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【WEC51】元世界王者3人出場、メインはP4P=アルド

30日(木・現地時間)、コロラド州ブルームフィールドの1stバンク・センターで開催されるWEC51「ALDO vs GAMBURYAN」の公開計量が、同地で行われ、全11試合・出場22選手がオーバーウェイトもなくウェイインを終了した。

例にもれずWECらしく粒揃い、見どころ満載のカードが並んだ今大会。ある意味、強すぎる王者ジョゼ・アルドの試合が、霞んでしまうかもしれないほどのカードが並んでいる。そのアルドが、マニー・ガンバーリャンの挑戦を受けるWEC世界フェザー級選手権試合が、当然メインイベントとなるが、ラインナップにはジェイミー・バーナー、ミゲール・トーレス、マイク・ブラウンと3人のライト級、バンタム級、フェザー級の元世界王者が名前を連ねている。

GSP、アンデウソン・シウバと並ぶMMAワールドのP4P、アルド。過去の試合をみても、どこに死角があるのか、ピンチらしいピンチをWECで経験していない。ガンバーリャンのこれまでの戦い方は、遠い間合いからパンチを放ち一気にテイクダウンを奪うというもの。


アルドはテイクダウンをされてなお、名門ノヴァウニオンの黒帯を巻く柔術テクニックがあるだけに、問題なくガードワークを駆使することが想像できる。それ以前にマイク・ブラウン、ユライア・フェイバー戦を見る限り、パンチからテイクダウンを狙ってくる相手には、前足をローで蹴りこみ、その突進力を失わせる攻撃が常套手段のアルドだけに、ガンバーリャンはこのローを受ける前にテイクダウンに結び付けることが重要になってくる。

元世界王者勢はブラウンが、プレリミに回りコール・プロヴァンスと肩慣らし的なファイトに臨むのに対し、バーナーは世界戦を争ったこともあるドナルド・セラーニ、ミゲールはチャーリー・バレンシアとのタフな対戦を迎える。

意外なほどパンチに強みを発揮するバーナーは、綺麗な打撃が信条ながら、勝敗には淡泊に感じられるセラーニを相手に、この再戦をいかに戦うのか。前回の両者の試合は序盤にパンチをヒットさせたバーナーがポイントをリードした展開で、最終5Rにセラーニの放ったグラウンドでのヒザで試合が途中で終了。この攻撃が故意ではなかったと判断され、その時点までの裁定で勝負が決している。リベンジを目指すセラーニは、08年に年間ベストバウトを獲得したロブ・マッカラー戦のような勝利への執念を見せてほしい。

王座転落後も、ジョセフ・ベナビデスに敗れ連敗中のミゲール。ボクシング+レスリングのバレンシアのスタイルは、得意といえば得意だが、2試合連続でノックアウトあるいはタップアウトを経験した彼の体、脳が判断を下す無意識の反応が、どれだけKO負け前と変化しているか。その辺りも気になるところだ。

また、4月のサクラメント大会、ジョン・チャンソン戦でファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得したレオナルド・ガルシアが、6月のカナダ大会で同賞を受けたマーク・ホーミニックと対戦する一番は、豪快な打ち合いになることが予想される。だからこそ、裏をかいて打ち合いを避ける展開を両陣営が用いることも考えられなくもないが、前回の試合でファイト・オブ・ザ・ナイトを手にしているだけに、この一戦は真っ向からの打ち合いとなる公算が高い。

そのガルシア戦で微妙な判定負けを喫したジョン・チャンソンは、2試合連続のメインカード出場で、元TUFファイターのジョージ・ループとの対戦となる。ループは以前、ガルシアと引き分けているだけに、コリアン・ゾンビとしては絶対に落とせない一戦だ。

なお、この大会ではヂャン・ティェカンという中国人ファイターが、WECデビューを飾る。中国産MMA大会=AoW(アート・オブ・ウォー)をはじめ、フィリピン、香港でMMAを戦い、現在11連勝中のヂャン。内モンゴル出身で、レスリングから散打へと格闘技経験を積み、北京で柔術修行を行った、いわばAoW出場の中国人選手に多い格闘技歴の持ち主だ。

対戦相手のパブロ・ガーザも9連勝中ながら、ヂャン同様に実力は未知数のファイターだ。WEC初の中国人ファイターの登場は、中国で初めてWECがライブ中継されるというビジネス的側面においても意味のあるカード。スポーツ大国・中国のMMAファイターの実力のほどが、明らかになる。

■WEC51「ALDO vs GAMBURYAN」計量結果

<WEC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョゼ・アルド:145ポンド(65.7キロ)
[挑戦者]マニー・ガンバーリャン:145ポンド(65.7キロ)

<ライト級/5分3R>
ジェイミー・バーナー:156ポンド(70.7キロ)
ドナルド・セラーニ:155.5ポンド(70.5キロ)

<バンタム級/5分3R>
ミゲール・トーレス:136ポンド(61.6キロ)
チャーリー・バレンシア:136ポンド(61.6キロ)

<フェザー級/5分3R>
ジョン・チャンソン:146ポンド(66.1キロ)
ジョージ・ループ:145ポンド(65.7キロ)

<フェザー級/5分3R>
レオナルド・ガルシア:146ポンド(66.1キロ)
マーク・ホーミニック:145ポンド(65.7キロ)

<ライト級/5分3R>
ヂャン・ティェカン:154ポンド(69.8キロ)
パブロ・ガーザ:154ポンド(69.8キロ)

<フェザー級/5分3R>
マイク・ブラウン:145ポンド(65.7キロ)
コール・プロヴァンス:146ポンド(66.1キロ)

<ライト級/5分3R>
クリス・ホロデッキー:155ポンド(70.3キロ)
エド・ラトクリフ:155ポンド(70.3キロ)

<フェザー級/5分3R>
テイラー・トナー:145ポンド(65.7キロ)
ディエゴ・ヌネス:145ポンド(65.7キロ)

<バンタム級/5分3R>
アントニオ・バヌエロス:136ポンド(61.6キロ)
チャド・ジョージ:135ポンド(61.2キロ)

<バンタム級/5分3R>
デミトリウス・ジョンソン:135ポンド(61.2キロ)
ニック・ピース:135ポンド(61.2キロ)

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