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【JBJJF】東京JJオープン黒帯フェザー級出場。濱崎一登「身障者の方に柔術の楽しさを知っていただけたら」

Lotus BJJ【写真】プログラップリングでなく柔術クラスの会員さんと八隅孝平の集合写真は新鮮。八隅の右が濱崎だ (C)KAZUTO HAMASAKI

22日(金)、東京都墨田区にある墨田区総合体育館で日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)主催の第7回東京柔術オープントーナメントが、第13回全日本マスター柔術選手権に先んじて開催される。

平日開催ながらエントリー数が多い同オープンは、アダルト黒帯が各階級に集まっている。アダルト黒帯フェザー級に出場するロータス世田谷の濱崎一登も、その1人だ。ロータス世田谷所属の濱崎は、ヒザのケガを乗り越えて、頂点を狙う。その視線の先には、うっすらと意外な景色が見えていた。
Text by Takao Matsui


――濱崎選手が、ブラジリアン柔術を始めた経緯を教えてください。

「経緯ですか……、ちょっと長くなるかもしれませんけど、小学生の頃からプロレスが大好きでよく見ていました。とくにグレートムタが好きで、単純に小さい子が『ドラゴンボール』に熱中しているような感じで見ていました。でも、中学生の時にPRIDEを見て、総合格闘技に興味を持つようになって」

――ちなみにPRIDEは、誰が好きだったのでしょうか。

「アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラです。その辺りから寝技に興味を持ち始めました。中学2年の時に柔道を始めて、寝技ばかりやっていましたね。そして19歳の時に、リバーサル格闘技ジムへ入門しました。最初は北出拓也さん、そして北田俊亮さんや片岡誠人さんに指導していただきました。グラップリングと柔術の両方のクラスに出ていました」

――プロレス→PRIDE→柔術、一時期の格闘ファン、そして柔術家の王道を行っているような感じがします(笑)。そして、柔術にはまりましたか。

「ですね。なんか技術のことを考え始めると楽しいんですよね。いくつかの技術を同時進行で長く考えていき、自分に合わないと思えば捨てるようにしています」

――深く広く研究して、自分に合っている技術だけを落とし込んでいくと。目標にしている選手はいますか。

「やはりハファエル・メンデスやコブリーニャ(フーベン・シャーレス)、そしてマイキー・ムスメシですね。もちろん自分とは次元の違う強さを持っていますが、彼らの技術はとても勉強になります」

――柔術における理想のスタイルはあるのでしょうか。

「究極を言えば、全局面において高いレベルを保つことですが、あくまでもそれは理想論です。ただ高い目標を持つことによって、レベルアップする幅が大きくなると思っていますので、そこを目指したいです」

――目標を高く持つこともやり方のひとつですからね。Twitterを拝見しましたが、1年前に手術をされたようですね。

「一昨年の6月頃、練習後にヒザに違和感があったんです。可動域が小さくなっていて、動かすと痛いなと思うようになりました。病院で診てもらったら、骨膜がボロボロになっていて、前十字靱帯がほとんど断裂した状態だと診断されました。

ガマンすれば練習や試合ができなかったわけではないけど、この先のことを考えれば手術をした方がいいと判断して、昨年1月に前十字靱帯の再建手術をしました。それからリハビリと上半身の筋トレをして、9月に柔術の練習を再開することができました。12月にはノーギの試合をして3回勝って優勝することができて、本当に嬉しかったです。1年7ヵ月ぶりの試合でした」

――そこまでの長いブランクがあったわけですから、不安ではなかったですか。

「動画を見て研究を怠らなかったし、筋トレも欠かさずにしていたので、そこまで心配はしていませんでした。実際に動きは落ちていませんでしたし、安心しました。戦略を忘れていた部分があって、ムダに攻めたところは反省点ですが」

――結果はもちろんのこと、柔術ができる喜びを感じたのではないですか。

「それはありますね。自分は柔術やノーギが好きなんだなって、再確認できました」

――やはりそうでしたか。ロータス世田谷に所属されていますが、どんな雰囲気なのでしょうか。

「柔術が大好きな人たちが集まる感じですが、ライト層が多いですかね。あとは、ガチスパーが特徴ですね。八隅(孝平)さんと2人で、延々とガチスパーをしていることもあります。それは自分たちだけで、基本的には、みんなで楽しくやっていますよ(笑)」

――指導はしていないのですか。

「今は自分のことだけですね。一度、考えたことはありますが、なかなかそれだけで食べて行くのは難しいじゃないですか。自分なんか、黒帯の中でもペーペーの方ですからね。それに……こうして取り上げてくれるのは嬉しいですが、自分なんかで良いんですかね? もっと強い人はたくさんいますし、なんか他の選手に怒られそうです」

――さすがに怒る人はいないでしょう(笑)。ちなみに仕事は何をされているのですか。

「医者です。2年前に日本へ帰国しました。二子玉川のタワーマンションの最上階に住んでいます……、って言おうと思いましたが、じつは福祉関係のアルバイトの仕事をしています」

――ズコッ。福祉? どのような業務ですか?

「身障者の方に就労支援をする仕事です。自分が担当しているのは重度の方ではないので、そこまで大変ではないんですが、同じことを何度も教えて覚えていってもらっています。何回言っても、覚えられない方もいるので、根気との戦いです。こう言ってはなんですが、健常者でいることだけでも、僕らは幸せだなと思います。何か彼らの力になれればいいなと、いつも思っています」

――とてもやりがいのある立派な仕事ではないですか!!

「そうですかね。自分では分からないです。柔術をやっているのでガテン系の仕事は辞めて、営業とか事務仕事はできないし、消去法で探して辿り着いたのが今の仕事なんです。だから、全然、立派とかそんな感じではないんですよ」

――今の濱崎さんのポジションだと福祉と柔術を絡めて、何かできるのではないですかね。

「それは考えています。ブラインド柔術とか、体にハンデのある方でも柔術はできると思うんですよね。Twitterで調べたら、柔術をやっている女性が福祉の仕事をしていたんです。そうした方とつながることで、身障者の方に生きる喜びと柔術の楽しさを知っていただけたら嬉しいですね。

今は柔術が上手くなることしか考えられませんが、将来的には、そうしたことも視野に入れて行きたいです。自分ひとりでは難しいかもしれませんが、志が同じような人が集まって、何かそういう場を作れたら良いかなと思っています」

――素晴らしいです。

「そのためにも、復帰2戦目になりますが、東京オープンで結果を残したいですね。結果を残して発信していけば、さらに大きなことにつながるかもしれませんから」

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