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【UFC112】ヒューズ快勝、英雄ヘンゾはほろ苦デビュー

2010.04.11

■第8試合 ウェルター級/5分3R
マット・ヒューズ(米国)
Def.3R4分40秒/TKO
ヘンゾ・グレイシー(ブラジル)

【写真】2007年2月以来のMMA出場となる43歳ヘンゾ。MMA界の重鎮同士の一戦だったが、ヘンゾには限界見える内容でもあった (C) ZUFFA

入場だけで観客がスタンティングオベーションをおくったヘンゾ。対戦相手のヒューズには声援とともに、ブーイングが浴びせられる。

オーソドックスの構えのヒューズは、ジワジワとプレッシャーを与えるが、ヘンゾが一気に距離を詰めてパンチを放つ。逆にヒューズが前に出ると、ヘンゾも距離をとってパンチをかわしていく。ヘンゾ・コールが沸き起こるなか、思い切り右フックを放ったヘンゾに、ヒューズは組みついていくがテイクダウンには至らない。


オクタゴン中央で向き合った両者、直後にヒューズが組みついていくと、今度はグレイシー・コールが館内に響き渡る。ヒューズのローキックがヒットするが、左ジャブは届かない。ヘンゾも思い切りローを放ち、両者の左ジャブが交錯。ヒューズのローが2度ヘンゾを捉え、ここでスーパーマンパンチを見せるも距離が合わない。互いに手探りのような、打撃戦を繰り返した5分間を終え、試合は2Rへ。

初回同様、ローキックを放つヒューズ。ヘンゾの左ジャブは、ヒューズの顔面を捉えることはない。組みついたヒューズのヒザが、軽くヘンゾの急所をかすめ、両者が手を合わせて試合が再開すると、観客は大きな声援を送る。ヘンゾの右、ヒューズの左が相打ちになり、またもヒューズのローがヒットする。

徐々に館内のブーイングや口笛が大きくなるなか、ヘンゾが前に出てもヒューズはステップバックでかわし、逆に右を打ち込む。笑顔を見せたヘンゾだが、自らのペースに試合を持ちこむことはできず、遠目の距離の打撃戦が続く。やや疲れの見えるヘンゾは、ヒューズのローで体がよじれる。直後に右をヒットさせたヘンゾだが、テイクダウン狙いをがぶられ、首を引き抜いたところでパンチを受けてケージに押し込まれてしまう。

攻勢に出られないヘンゾ、最終3Rが始まりオクタゴン中央でヒューズとタッチをかわす。ヒューズのローキックで前進を拒まれるヘンゾは、左を繰り出すが、これは相打ちに。自ら組みついても、ボディを受け、さらに右ストレートを被弾する。ローが効き、手打ちのパンチしか見せることができないヘンゾ。首相撲から右ストレート、アッパーをヒットさせたヒューズが一気に攻勢に出る。

口を開け、肩で息をするヘンゾにアッパーを見舞い、ローキックで倒れ込んだヘンゾに右手を差しだし、スタンドへ引き戻したヒューズ。再びローでダウンを奪うが、引き込んだヘンゾのグラウンドに付き合うことはない。またしてもローで体がよれるヘンゾ、右ストレートを顔面に受け、息も絶え絶えになると、右を軽く受けただけで引き込むように後方へ倒れ込む。

それでも寝技につき合わないヒューズは、ヘンゾをケージに押し込んで左右のコンビネーションを連続で打ち込む。直後に放たれたアッパーを受ける前に、前方に崩れ落ちたヘンゾ。ヒューズがパウンドを落とすよりも前に、レフェリーが割って入り試合をストップ。ヒューズは危なげなく砂漠の英雄をTKOで下した。

「またオクタゴンに戻ってくるか」というジョー・ローガンの問いに、「必ず」と答えたヘンゾだったが、この日のファイトを見る限り、その活躍に多くの期待はできそうにない。

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