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【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その弐─シャーウス・オリヴェイラ✖ニック・レンツ

Shinya Aoki【写真】今回の取材はクリスチャン・リー戦から10日後に行われたが、青木の目はまだ赤い部分が多く残っていた (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ5月の一番、第2弾は18日に開催されたUFN152からシャーウス・オリヴェイラ✖ニック・レンツの一戦を語らおう。


──5月の青木真也が選ぶ、この一番。2試合目は?

「シャーウス・オリヴェイラとニック・レンツですね」

─!! 今回は2試合連続で意外なところです。

「そうですか? ゲイリー・トノンとの試合も考えましたが……失礼になるけど、試合のレベルとしてシャーウス・オリヴェイラとレンツになりました。レンツも強いし、オリヴェイラに関しては強い打撃と強いサブミッションの選手、レベルが違いますよね。

下になっても引っかけて、足関もあるし。近い距離でのヒジもヒザも強い。アレは厄介ですよ。結果的にスクランブルになっている。サブミッションが強いからできるスクランブルで、レスラーは相手にするのが凄く嫌だと思います」

──主流派が嫌がるスタイルだから、際立ってくるのですね。

「レスラーのテイクダウンを無効化しますよね。下からのコントロール、攻めの評価が少ないなかでアレだけできるのは化け物でしょう。ちょっと流れは違いますが、今成(正和)選手に打撃、エルボーやヒジがあるのがシャーウス・オリヴェイラじゃないかと思います。

足関節はスイープだというのは、中井(祐樹)さんが早い段階で言っていたことなんです。オモプラッタとヒールフックはスイープだと言っていました。でスイープは2Pだから、2Pのモノはテイクダウンだという教えで。がぶりはパスガードだという言葉と一緒に教えられましたね。もともと八隅(孝平)さんも言っていたし、それがパラエストラの教えになっていました」

──オリヴェイラはそのグラウンドで翻弄していて、最後は右ストレートでした。

「北米MMAの勝ち方の裏側をやって勝っている。だから気になるんです。独創性がある選手なので」

──今後の展開を考えると。

「チャンピオンシップとかを考えて、ドキドキすることはないですね。マックス・ホロウェイとの絡みとか。シャーウス・オリヴェイラが出る、そこで見たい選手なんです。5試合連続とかでフィニッシュして、首の取り方もスタンドでも取れるし、寝技でも取れる。勝負どころで落としたり、そもそもこれだけ勝っていても、そういう試合自体があまり組まれていない。でも北岡さんに勝ったウィル・ブルックスとかに勝っていて。と同時にニック・レンツが強い」

──レンツも評価されるファイトだったと

「だって、もうUFCで10年ですよ。レスリングが強くて頑張っていて。マーク・ボチェックと戦った試合(※2011年12月)とか、グラップラー同士の試合で凄く面白かったですし。シャーウス・オリヴェイラも、それをいえばもう9年とか、長いですね。

2人ともUFCでそれだけ戦うって……年金は出ないですけど(笑)、リスペクトされるという年金はつきますよ。それでいて、オリヴェイラはダメージの蓄積も見られない。そこは練習体系も関係していると思います」

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