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【ONE100 & ADCC2019】初遭遇─02─青木真也「ノーギは誰に習ったの?」✖岩本健汰「動画とか見てです」

Aoki & Iwamoto【写真】対談中は笑顔の青木、終始硬かった岩本。写真になると逆転現象。この後も両者の交流は続いている模様だ(C)MMAPLANET

初遭遇を果たした青木真也と岩本健汰対談・後編。9月28、29日に開催されるADCC世界大会66キロ級アジア・オセアニア代表の岩本、青木は2005年に77キロ級で出場している。

両者は打ち込み、スパーリングで肌を合わせた後にADCC、そしてノーギグラップリングの移り変わりを踏まえて意見を交換しあった。

<青木真也✖岩本健汰対談Part.01はコチラから>


──ADCCの歴史は柔術家とMMAファイターのぶつかり合いでしたが、MMAファイターはMMAの隆盛と共に参加も減り、技術的にも隔たりができて勝てないようになりました。さらに柔術家から、ノーギ・グラップラーの時代になりつつあります。

青木 もう3世代ぐらい違いますよね。マッハさんや宇野さんが活躍し、シャオリンがマルセリーニョに負けた。クロン・トノンやハファ・メンデスの時代があった。そして今ですよね。

──そういうなかで青木選手が岩本選手と足の取り合いができることが興味深いです

青木 ホラ、僕は今の技術をやっている人には失礼ですけど、クロンだとかゲイリー・トノンとその時々のポイントでトレンドのトップとされる人と試合をしてきて……竹槍で挑んでぶっ飛ばされるということを一応やってきたので(笑)。

──アハハハ。竹槍ではないでしょう。私は青木選手がトノンとグラップリングで戦った時に、その形に入って観念するかのようにタップした。トノンもケガをさせなかった。アレは分かっている者同士の試合。足関節で壊すぞというグラップリングではなかったことが印象に残っています。

青木 あれはですね、ゲイリーが凄かったんです。あの形に入った時にもう、壊すんじゃなくて『もうお前の負けだから』っていう態度で。そうなったら『分かった』ってタップですよ。足関節の練習で壊すとか、そんな練習はもうなくなってきたと思います。

岩本 僕も足関節でケガをしたことはないです。ケガをさせようとすると人もいないですし。

青木 MMAのスパーで若い子が足関節で頑張ろうとすると、ケガをさせたくないから『参ったしろよ!!』って怒ります。これで壊したら、俺が悪くなるだろって(笑)。

──今日も練習中に岩本選手の指が目に入った時、『ごめんね、スパー止めちゃって』と言った時には我が目を疑いましたよ。

岩本 アレはすみませんでした。

青木 いや、そんなことで怒らないでしょ。俺、何歳になったと思っているんですか。岩本選手は今何歳?

岩本 22歳です。

青木 ホラ、14歳も下ですよ。一緒に組んでもらえるだけでありがたい話です。

岩本 いえ、ありがたいのは僕の方で……。

青木 もう持っている技術が全然違う。試合を見ていても、アウトサイドで引っ掛けて内ヒールを取ることあるよね?

岩本 ハイ。あります。

青木 僕らの世代にはない技術をやっている。それを触っていないと……目にしていないと分からなくなる。だから、こうやって練習させてもらって有難いです。

──畑が違い、時代も変わってきた。そんななか岩本選手は青木選手以外にMMAファイターと練習されることはあるのですか。

岩本 青木さんはロータス世田谷で練習されているじゃないですか。そこで青木さんと練習されている人たちとスパーリングをしてみたいです。

青木 全然、来てくれたら助かります。

──今日の練習の良さは壁なしだった。岩本選手には壁は必要ないと思うんです。

青木 岩本選手が壁使ってやっても、意味ないですからね(笑)。だから僕は新しい技術を僕にくれる人として、握っておきたいんです(爆)。IGLOOさんとも時間を調整して定期的にやっていこうと思うので是非、参加してください。それで……一番やりたいのは打ち込みなんです。アレって、しんでいでしょ?

岩本 しんどかったです。

青木 プロ練はどうしてもスパーリング中心で、アレをやるのって嫌がるんですよ。アレをすると来なくなる人が出てくるし、僕も毎回やると負担が……。

──柔術を考えると、あのコントロールの打ち込みに関しては、相手は引き込むだろうなというシチュエーションがあります。

岩本 そうですね、柔術だと引き込みますね。ただADCCは試合の後半はポイント制になり、引き込むとマイナスになるので、背中を見せて逃げるという攻防が増えてくると思います。

──つまり前半と後半で別物だと考えているわけですね。

岩本 ハイ。前半はサブミッションオンリーで、後半はスクランブル・レスリングでグラウンドにならない。グラウンドになるとポイントで負けだという意識でいます。
 
──確かにADCCの後半戦はテイクダウンしても、そこでポジションを固定しないとポイントにならないのでスクランブルになります。

青木 ガチャガチャやっていますよね(笑)。昔より、またスクランブルのレベルが上がっていますしね。

岩本 あと1カ月なので、そういう練習をどんどんやりたいんです。

青木 ホント、遊んで(笑)。今日も本当に面白かったので。

──小手を抜いてバックからボディロックに行く練習で、青木選手と住村選手はボディロックなのに対して、山中健也選手と岩本選手はシートベルトを取りました。そこもMMAファイターと柔術家の違いかと。

02青木 あぁ、確かに!! なんか日本人は柔術、柔道文化が強くて襷がけになりますよね。

岩本 う~ん、ボディロックを最近では使うようにしているのですが……。

青木 これまでノーギは誰に習ってきたの?

岩本 自分で動画とか見てです。

青木 そうだよね。だってトライフォースだとノーギの臭いはしないもんね。だから突然変異だなって。道着とノーギやっていると、ノーギの方が面白いでしょ?

岩本 サブミッションにフォーカスしたノーギが面白いです。

青木 そうだよね。ラペルを引き出して、引っ掛けて。アドバンテージでどっちかが勝ったとかより。

──また、それを言う(苦笑)。どちらも成立しているので構わないではないですか。面白いですよ、アドバンテージ争い。

青木 面白いんだろうけど、俺はまどろっこしくなっちゃう。でも、岩本選手はそっちに行っていないですよね。

岩本 そうですね。サブミッションにフォーカスしてやりたいです。

──どちらも成立していて、でも以前のようにどちらも柔術だとは思わないというのはあります。それは競技柔術の方が技術的に大きく変わってきたからであって。

青木 だから両方強いって、あり得なくなってきますよね。

岩本 もう両方強い選手はごく一部で、分裂していると思います。

──そうなるとフィリッピ・プレギーサとか凄いですね。

青木 ああ、そうですね。岩本選手は道着もやっているんだよね。

岩本 ハイ。道着もやっています。道着だってできるんだって見せたいので。

青木 面白い!! 早川(光由)のところらしい。トライフォースでも他の支部だったら、岩本選手はいないな。早川さんだから、『まぁ、まあ、まぁ。良きに計らえ』っていうような態度でいられる。早川さんみたいに色々と経験して、あの立ち位置にいると、モノゴトに対して大きく構えることができる。だから、岩本選手みたいなのがトライフォースで育っている。

01──そういう2人の練習がこれから続くと、互いにインスパイアされて良い感じになってきそうですね。

青木 ありがとうございました。ホントに助かりました。俺なんて恐縮しますけど……ADCC頑張ってください。1回でも勝てれば凄いことだし、頑張って欲しいです。でも、本当にあのトーナメントは気楽に頑張ってとか言えるレベルではないので。

岩本 ハイ、こちらこそありがとうございます。頑張ってきます。

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