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【Copa Podio】ブラジリアン柔術の今、未来が分かるプロ柔術

Copa Podio

【写真】一堂に会した出場選手たち。今、最も注目を集めているといっても過言でないプロ柔術大会、それがコパ・ポジオだ(C)PODIO

8日(日・現地時間)、ブラジルはリオデジャネイロのチジューカ・テニス・クルービーにてプロ柔術大会コパ・ポジオが開催される。毎回世界の一流選手たちを集めた階級別のワンデー・グランプリと、スーパーファイト数試合が組まれるこの大会。2011年末に旗揚げされ、今回ですでに3度目の開催となる。


今大会の目玉は、2度目の開催となるミドル級グランプリ。出場選手10名をそれぞれ5人ずつブラジル・カラーである緑と黄、2つのグループに分けて総当たり戦を行い、それぞれのグループの上位2名が準決勝戦に進出(緑グループ1位vs黄グループ2位、緑グループ2位vs黄グループ1位の対戦となる)し、勝者2人が決勝を争うという形式で行われる。

トップ選手、将来を嘱望される選手をズラリと揃えたこのグランプリ。中でも注目度が高いのは、緑グループに参戦するパウロ・ミヤオ(アトス)とトラヴィス・スティーブンス(ヘンゾ・グレイシー)の戦いぶりだ。

パウロ・ミヤオは、ライトフェザーの体格ながら無類の強さを誇り、大いに話題を読んでいるミヤオ双子兄弟の兄。近年柔術界を席巻するベリンボロの様々な新パターンを開発、駆使していることで、世界中の競技柔術家たちから研究対象にされている選手だ。今年のムンジアル茶帯無差別級においては、ついに宿敵キーナン・コーネリアスを倒して優勝。黒帯昇格を果たした。

トラヴィス・スティーブンスは北京、ロンドン五輪柔道米国代表選手。ロンドン五輪女子金メダリストのケイラ・ハリソン、ロンダ・ラウジーらとともに、ジム&ジミーのペドロ親子が手塩にかけて育てた選手だ。ヘンゾ・グレイシー門下で柔術修行にも励み、茶帯を獲得。また、ジョー・ローゾンらトップMMAファイターともクロストレーニングを行っている。昨年のロンドン五輪81キロ級では柔術技術を駆使して勝ち進み、準決勝で前回の金メダリスト、オレ・ビショフと大死闘を展開した。世界最高峰の現役柔道家の一人だ。

緑グループにおいてこの2人を迎え撃つのは、ヘナート・コルドッソ(チェッキマット)、ジェイミー・カヌート(GFチーム)、マニュエル・ディアズ(カイオ・テハ)の3人。特に下からの極めに無類の強さを見せ、カラザンスとも互角の試合を展開したコルドッソは、このグループ優勝候補の筆頭だろう。また、カヌートは今年のパン大会茶帯ミドル級決勝で、前UFCライト級王者ベンソン・ヘンダーソンを倒して優勝したガード巧者。ディアズも色帯時代からキーナン・コーネリアスやミヤオとシノギを削ってきた選手だ。

ミヤオの脅威の最新技術は、世界レベルの黒帯が相手でも体格差を超越できるのか。あるいは未来の柔術シーンを担う選手たちが、柔術を身につけた世界最高峰の柔道家を制することができるのか。緑グループの戦いは、そういう意味でも1試合も息を抜いてみることはできない。

そんな緑グループを上回る強豪選手が集まったのが黄グループだ。ここには、フィリッピ・プレギウソ(グレイシー・バッハ)、アレッシャンドロ・セコーニ(セコーニ・チーム)、ディオゴ・モレノ(ソウルファイターズ)、ダヴィ・ハモス(トップ・ブラザー/アトス)、キット・デール(チェッキマット)の5名がエントリーしている。

普段はミディアムヘビー級で戦うプレギウソは、コパ・ポジオでレアンドロ・ロと1敗1分け。その1敗も、パスを許す最後の数秒まで勝っていたという若手の成長株だ。セコーニは、2010年アブダビ・プロ大会92キロ以下級決勝にてホムロ・バハルからパスガードを奪って優勝している。

モレノもまた、去年のムンジアル黒帯ミディアムヘビー流準優勝という実績を持ち、世界トップクラスの柔術家といえる。ダヴィ・ハモスはライト級ながら、ノーギの試合においてジェフ・モンソンの腕を下からの十字で破壊し、ジョアオ・アシスもアンクルで仕留めなど、驚異的な極め力を誇る。この夏に日本でその強さを見せつけたオーストラリア人柔術家キット・デールも、コーネリアスやミヤオ相手に互角の戦いをしてきた選手だ。以上10名によるグランプリは、まさに柔術界の未来を照らし出すものといえるだろう。

さらに今大会では、スーパーファイトも2試合行われる。一つはレアンドロ・ロ(シセロ・コスタ)対クラウジオ・カラザンス(アトス)の、10分間で行われるノーギ・マッチだ。ロは去年と今年のムンジアルを連覇し、現在誰もが認める世界最強のライト級柔術家。対するカラザンスもまた、2010年のアブダビ・ワールドプロ大会83キロ以下級と無差別級で2階級制覇をはじめとして、輝かしい実績を誇る。

ただし、これらはギありの柔術競技における話。両者ともノーギ・グラップリングにおいては、まだワールド・クラスのタイトルを獲得できないでいる。道着ありではスイープを決めた後、圧倒的なパスガード力で勝負をものにするロ。しかし、今回は掴むところの少ないノーギの試合。体格とレスリング力で上回るカラザンスに対して、ロがいかに上のポジションを取りにいくのか、勝負の鍵を握る。 

もう一つのスーパーファイトはシティ・チャレンジと銘打たれた都市対抗戦で、なんと時間無制限、一本勝ちで決着が付くまで行われる。現在2連勝のマナウスを代表するディエゴ・ボルジェスが(チェッキマット)が、サン・ディエゴを代表するクラーク・グレイシー(カーリー・グレイシー)と対戦。この試合に勝利した選手が代表する都市は、次回のコパ・ポジオにて別の都市と対抗戦を行うことになるという。

ブラジリアン柔術の今、そして未来を知りたいファンに必見のコパ・ポジオ、要注目の柔術イベントといえる。

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