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【Polaris10】ニッキー・ライアンが攻め抜いて、凌ぐユライアを相手に判定でフェザー級のベルトを守る

<フェザー級選手権試合/15分1R>
ニッキー・ライアン(米国)
Def.3-0
ユライア・フェイバー(米国)

ラッシュを着用せず戦うユライア、スリッピーになる展開を望んでいることが分かる。座ったニッキーの頭、胸を叩くように押すユライア。スクートで前に出るニッキーがバタフライフックからリバーサルを狙う。耐えたユライアのプッシュに、激しすぎるとレフェリーから注意が入る。左手を差したが、押し返されたニッキーはひたすら座って勝負し、ユライアがタイトにならない様に突き放す展開が続く。

グラップリングマッチでも、グラップリングで攻めないメンタルを米国人もブラジル人も持っている。ならばと立ち上がったライアンは、滑り込んで足を挟もうとしたが、ユライアの固い防御を崩せない。それでも正座の状態から、ユライアが頭を押して後方に立ち上がろうとし両足が揃った刹那、ニッキーは両脹脛に両手で掴み、左手でユライアの右足を取りながら、自らの足をこじ入れていく。腹ばいのゲイブルグリップ・ヒールからRNCクラッチのヒールを狙うニッキー。

ユライアはニッキーの手首を掴んで、クラッチを剥がそうとする。一転、跳ね上がるようにして後方への移動を試みたユライアだが、これもならず再び距離を詰めてニッキーの頭を引き寄せようとする。手首を掴み、ヒザを畳んで隙間を作るユライアは、これも諦めロールへ。直後に上を向いた時にはニッキーの両足は深く入り込み、左足に絡みこんでサドルの態勢になっている。

ここからニッキーは足首のクラッチを右足から左足に移行し、バタフライグリップ&インサイドヒールで捻りあげる。ユライアはニッキーのヒザを押して自らのヒザを抜こうとするが、抜くことができない。そのままロールを続けマットから落ちる方向にユライアは進む。

両者がマットから落ちないようにレフェリーがブレイクを命じる。腹ばいのユライア、同じ姿勢でマット中央方向に移動するが、サドル&インサイドヒールの形が完全にセットアップされてしまっており絶体絶命のピンチだ。

再開の合図前に動いてヒザを抜こうとするユライア、レフェリーがもう一度ヒザが入った形で足のフックを作り直す。リスタートに手間取る競技運営陣。レフェリー2人が、両者の体をマット中央に戻し試合が再開する。ユライアはそれでも太腿を押して、ヒールから逃れようと執念を見せつけ、ついには腹ばいになって足を抜くことに成功する。

そのまま走るように離れたユライアを追いかけたニッキーだが、スタンドで捕らえることはできない。再び座ったニッキーの胸をプッシュするユライアは、まるでパウンドを打ち込むかの如く鬼の形相になっている。そして汗で滑るユライアの上半身、顔や喉を押す仕草はほとんど張り手状態だ。

レフェリーの注意にも、押しているだけだろうと険しい表情のユライアはシッティングのニッキーの頭を掴んで胸元に近づけようとする。ニッキーは距離が縮まると、ダブルアンダーフックを狙うが、ユライアが押し潰してルーズにする。さらに座った状態で右を差してきたニッキーに対し、ユライアは果敢にパスガードを仕掛けていく。当然のように正対し、足をきかせるニッキーはバタフライスイープでユライアの体をリフト。

ヒザで着地したユライアが、立ち上がって頭を抱えるようにパスガードへ。腰を押してリバーサルを狙うニッキー、このスクランブルで両者がスタンドへ。すぐに座ったニッキーに対し、ユライアは疲れてきたのか体重をかける場面が増えてくる。それでも苦しい時に攻めていくのがユライアだ。パスを狙いニッキーがガードをキープする展開に。

デラヒーバは許さず、離れたユライアはギロチンパスの機会を伺う。試合は残り3分になり、ニッキーがデラヒーバから後方回転。ヒールに入ろうとしたがユライアが尻を蹴ってエスケープに成功する。すぐに座り直したニッキーに対し、ユライアは思い切り足を入れてハーフで胸を合わせにいく。ニッキーは潜りから反転して足を取るものの、ユライアはここも体を反転させて足関節を許さない。

ユライアは攻めの姿勢でタイトな距離を位置し、ニッキーの左足を抱える。その腕を取られそうになり、ワキを締めるユライア。ニッキーはバタフライスイープで、ユライアを浮かせる。立ち上がったユライアは、正座状態でグラウンドへ。ニッキーが右腕を差そうとすると、パスを合わせていく。ハーフバタフライのニッキーが、左腕を差しながら立ち上がりつつ──前転して右足にヒールを仕掛ける。すぐにロールして逃れたユライアが攻めの姿勢を保つことで、ニッキーのハーフバタフライから仕掛けが増える。

試合タイムは残り10秒となり、パスを仕掛けたユライアが一瞬動きを止める。カカトを取り、足をこじ入れたニッキーがインサイドヒールへ。完全に入ると同時に、タイムアップ。ニッキーが判定勝ちで王座防衛──も、取らせなかったユライアは満足したように笑みを浮かべた。

「押して離れようとする相手を捕まえるのは難しいんだ。仕留めることができなかった自分のパフォーマンスが残念でならない。次はきっとライト級に上げてベルトを狙うことになるだろう」とニッキーは淡々とコメントし、ユライアのインタビューを聞くことなくマットを後にした。

対してユライアは「試合が終わったし、ニッキーにはやるときはやれと伝えたよ。僕はテクニックもあるけど、やりにいける。ただ彼は別次元のグラップラーだった。そしてスクートが速かったよ(笑)。レスリングをもう少ししたいというのはあったけど、ニッキーが人生を賭けているグラップリングに敬意を表して戦ったんだ。40歳のオヤジが、17歳の人間の敵になる必要なんてないんだ。でも、ニッキーのグラップリングへの姿勢は本当に素晴らしいからね。それに世界のベストガイとグラップリングするのは楽しいよ」とユライアは語った。


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