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【WEC50】ノンストップの25分間、接戦はクルーズが制す

■第10試合 WEC世界バンタム級選手権試合/5分5R
[王者]ドミニク・クルーズ(米国)
Def.5R終了/判定
[挑戦者]ジョセフ・ベナビデス(米国)

【写真】勝ったクルーズは6連勝。最後に敗北を喫したユライア・フェイバーが、バンタム級に階級を下げたことで再び対戦する可能性もでてきた (C) ZUFFA

まずはオーソドックスの構えのクルーズ、左ジャブを伸ばし、右を振るいながら前に出ると、サウスポーに構えが変わっている。基本はオーソで距離を取り、そこからスイッチするクルーズだが、その彼が前に出たところでベナビデスの右がヒットする、

組みついたクルーズは、ヒザを突き上げつつ距離を取る。クルーズの右ローに対し、ベナビデスは踏み込んでフックを連打するも、チャレンジャーはスイッチに惑わさないよう、クルーズが前に出てきたところで、自ら間合いを潰すという作戦で臨んでいるようだ。


クルーズの右ローに、再び右フックを合わせたベナビデス。しかし、残り1分でクルーズがテイクダウンに成功する。フックガードのベナビデスが、スイープを仕掛けるも、クルーズの左パウンドを受けたところで、最初の5分を終えることとなった。

2R、右ローに右フック、ベナビデスの狙いが見えてなお、左を伸ばしローを見せたチャンピオン。シングル狙いで、クルーズが後退したところに、ベナビデスがジャンピングハイを繰り出すと、パンチを散らして応戦するベナビデス。ローを繰り出した際にスリップし、シングルに移行するがクルーズが足を引き抜いて距離を取る。

スイッチを繰り返しながら、前に出てくるクルーズは、ローの数が減ったものの、スイッチから左、右とパンチを伸ばす。シングルを時折り狙うベナビデスだが、軸足がないようなクルーズにシングルを仕掛けるのは至難の業だ。逆にラウンド終了間際に再びテイクダウンにトライしたクルーズだったが、ここはベネビデスを逃した形で試合は3Rへ。

左ハイからクルーズが組みつくも、すぐに距離を取った両者。王者は蹴り技をフェイクに、足を小刻みにスイッチし、左を伸ばす。ベナビデスもテイクダウン狙いで組みつくが、これも未遂に終わる。

打撃が一瞬の交錯に終わり、テイクダウンディフェンスも互いに長けている。こうなれば手数の勝負になりがちだが、好印象を与えているのはチャレンジャーのベナビデスだ。鋭いローで、王者がバランスを崩すシーンも見せた3R。最後の10秒でクルーズがダブルレッグを決めたが、ジャッジはこのラウンドをどのように判断するか。

4R、開始早々にテイクダウンに成功したクルーズ。パスを狙うが、ベナビデスがフルガードに戻す。ただし、この攻撃が試合のリズムを変えることに成功したのは確かだ。ケージにベナビデスを詰めて、コツコツとパウンドを落とすクルーズは、ハーフの態勢から、向きを変えてきた対戦相手に腕十字を仕掛ける。

これは前方に振り落とされたが、ベナビデスはスタンドに戻らず、組みついてトップを奪いにかかる。スイッチを見せたクルーズ、両者立ち上がるが、距離をとらずにレスリングの攻防が続く。ケージ際でヒザを繰り出し、スクランブルが見られると、ここでクルーズの肩に鮮血が確認できた。

ケージ際の攻防は、クルーズのテイクダウン奪取で決着がつき、続いて王者はマウントの状態に。股間からすり抜けるように抜け出し、ベナビデスが立ちあがったところで4Rが終了した。クルーズの流血は鼻から、ケージに押し込んだ際に受けたヒザで鼻の付け根が開いたようだ。

最終回もいきなりダブルレッグを見せたクルーズに対し、ベナビデスはがぶりからスタンドをキープ。ラウンド序盤のテイクダウン狙いを意識し、4Rのように簡単に倒されることはない。前に出てパンチを振るうベネビデスに対し、サークリングでかわすクルーズがボディにヒザを見せる。ベナビデスのローに、右を合わせたクルーズ、まるで序盤と役割を変えたような攻防だ。粗いパンチを振るいつつ、ダブルレッグを見せたベナビデスだが、クルーズもしっかりと切っていく。前に出たベネビデスは足を滑らせケージに突っ込む。残り時間は30秒、テイクダウンを奪ったのはクルーズだった。

大振りのパウンドをアピールするかのように落とすクルーズに対し、ベナビデスが潜りスイープを仕掛けたところで、ノンストップアクションの25分が終わった。テイクダウンは1R、3R、4R、5Rとクルーズが決めている。クリーンテイクダウンは最後まで奪えなかったベナビデスは、初回の右フック、3Rの手数と二つのラウンドは攻勢が目立っていた。テイクダウンを早々に奪われた4回でも、ヒザ蹴りで鼻をカットさせている。

果たして、ジャッジの裁定は?

まずは、48-47でベナビデス、続いて48-47でクルーズ、最後の一人は49-46でチャンピオンを支持。「ベナビデスは尊敬に値するファイターだ。5R戦っても、それほど酷い顔になっていないね。次? ベストであることを証明するために誰とだって戦う」、鼻だけでなく右目尻もカットした王者は、笑顔で激戦を終えた。

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