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【Shooto】2019年中に伝えたかった声──沖縄編─04=仲宗根武蔵「チャンスを捨てるようなものだ」

Nakasone【写真】昨年12月1日にパーソナルジム「LOCHE PERSONAL GYM」を開いた──沖縄に根付くMMAファイター=仲宗根武蔵(C)MMAPLANET

Fight-Life現在発売中のFight &Life Vol.76では沖縄紀行として、現地のMMAと柔術の現状&将来を語った──砂辺光久と松根良太の対談記事が掲載されている。

同紀行の執筆にあたり修斗、パンクラス、DEEP、GLADIATORで活躍する沖縄在住のMMA選手、そして柔術家の声を多く拾ったが、ページ数には限りがあり記事内ではキャプションでしか伝えられなかった。MMAPLANETでは、そんな沖縄在住の選手たちの声を書き記していきたい。

題して──2019年中に伝えたかった声──沖縄編。その第4弾はTHEパラエストラ沖縄で、松根良太とともにMMAファイターとして歩んできた仲宗根武蔵の声を紹介する。

「沖縄を背負っていきたい」男のプロシューター人生とは。


──昨日は梶川卓選手にTKO勝ちを収め、半年前のTKO負けから再起を果たしました。

Nakasone fight 01「地元での試合だったので、東京や大阪での試合では見てもらえない人達の前で勝ち星が拾えたことは自分のなかで大きかったです」

──初回にダウンを奪ってから、梶川選手が相当な粘りを見せました。

Nakasone fight 02「ダウンを取った時は結構終わらせにいったのですが、タフでギリギリのところで動かれました。ギロチン、肩固め、がぶりも極めにいく技だったのですが、ギリギリのところで逃げられたりして。肩固めに関しては、松根さんから『あのままで極まった』と言われたように、自分の方で諦めてしまった形です。本当にタフな相手でした」

──仲宗根選手は国士舘大学のレスリング部に所属していましたが、MMAを始めたのはTHEパラエストラ沖縄だったと伺っています。

「ハイ。家庭の事情で大学は3年の途中でやめて、沖縄に戻ってきたんです。ちょうど沖縄に引っ越すために荷造りをしていた時に、ゴング格闘技で松根さんが沖縄にジムを開くという記事を目に入って……。そこから携帯でチェックし、松根さんのブログに連絡を入れたんです」

──道半ばにしてレスリングから身を引くことになり、それでも格闘技を続けたかったということだったのでしょうか。

「いえ、MMAをやるためにレスリングをしていたので。沖縄に帰ってこないといけなくなった時は、一旦は仕事をして落ち着いてから東京なり都会に出て、MMAを始めようと思っていました。

でも沖縄で松根さんのような凄い人がジムを開いてくれるなら、地元でプロになって沖縄を背負っていきたいと思うようになったんです」

──沖縄と東京、それでも試合機会など環境は違ったかと思います。

「回りの人にも『チャンスを捨てるようなものだ』とは、たくさん言われました。でも沖縄でやっていきたいという気持ちの方は強かったです」

──ジムとともに成長しようという想いは?

「プロを目指す人間としては初期のメンバーだったので、自分が頑張って背中を見せないといけないという気持ちでは常にいました」

──躓くこともあるのがMMAファイター人生です。そのようななか現状では、どこに目標を置いていますか。

「一戦、一戦、大切に感じていきたいです。以前は世界チャンピオンになるって意気込んでいたのですが、一つ一つが大切だと今は思っています。沖縄にいても年に多くて4試合、少なくて2試合は組んでもらっていたのですが、やはり試合のチャンスは都会より多くないので、新潟で戦った3週間後に東京で試合に出たりもしていました」

──キャリアを積むにあたって、難しいと感じることもありましたか。

「自分の場合は沖縄で良かったと思っています。地元で、実家にいて、生活拠点がここにあったので。ライフスタイルが東京よりもこっちの方が適しているので。東京だと電車に乗るという些細なこともお金がかかりますし、逆にこっちにいると親戚が家に野菜を置いていってくれたり(笑)。

お盆の時とか、『お米がいっぱいあるから、ここに置いていくね』とか──そういう部分で生活は東京にいたときよりも、全然楽になりました」

──東京で野菜が家の前に置いてあったら、逆に恐怖を感じてしまうかもしれないですね(笑)。

「ハイ(笑)。でも、松根さんがジムを開いてくれていなかったら、東京にまた行っていました。松根さんの指導を沖縄で受けることができるから、こっちでもやってこられたと思います。

今では(平良)達郎とか、下の世代が育ってきて凄く良い練習環境です。僕が始めた時とはかなり変わりましたし、ここからだと上にいけると確信できるだけの環境が整っています」

──それだけ充実した練習ができると。

「ハイ。入門当初は一般クラスでおじさんと和気あいあいとした練習をしていたのが、今ではプロ練習もありますし。質が完全に違うようになりました。皆、本当に強くなっています。

土曜日のグラップリングの日だと、出稽古にきてくれるプロ選手もいます。それにアマ修斗で毎年のように全日本チャンピオンが出ていますし、底辺の底上げがあるとプロのメンバーも実力がついてきますね。

だから沖縄でもできるんだというところを、下の選手たちと一緒に見せていきたいです!!」

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