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【Gladiator013】オッサンには未来と歴史がある。グラジ初出場、42歳のチャンプ鈴木一史「一番、一番」

【写真】飲食的専門の野菜の卸業を営む鈴木、その佇まいからして渋い(C)MMAPLANET

7日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR 013に鈴木一史が初参戦し、石田拓穂と対戦する。

Wardogライト級王者として、グラジ初参戦の鈴木は42歳。デビューは37歳だったという超遅咲きのファイターだ。

なぜ、30代半ばを過ぎてプロデビューし、今も戦い続けているのか。さらに、これからのMMAファイターとして目標を尋ねた。


──鈴木選手のことはロータス世田谷でキッズレスリングの指導をされている姿を以前より拝見させていただくことがあったのですが、初インタビューとなります。鈴木選手は2015年に37歳にしてプロデビューを果たした異色のファイターです。

「ロータスでうちの子供がレスリングを習っていたことも、プロで戦おうと思った理由の一つなんです。もともと22歳の時に釧路から格闘技をやるために状況し、高田道場に入門して格闘技を続けてきたのですが、仕事が忙しかったり、ケガをしたりしてMMAを戦うことはなかったのですが」

──20年も前に東京に出てきて、格闘技を始めたということですか!!

「ハイ。アイスホッケーとかカヌーの経験はあったのですが、格闘技はやったことがなくて。高田道場ではレスリングを習っていて、MMAをやるには柔術の練習が必要だと思ってGRABAKAに移ったんです。柔術やグラップリングの試合に出ていましたけど、MMAに本気でなかったということだったんだと思います」

──それがなぜ35歳を過ぎてからMMA、しかもプロで試合をするようになったのでしょうか。

「山崎(剛)さんがGRABAKAから独立してMe,Weをオープンした当時、MMAのクラスに出る人がいなくて誘われました。その時が35歳で、練習をしていると『1試合がぐらいアマチュアでやってみないか』と言われたのがきっかけです。記念になるかと思ってGRANDSLAMのなかで組まれたアマMMAに出ました。ヘッドギアがなくて、パウンド有り、レガースをつけた試合でした。

そこで勝ち、『せっかくだし、プロで1試合がぐらいやってみようか』という話になったんです」

──そこもまた記念になるためだったと。気が付けば10戦以上のキャリアを積み、戦績も10勝1敗と立派な結果を残しています。ここまでMMAをやろうと思ったのは?

「一つは独立して、自分で仕事をするようになったので時間の融通がきくようになったことがあります。それとロータスに通っていた子供が強くなり、一緒に練習をすることもあって。そうしたら『まだ動けるな』って思ったので、もう少しやってみようと。それが続いてきたというような感じです」

──奥様はプロで戦う、そして続けることに関してはどのよう反応なのですか。

「まぁ『ケガしないでよ』という感じですね(笑)。断固反対という風ではなかったです」

──そして、42歳になった今も戦い続けていると。

「やっぱりプロの舞台で勝つというのは、気持ちが良いんです。非日常的なことですし、勝つことで得られることは凄く大きいというのが分かりました。だから歳はいっていますが、ここは捨てられないなというのはあります。

22歳の時にプロになっていると、今、戦うことはなかったという感じがします。今、私と同い年の現役選手ってほとんどいないように、昔からやっていれば今は辞めていたでしょうね」

──今回、Wardogライト級王者として、GLADIATORに初出場を果たします。

「WardogはGrchanの岩﨑代表から『鈴木君、年齢の割に頑張っているのでタイトルを狙わせてあげたい』という話をいただいて(笑)。で、最初に出させてもらった時に勝ったら挑戦をアピールして──ということになりました(笑)。チャンピオンが誰かも分かってない状態で『挑戦させてください』って口にしたら、チャレンジできたんです」

──そしてチャンピオンになったと。ベルトを巻いたことで、昨年自主興行を開く際に北岡選手がZST王者の小金選手と同様に、Wardog王者の鈴木選手が対戦相手候補でなりました。

「北岡選手本人から、そういう連絡がきた時は本当に驚きました。緊急事態宣言の時で『スーさん、今、練習していますか?』って連絡が来て。結局、小金選手と戦うことになったのですが、もしかしたら北岡選手と試合をしていたかもしれないですね。本来はそういうチャンスもないですし、有難い話でした。

それもベルトを巻いていたからこそ、なので。Wardogは小さな団体ですが、ベルトを取ったことは格闘技の履歴書に書き記すことができると思うんです。だからベルトを巻けて良かったです。

今、Wardogでは対戦相手がなかなかいないということで、他の大会に出ても構わないと言ってもらっていますし、可能ならGrachanのベルトも狙いたいと考えています」

