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【JBJJF】2018年JBJJF女子茶帯ランク1位=松本彩「プライドと自覚を持って大会に臨みます」

Aya Matsumoto【写真】黒帯になった松本が、どのような柔術を2019年には魅せてくれるのか (C) JBJJF

日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)の2018年女子アダルト茶帯ランキング1位に輝いたのは、ドラゴンズデンからカルペディエムへ移籍した松本彩だ。

第1回アマチュアクインテットでは、ムンジアル4連覇の湯浅麗歌子率いるチーム「GTS」のメンバーとして、先鋒を任された松本は、見事に3人抜きを果たしてチームの勝利に貢献。黒帯の昇段を決めたばかりの松本に、女性ならではの視線で見た柔術と、今後の活動方針を訊いてみた。

Text by Takao Matsui


――夜遅くの取材で申し訳ございません。

「いえいえ、こちらこそ普段は仕事をしていますので、なかなか対応できずにすみません」

――JBJJFの2018年女子アダルト茶帯ランキング1位に輝きました。その記念インタビューになります。

「ありがとうございます。私よりも強い選手がいる中で、こうして1位になれたことは嬉しいです。最初は狙っていなかったのですが、周りから言われるようになって途中から意識するようになりました。1位になると出場費が免除になるので、頑張りました(笑)」

――それは、おめでとうございます。ちなみに仕事は、何をされているのでしょうか。

「WEBの社内向けアプリケーション開発のプログラマーです。土日が休みで、平日は遅くても夜8時には仕事が終わりますので、いつも道着を持参で会社へ通っています」

――柔術着を会社へ持ち込む戦う美人OLですか!! えらい古い表現ですけど(笑)。

「やめてください、そういう表現は(苦笑)。普通に柔術家で良いですよ」

――月並みな質問ですが、彼氏はいますか。

「います。柔術はやっていませんけど」

――彼氏さんは、一緒にやらないのですか。

「楽しいので誘ってはいるんですけど、『またね』と言ったきり、練習の見学すらしませんね。でも大きい大会になると応援に来てくれますので、それでも良いかなと思っています。自分のせいで練習へ行けなくなるのは嫌みたいで、大会前は柔術の練習を優先して良いと言ってくれています」

――理解のある彼氏でよかったですね。ところで柔術を始めたキッカケは、何だったのでしょうか。

「私はとても影響を受けやすい性格なんです。それで友達とアクション映画を観て、格闘シーンに興奮してしまって。自分でも何か格闘技をやってみたくなったんです」

――スポーツや格闘技の経験はあったのですか。

「一応、柔道をやっていました。あと水泳、陸上とか。体を動かすことが好きなんです。それで、空手、合気道などの練習を見学しに行きました。その流れの中で、友達に徳島柔術を紹介してもらって、いきなりスパーリングをしたら楽しくてはまってしまいました。

柔道はある程度の技の形が決まっていますが、柔術は決まった形がなく自由じゃないですか。そこが私には合っていたのだと思います」

――そこから、柔術にはまっていったのですね。

「そうですね。いろいろな技があるし、人によってやり方が違います。自分のやり方ができることが、一番の魅力ですね。前にできなかったことが、練習することによってできるようになると、とても楽しいし嬉しいです」

――女性が柔術を学ぶのは、敷居の高さを感じる人もいるかもしれませんね。

「ほとんどのジムは、男性とのスパーリングになりますので、たしかに最初は抵抗があるかもしれません。とくに柔術は密着する競技ですからね」

――その壁を乗り越えるためには、どうすれば良いでしょうか。

「特別に意識をしないことですね。スポーツをやっているので、実際にスパーリングをしてみたら、そこまで嫌な感情は出てきません。あとは選手としてやるか、ダイエットなどを目的に楽しむだけにするのか、大きく2つに分かれると思います。

試合をしないで楽しむことも有りですし、大会に出る人は例え負けたとしても思い詰めることはありません。楽しむために柔術はありますので、その距離感を自分なりに保てればいいのではないでしょうか」

――なるほど、参考になる女性も多いことでしょう。2018年は、たくさん試合をやられたと思いますが、印象に残っている大会はありますか。

「小さい大会もたくさん出ましたので絞り切るのは難しいですが、アブダビ・グランドスラム東京、全日本選手権、アジア選手権、そしてクインテットですかね。アブダビは、メイサ・バストス選手と決勝で対戦して1分でバックを奪われてチョークを極められました。前回大会も同じようにやられたので、悔しかったです」

――全日本選手権は、女子アダルト茶帯ルースター級で優勝しましたね。

「いつも対戦することになるんですけど、越後伊織選手、伊元涼子選手に何とか勝てました。アジア選手権も、ハワイの選手にリベンジすることができてよかったです」

――そしてクインテットでの3人抜きは素晴らしかったです。

「すごく楽しかったです。グラップリングの試合は、どうなるか読めない部分もありましたが、自分の動きだけに集中して戦いました」

――3人抜きもあり、湯浅選手の出番なく勝利が決まりました。

「湯浅選手も含めて3人の出番がなく、申し訳ない思いでいっぱいでした。みんな試合をやりたかったと思うので。でもチーム一丸となって試合ができたので、それは楽しかったです」

――湯浅選手は、世界選手権4連覇の偉業を達成しています。彼女は松本選手にとってはどんな存在ですか。

「憧れと言うか、異次元の存在ですね。世界選手権4連覇は、彼女しかできないと思います。私なんかと比較にならないほど練習をしているでしょうし、意識の次元も全然違うと思います」

――松本選手も世界を意識しているのでしょうか。

「世界ですか……、紫帯の時にヨーロピアンに出場して以来ですから、海外で試合をしたのは3年くらい前になりますね。あの時と比較すると、メイサ・バストス選手も含めて新世代が台頭してきている印象があります。

世界の頂点を目指すのかと訊かれると、彼女たちのようなモチベーションはないですね。試合は好きですし負けるのは嫌なんですけど、絶対に世界チャンピオンになりたいという意識ではなく、単純に強くなりたいだけです。仕事も好きですし、柔術も好き。どれも悔いのないようにバランスをとってやっていきたいですね」

――それぞれの価値観と距離感がありますので、どちらも正解でしょう。

「ただ黒帯にしていただいたので、負けられないという思いはあります。黒帯から本当の柔術は始まると言われますので、プライドと自覚を持ってこれからも大会に臨みます」

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