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【ONE96】秋山成勲が語った韓国格闘技界への想いとアギラン・タニ戦「命を削って戦います」

Akiyama【写真】「老い」を受けいれて戦うという秋山。どのようなファイトを見せてくれるか(C)TSP

15日(土・現地時間)、中国・上海のバオシェン・ティユウ・チュンシンで開催されるONE96「Legendary Quest」。同大会でONEデビュー戦をアギラン・タニと戦う秋山成勲をAbema TV公式YouTubeチャンネル「THE WONDER」が密着した。

ONEDAYに続く、Abema TVのドキュメンタリー・プログラムTHE WONDERはMMAファイターとONE契約ファイターのWONDER(驚き・不思議)を追うシリーズだ。

MMAPLANETでは同番組内で2015年11月以来の実戦に向かう秋山に対し、主にアギラン・タニ戦に特化した取材を行った。ここでは秋山がONEを選んだ理由と韓国格闘技界への想い、そしてタニ戦に関して掘り下げてお伝えしたい。


──アギラン・タニ戦に向けて、話を伺う前にまずONEと契約した理由に関して教えていただけないでしょうか。

「ONEを選んだ理由は、凄く良いタイミングで話が来たということがあります。そしてチャトリの人柄とパッションの強さに惹かれたのは事実です。ただし、まだUFCとの契約が残っていたので、そこをクリアにしてからでないとONEとそういう話はできなかったです」

──では、もうUFCとの契約は解約されたわけですね。

「ハイ。UFCの方も凄く紳士的に対応してくれて、レスポンスも早かったです。ちゃんと理解をしてくれて話は進みました」

──3年間試合に出ていなかった秋山選手に、どれだけ現役を続ける意思があったのかも我々には分かっていなかったです。

「引退に関しては何度か考えたことはありました。ただUFCがもう一度韓国で大会を開くという話で落ち着いており、それまで他の国で試合はしないということになっていました。その韓国大会の延期が続き全然実現しなかったので、正直このまま終わるんじゃないかという感じにはなっていました」

──では、韓国で大会があるなら戦うという意思を持たれていたと。

「ハイ、なのでONEから声を掛けてもらったのでやろうと思ったのかもしれないです」

──UFCの韓国大会に拘った。そしてONEと契約。ONEも韓国進出を公言していますが、そこに役立ちたいという気持ちはありましたか。

「もちろん、あります。選手としての契約だけでなく、ONEチャンピオンシップが韓国に進出するためのビジネスという部分も考慮した上で、チャトリとも話をしました。

これから韓国大会に向けて、またそれ以降の選手のリクルートに関してもチャトリの方から『秋山に任せる』と言ってもらえました。『色々な部分で、お前にちゃんとやってほしい』という話になっています」

──今、韓国はUFCの開催が途絶え、ROAD FCやTOP FCという国内大会も以前のような勢いがない。ただし、選手は育っています。

「そういう選手の受け皿にONEがなって欲しいという気持ちは当然持っています。ONEのイベント開催数、MMAだけでなくキックやムエタイも組まれている大会形式を考えると、それだけ大きな受け皿になると思いますし、皆のモチベーションになります。他の団体よりファイトマネーも良いと思いますしね。そういう現実的な部分に関しても、韓国の選手もONEで戦いたいと思うでしょうし、夢や将来があると考えると思います」

──逆を言えば秋山選手からすると、現状の韓国の格闘技界に不安を感じているということが言えますか。

「そうですね。UFCが一度は盛り上がりましたが、韓国の文化、韓国人の人柄もありますし、今はそれほど盛り上がっていないです。盛り上がっていないのには、ちゃんと理由もあります。

そういう理由をしっかりと洗い出し、マーケティングをすればONEは必ず皆に受け入れられると思います。その前の段階で、ONEに関しては選手が盛り上がるでしょうね」

──韓国と同じように、現時点で日本でも世界最高峰であるUFCは定着しませんでした。もう少し日本流の普及方法もあるだろうし、現状にあったプロモーション活動をしてほしかったということがありますか、韓国も同じような問題を抱えているのですか。

