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【ONE106】高橋遼伍と対戦、Quiet Warrior=タン・リー「強い相手に勝つことが本当の意味で、ゴールド」

Than Le【写真】もっともっと話を訊き、その人間性に触れたいと思わせるタン・リーだ(C)MMAPLANET

10日(金・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE106「A New Tomorrow」で、タン・リーが高橋遼伍と戦う。

ベトナム系米国人、テコンドー一家に育ったタンは、テコンドー・メソットをMMAに融合して戦う。その特徴的なスタイルで、ONEではユーサップ・サーデュラエフと朴光哲をKOしてきた。

凛とした佇まい。非常に物静かでジェントルな猛者……静かなる戦士に話を訊いた。


──ONEでも3戦目となる高橋選手との試合が金曜日に行われます。今の調子はいかがですか。

「リョーゴは素晴らしい対戦相手だ。スピードがあり、左右ともにパンチが強く、なんといってもレッグキックには気を付けないといけない。彼と戦うためにしっかりと調整してきた。良い試合になるだろう。僕もフィジカル的にバッチリだし、メンタルでいえば過去最高だよ。

ONEのルールはユニファイド・ルールと違いもあるけど、その点に関しては試合を重ねるたびに慣れてきた。一見、少しの違いが試合では大きな差になってくるから、そこはしっかりと慎重にやってきたよ。そして、またリングで戦うから、コーナーに詰まらないようフットワークを使いこなそうと思う」

──8月には朴光哲選手に圧勝しました。

「う~ん、確かに試合時間は長くなかったけど圧勝ではないよ。たまたま、あのタイミングで試合が終わったということなんだ。僕としては3R戦うつもりで準備をしていたしね。この階級だと、僕はパワーがあるようだ。だから、良い一発が入ると短い夜で終わることもある。それがたまたまボクとの試合で起こったんだよ」

──既に日本ではタンの追い突き──、左の蹴りを蹴って蹴り足を戻さず、前足として着地してから左のパンチ。結果的にサウスポーからオーソにスイッチして、前手で殴る。空手流にいえば追い突きは要注意だと、ファンも承知しています。

「WOW。いやぁ凄いね、日本のファンは。本当にMMAの見方が成熟している(笑)。素晴らしいよ」

──その追い突きを警戒して、朴選手も下がらず前に出た。そこにタンは追い突きから返しの右のパンチを入れた。あのKOシーンには皆が驚かされました。

「アハハハ。スイッチはテコンドーのバックグラウンドがある僕がずっと練り続けてきた戦い方だよ。ただ構えを変えるだけでなく、左右両方の拳、そして蹴りにも力が入るように戦える。オーソとサウスポー、そして両方の手と足にKOパワーがあれば、対戦相手は本当に戦いづらくなる。結果、相手の動きを遅くし、僕の動きは効果的になるんだ。

どれだけ優秀なファイターでも、左右両方の構えから違ったプロセスをもって攻められると混乱をきたす。結果、動きが遅くなるんだ。どれだけスピードがある選手でも、オーソだけの相手、サウスポーだけの相手と戦う時と比較するとね」

──そこをしっかりと試合でも堪能したいです。その一方で、既にタンは高橋選手のローキックについて言及していますが、その下段蹴りはテコンドーにはない攻撃ですね。

「その通りだ。ただし僕はテコンドーを戦うわけじゃない。テコンドーにはテイクダウンも寝技もないよね。そのテコンドーの動きをMMAに同化させて、技や動きを磨いてきた。MMAにおける全局面を想定してきたから、もちろんローキックも頭に入っているよ。

リョーゴはローキックといっても、高さも角度も変えてくる。そこを注意しないといけないね。だからこそカウンターアタックが、大きなカギを握ってくるだろう」

──高橋選手はタンに勝てば世界と戦える。勝てないと国内レベルと言っていました。

「う~ん、そうだね……。日本のファンは本当にMMAが分かっている。つまりジムもファイターもMMAが分かっているということだよ。とにかくリョーゴには敬意を表して戦う。でも、彼はただ次に戦う相手だ。どちらがW(in)を手にするのか。日本からやってきた連勝中の選手と、米国からやってきて勝ち続けている人間が戦う。そういう試合を世界に見てほしい」

──ONEフェザー級戦線は王者マーチン・ウェンを始め、クリスチャン・リー、松嶋こよみ選手、キム・ジェウン、ゲイリー・トノン、マラット・ガフロフと錚々たるメンバーが揃っています。

「今、僕は最もタフな相手と金曜日に戦う必要がある。その後について語るなら、すぐにタイトル挑戦できようが、12試合戦う必要があろうが、この階級のベストファイターと常に戦っていきたいと思っている。それこそ僕がONEで戦う唯一の理由だよ。

メダルが欲しくてここにいるわけじゃない。ベストな相手と戦って、勝つ。それこそが本当の意味でのゴールドだと僕っは思っているから」

──素晴らしい言葉です。では、最後に日本のファンに一言お願いします。

「日本のファンに、僕とリョーゴの試合を楽しんでもらえるようベストを尽くす。絶対に下がらない戦いを見せ、KOするよ」

■ONE106対戦カード

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者]ジョナサン・ハガディ(英国)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
プジャ・トマール(インド)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
センマニー・サティアンムエタイ(タイ)
山田健太(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
タン・リー(米国)
高橋遼伍(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
リアム・ハリソン(英国)
モハメド・ビン・マムード(マレーシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ムエンタイP.K.センチャイムエタイジム(タイ)
ブライス・デルヴァル(アルジェリア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ライモンド・マゴメダリエフ(ロシア)
ジョーイ・ピエロッティ(米国)

<キックボクシング・バンタム級/3分3R>
ヴィクトー・ピント(フランス)
アダム・ノイ(アルジェリア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マー・ジャワン(中国)
シネチャグタガ・ゾルツェツェグ(モンゴル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ハン・ズーハオ(中国)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マイラ・マザール(ブラジル)
三浦彩佳(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ヨハン・ムリア・レゴウォ(インドネシア)
ロエル・ロサウロ(フィリピン)

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