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【WJJC2019】激戦区ミドル級の優勝候補はバイエンス、注目ランガカーの前に立ちはだかるアウジェス

Tommy Langaker【写真】2019年のムンジアルで、最大の激戦区ミドル級で再注目なのが、ノルウェーのトミー・ランガカーだ(C)SATOSHI NARITA

5月29日(水・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われている。プレビュー最終回となる第5回は、今大会最激戦区となるミドル級の見所をお届けしたい。


Isaque Bahienseライト級の層が薄くなったぶん、恐ろしいほどの群雄割拠状態となったミドル級。その中でも優勝候補筆頭として挙げられるのは、昨年王者のイザッキ・バイエンス(アリアンシ)だ。

絶対的なスクランブル力で決して下を譲らず、また相手のガードの中にあっても抜群の反応で極めを許さないその戦い方は、まさに難攻不落と言えるだろう。

その強力な対抗馬は、凄まじい極めの力で昨年世界を席巻したノルウェーのトミー・ランガカー(KMR BJJ KIMURA)となるか。昨年1月のヨーロピアン大会の無差別級にて、重量級の怪物エルベース・サントスを三角十字で仕留めて世界を驚かせた北欧の新星は、世界大会では前年度王者ガブリエル・アウジェス、前年度準優勝のマルコス・ティノコの両者をベリンボロからのチョークで一蹴し(正確にはアウジェスはタップせず場外逃避で反則負け)、さらに激しく世界を震撼させた。

決勝のバイエンス戦こそ、最初に仕掛けた跳び三角で点を失い敗れたものの、終始技を仕掛け続けてバイエンスに終始防戦を余儀なくさせる戦いぶりだった。

そんなランガカーは、今年のヨーロピアンでも決勝に勝ち上がりバイエンスと再戦。前年のようにひたすら極めを狙うだけでなくポジションも重視する戦い方を見せたが、バイエンスの驚異的なスクランブル力と反応力の前に惜敗している。ワールドプロでは一階級落とし、最大のライバルと目されたジョーンズレアリーの敗戦もあり順当勝ちしたランガカーは、今回再びミドルで世界獲りを狙う。バイエンスとの3度目の対決が実現するとしたら決勝戦だ。

Argesランガカーの決勝進出のための最大の関門が、16,17年度の王者のガブリエル・アウジェス(グレイシー・バッハ)。誰が相手でもたちどころにスイープを決める世界最高のオープンガードの使い手にして、高い身体能力から繰り出すダイナミックなトップゲーム&極めも強烈無比な万能戦士だ。

圧倒的な優勝候補として臨んだ昨年の世界大会では、ランガカーに不覚を取って準々決勝敗退の憂き目に合わされただけに、今回リベンジに賭ける思いは強いだろう。ランガカーと当たるとしたら準決勝だ。

だがアウジェスは、ランガカーとのリベンジ戦実現の前に準々決勝で大物ベテラン戦士と戦う可能性が高い。15年に世界選手権ミドル級とADCC世界大会無差別級を制したクラウジオ・カラザンス(アトス)だ。翌16年の世界大会でアウジェスのヒザ十字に不覚を取ったカラザンスは、その後は17年のワールドプロ優勝を除きビッグタイトルには恵まれていない。ここはアウジェスに雪辱を果たしてベテラン復活をアピールしたいところだろう。もっとも、カラザンスはアウジェス戦にたどり着く前に、強力なレスリングベースを持つDJ・ジャクソン(ロイド・アーヴィン)を倒す必要がある。

Marcos Tinocoそしてバイエンスのチームメイトにして、そのアウジェスと17年の世界大会決勝を争ったマルコス・ティノコ(アリアンシ)もまた、今大会の優勝候補だ。昨年はアウジェス同様ランガカーの怒涛の攻撃に不覚を取ったが、百戦錬磨だけに今年は同じ轍は踏まないだろう。ランガカーとのリベンジ戦が実現するのは準々決勝。このランガカー対ティノコの勝者が、アウジェス対カラザンスの勝者と決勝進出を掛けて戦うことになる可能性が高い。

さらにグレイシー・バッハにおけるアウジェスの先輩にして、12、13、16年の世界王者オターヴィオ・ソウザ(16年はアウジェスとクローズアウト)も久々の優勝を狙う。今年のパン大会決勝ではバイエンスに惜敗したものの、ブラジレイロでは優勝して復調ぶりをアピールしている極め技師ソウザ。バイエンス戦が実現するとしたら準決勝となる。

JTまた、ライト級にて長年絶対王者ルーカス・レプリの牙城を脅かすライバルであり、17年ADCC世界大会ではレプリを倒してノーギ・グラップリングの世界の頂点に立ったJT・トレスもミドル級にエントリーしている。

この階級ではやや力負けする懸念もあるトレスだが、一昨年にはティノコに完勝した実績もある。準々決勝で実現濃厚のバイエンスとの対戦が、大いに注目だ。

とにかく誰が決勝に歩を進めてくるのか。最大の潰し合いがミドル級で見られる。

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