド契約/5分3R>
オード・オズボーン(米国)
デニス・ボンダル(ウクライナ)

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