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お蔵入り厳禁【WJJC2019】早川光由トライフォース代表が見たムンジアル─02─「初戦に壁がありました」

Hayakawa【写真】現場で見ているからこそ、早川氏の言葉には説得力がある (C)MMAPLANET

Fight &Life Vol.73では「2019年、初夏。柔術」というタイトルの下、競技柔術最高峰のIBJJF世界ブラジリアン柔術世界選手権や各種柔術の特集が組まれている。

その柔術世界選手権=ムンジアルを毎年のように視察しているトライフォース柔術アカデミーに行った早川光由第2弾。

お蔵入り厳禁、今回から自らが率いるトライフォース勢のみならず日本のブラジリアン柔術第一世代として、日本勢の戦いと課題についても言及してもらうこととなった。

<早川光由インタビューPart.01はコチラから>


──来年に向けて、芝本選手と何か話し合われましたか。

「例年のように課題について、多くを話すことはなかったですね。動画を見て、そこで気になったことを伝えた程度です」

──芝本選手は39歳、ルースター級で最高齢です。しかも、世界一を取りに行っています。

「芝本自身も強がりでなく年齢を意識することはないです。そうなると物差しは一つだけです。去年の芝本より、今年の芝本の方が強いのか。それほど回数は多くないですけど、日常といえるレベルで芝本と練習はしていますし、山田や澤田など他の選手の様子も見られるだけ見ています。

過去最強の自分を彼らが創り上げている限りは、道場として公式に彼らをサポートします。そこに尽きます。強くなっているのだから挑戦を辞める理由もないですし、年齢で区切りをつけることは考えていないです。と同時に世界大会がポイント保有者で競われるようになっているので、弱くなればアジア大会でポイントを獲得できないようになると、自然とその道は閉ざされますしね。

アジア、ヨーロッパ、パンという場でポイントを取るべきですし。それができなくなればキャリアを終える時になります。そこは僕が決めるコトではないですし、彼が過去最強の自分を創る限り、世界大会にも出続けることはできるはずです。実際に日本で彼の牙城を崩すような選手は橋本選手しかいないですから。何よりも芝本自身の闘志が衰えていないです」

──澤田選手に関しては?

「橋本選手と戦うということで、ある程度の実力差があることを理解した戦術を立てていたと思います。後半に山場を創るはずだったのが、序盤でサワダ・バーに行けそうな瞬間があり、そこに引っ張られた感はありますね」

──写真を撮っていて『あっ、仕掛ける』と分かりました。

「ということは橋本選手も分かっているでしょうし、そこを待っていたぐらいの感はありますね。総合力で上回るのは難しい。勝てるとすればサワダ・バー、だから行ける時に仕掛けた澤田は間違っていないです。それを上回る対応をされましたが。バックもあの場面から、あそこまで一気に持っていけるかという動きでした。完敗でしたね」

──その橋本選手が今年は表彰台を逃しました。

「芝本の試合と重なっていましたが、見られるだけ見ました。クレベル・ソウザに対して、地力では劣っていなかったです。2度ほど、バックを取りきれなくて負けましたが、あと一手早ければバックを制していたでしょう。相手が得点を取ったということが大前提ですが、試合は創っていました。

それと橋本選手は相当に研究されているとは感じました。なのでまた表彰台に戻る、そこからさらに上を目指すという戦いでは乗り越えないといけない部分が出てくるのかと思います」

──では山田秀之選手の戦いぶりはいかがでしたか。

「普通に良い試合はしていました。去年は1回戦を勝ったのですが……他の日本人選手と同様に初戦に壁がありましたね。うちの(芝本)さおりが一勝できたのは良かったです。去年はワンサイドで敗れたので。女子はトーナメント枠によって左右されるところがあり、まだ分からないところがありますが、この一勝で自信をつけてこれからに生かして欲しいと思います」

──それにしても、日本人選手は1勝するのが難しかったです。コンペ練習にやってくる嶋田裕太選手も初戦で負けました。

「う~ん、日本のライトフェザー級ではうちの山田、鍵山士門君と比較しても嶋田君は頭2つ分は抜けています。それだけの実力があるのに、海外で勝てていない。メンタル的なモノなのか……、コンペクラスに来ている誰もがその強さを認めている存在なのですが……。

結果が出ていないことで自信が確信に繋がらないフェーズというのは誰もが経験するモノです。真っ向勝負する選手なので、結果が残せるゲームプランなどを構築すべきかとは感じました」

──そういう部分で嶋田選手など、完全に個人でのチャレンジです。実際にマットで戦うのは1人でも、ムンジアルはチーム戦の要素もあると思います。早川さんが現場にいたように、名門アカデミーは指導者が最前列に陣取って指示を送っています。ただし、多くの日本勢はそうでない。競り合っていると、その差は違うのではないかと……。

「そこは人それぞれではないでしょうか。嶋田君が今の状況をどのように感じているのか……ですね。色々なところで指導しているので、そういう風に環境が整わないというのはあるかもしれないですね」

<この項、続く>

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