──グラチャンでは、鈴木選手は4勝です。

「ハイ、結構勝つことができていて。山本琢磨選手がフェザー級との二冠王になったことで、今後はフェザー級でやっていくようですし、ベルトを狙いたいですね。以前はグラチャンにランキングがあって、ライト級で上の方にランク入りさせてもらっていたので、2本目のベルトを狙いたいというのはあります」

──今回、初出場となるグラジエイターにはどのような印象を持っていますか。

「関西でやっている割と大きな大会というイメージです。強い選手がいるということも知っていますし、パッとでの選手でなくは、ちゃんとやっている選手がいるということも分かっています」

──グラジエイター出場に関して、グラチャンと同様にベルトを視野に入れてのことでしょうか。

「同門の植田(豊)が同じライト級で暫定王座決定戦に出るので、もちろん彼にベルトを巻いてほしいです。ただし、彼が巻けないようであれば挑戦したいと思っています。佐々木選手がチャンピオンになるのであれば、僕も挑戦できるとは考えています」

──では、今回の対戦相手となる石田拓穂選手ですが、どのような印象を持っていますか。

「全然情報がなくて、多分柔道か何かがベースというぐらいしか分からないです。映像もなくて。大阪の修斗に出ていた選手だそうですが、本当に分からないです」

──では、グラジエイターのライト級に爪痕を残すためにもどのような試合をしたいと考えていますか。

昨年9月にはGrachanで、Gladiatorライト級正規王者キ・ウォンビンに勝ったことがある岸本篤史を腕十字で破っている

「自分は面白く派手な試合ができるとか言えないので、しっかりと勝ってベルトに近づくことが出来ればと思います。

植田が初戦でタイトルマッチを戦えるということは、正直羨ましいという気持ちもありますし。可能であれば、グラジエイターでもベルトを狙える位置まで行きたいです」

──常に年齢のことに言及されるかと思いますが、その辺りについては?

「42歳でMMAを続けている選手は殆どいないですし、引き際というか……どこまでできるのだろうかと考えることはあります。やればできるのでしょうが……若い選手の育成も考えたりすると、自分が抜けることも良いのかということは常に頭にあります」

──若いからだとか、この年でという要素をファイターの評価をする際の材料にしたくないのですが、鈴木選手のように36歳でデビューというのは別です。ところでキッズレスリングたちの手本にならないといけないという気持ちはありますか。

「子供たちは、子供たちでしっかりとやっています。でも皆、気にはしてくれていますよね。タイトルマッチの前に手紙をもらったりとかもしましたし、良い見本を見せることができればと思います」

──そんな鈴木選手の人生にとってMMAとは?

「MMAを戦うことで生きている実感がわきます。仕事とは全く別モノです。常にチャレンジをしていたいです。負けが込んでくると辞めたいと思うかもしれないですが、まだ勝てているので(笑)。他人事じゃないですけど、綺麗な戦績だと思っています(笑)。大した選手と戦っていないから、そりゃ勝つだろうって言われるかもしれないですけどね(笑)」

──10勝1敗は正真正銘の事実です。山崎さんが『スーさんがRIZINで戦えたら、凄く素敵じゃないですか』と言っていたことがありました。コロナの時代の夢として、楽しみです。

「いやぁ、自分からすれば……そんなおこがましいことはいえないです。確かにRIZINで戦えると夢のような話ですし、夢があります。でも、自分の試合を見たいと思う人はまずいないですよ。アハハハ。派手でなく、地味な戦いなので。大きな舞台は若くて、華のある選手がでていくべきです」

──ではMMAファイターの目標を教えてください。

「ハイ、お相撲さんじゃないですけど一番、一番、大事にとっていきたいです」

──今回の試合を会場に来られない人は、ツイキャスライブで視聴できます。そんなファンに一言お願いします。

「そうですね、地元の釧路とか格闘技に触れることがない人もいると思うので、オジサンでもガンバレば何とかなるぞというのを見てもらって勇気を与えることができればなと思います」

■視聴方法(予定)
2月7日(日)
午後2時~ Twit Casting LIVE

■ 対戦カード

<フェザー級/5分2R>
上嶋佑紀(日本)
ゆうと(日本)

<フライ級/5分2R>
吉村友菊(日本)
木村旬志(日本)

<フェザー級/5分2R>
上田祐樹(日本)
延命そら(日本)

<バンタム級/5分2R>
坪内一将(日本)
植木新(日本)

<ウェルター級/5分2R>
石田拓穂(日本)
鈴木一史(日本)

<ライト級/5分2R>
國頭武(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<ライトフライ級/5分2R>
いちょう”Snufkin”ともなが(日本)
ウレタ・チェステル(フィリピン)

<バンタム級/5分2R>
NavE(日本)
藤田健吾(日本)

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] MIKE(日本)
[挑戦者] 原口央(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]竹本啓哉(日本)
[挑戦者]清水俊一(日本)

<Gladiator暫定ライト級王座決定戦/5分3R>
佐々木信治(日本)
植田豊(日本)

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