「やはり文化が違いますからね。韓国は韓国のやり方、日本は日本のやり方があり、米国には米国のやり方があります。そこでボタンの掛け違いがあると良くないですよね」

──その一方で、チャトリCEOの日本への力の入れ方は凄まじいものがありました。日本のMMA再生にチャトリCEOが力を注いだことも、韓国との現状を顧みて秋山選手のONE入りへの背中を押した一因になりましたか。

「そこは絶対にあります。選手の行き場所、そして先ほども言ったファイトマネーですよね。韓国の若い選手は厳しい条件で戦っているので、どこまでモチベーションを維持できるのかという状況です。そういった選手を育て、強くなって結果を残せる選手はしっかりとお金が貰えるシステムをONEと作っていきたいですね」

──その想いや言葉に、より力を持たすためにもタニ戦は大切な試合になってきます。そこで、この3年のブランクはどのように影響するでしょうか。タイガームエタイでのミット打ちの動画を見させていただき、一発一発は鋭さも力強さもありましたが、正直なところその動きが持続できるのか不安は残っています。スタミナは持つのかと。

「いやいやいや、そんなもんオッサンですから、疲れるのは早いですよ(笑)。そんなん、当たり前じゃないですか。体力は全然違いますよ」

──そこを踏まえて調整してきたと。

「ハイ、時間は掛かりました。体のケアの部分でも、いつの間にかケガをしたり。そこが回復するのに時間が掛かるようになりましたね。スタミナもそうですね、動くとすぐに疲れる。これって年、老いなんです。老いが成すモノなので、どうしようもない。

だから、それを受け入れながらどうしていくのか。そこの部分で時間が掛かりました」

──タイガームエタイを練習場所に選んだのは?

「食べ物、気候、トレーニング、練習相手、全てが整っています。滞在費もセーブできますしね。ストレスがなくなりますよね、ああいう場所で練習できていると」

──体格の合う練習相手もいましたか。

「たくさんいました。UFCに出ている選手やONEに出ている選手、ロシアから来ている軍団だとかもうゴロゴロいました。ロシアの連中は怖いですよ(笑)」

──そのような怖い相手と練習し、アギラン・タニと相対することになります。どのような印象を持っていますか。

「実はONEでプーケットに行ったとき(※エリート・アスリート・リトリート)に向こうで一度、グラウンドだけですけど練習しているんですよ。グラップリングですけど、強かったです。

凄く力が強くて……体の持っている強さってあるじゃないですか? そこが印象深かったですね。今から考えると少しでも肌を合わせることができて良かったと思います。アレがないと、彼の体形を見て力が強いと考えることはなかったでしょうし。大丈夫だって、過信していたと思うので」

──現ウェルター級王者のゼバスチャン・カデスタムと戦った時と、キャムラン・アバソフと戦った時はあまりにも対照的でした。カデスタム戦は敗れたとはいえ粘りを見せ、アバソフ戦はアッという間に仕留められました。

「アバソフ戦はしょうがないですよ。アレはもう、ヤバイです。あれはおかしいですから。だから僕との試合では、強いメンタルでやってくると思っています。フレッシュで若い。そういった意味でも僕よりもポテンシャルのある選手なので、頑張らないといけないですね」

──秋山選手も現時点で最後の実戦だったアルベルト・ミナ戦はスプリットで敗れましたが、最後まで粘り気持ちが折れることがなかったです。韓国で戦うだとか、そういうシチュエーションで気持ちも変わってくるモノなのでしょうか。

「そういうコトはどこかにあると思います。なので今回もあの時のような気持ちでいかないと……絶対に勝てないでしょうし」

──ズバリどのような試合をしたいですか。

「どのような試合をしたい? それは楽な試合をしたいですよ(笑)。皆、そうじゃないでしょうか。楽に勝てる試合がしたいですけど、そんなことは無理だから命を削って戦います」

──色々な想いがあってONEで戦います。現役ファイターとしてのONEでの目標を教えてください。

「現役選手として試合をしながら、ONEで韓国人選手の育成ができる……そういう選手になりたいです」

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