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【Special】キルギス柔術事情をアジアゲームス銅=ムルタザリエフ兄弟に訊く。「サッカーなんて人気ない」

Murtazaliev bro【写真】昨年8月にインドネシアで開催されたアジア競技大会の柔術(ネワザ)85キロ級で揃って3位となったムルタザリ(右)とアブドゥラフマンハジのムルタザリエフ兄弟(C)MMAPLANET

昨年11月10日にキルギス共和国ビシュケクのスポルトパラス・コジョムクルで開催されたWEF 67 Global14 & Arzalet。同大会の計量会場となったのが、キルギス初のブラジリアン柔術の道場=キルギスタン・トップチームだった。

紫帯のアブドゥラフマンハジ・ムルタザリエフがジムの代表で、実兄のムルタザリ・ムルタザリエフは茶帯でキルギスBJJ(寝技)連盟の代表を務める。

アジアゲームスに採用された柔術(※Ju-Jutsu表記だった)はネワザという種目して行われ、キルギスは金1つ、銀1つ、銅2つを獲得しUAE、カザフスタン、ヨルダンに次ぐ結果を残した。

Fight & Life現在発売中のFight &Life Vol.70ではそんなキルギスの格闘技事情がレポートされているが、ここではスパルタクス柔道場で収録したムルタザリとアブドゥラフマンハジのムルタザリエフ兄弟のインタビューを掲載したい。

未知のキルギス、その柔術事情を尋ねると、思いもよらぬキルギスの国民──を知ることとなった。


──柔術の練習を始めたのはいつになるのでしょうか。

ムルタザリ 5年前だよ。大学に進学した時に、インターネットで調べてマレーシアへ行き、チャックマット柔術のマルコス・エスコバルの下でブラジリアン柔術の指導を受けたんだ。それからキルギスタン・トップチームというジムを開き、ブラジルから黒帯の柔術家を呼んで、1年半指導してもらった。アパートを借りて、家族と住んでもらってね。

──そもそも、なぜブラジリアン柔術に興味を持ったのですか。

ムルタザリ UFCで戦っていたホイス・グレイシーの試合を見て、子供の頃から興味があったんだよ。でもキルギスにはブラジリアン柔術が習える場所はなかったからね。

──では、柔術以前に格闘技の経験はありましたか。

アブドゥラフマンハジ サンボとボクシングをやっていたよ。

ムルタザリ 僕は柔道をここで(笑)。

──キルギスにはどれぐらいの柔術チームがあるのですか。

ムルタザリ 柔術専門は8つかな。ただ、大会は柔道家もサンビスト、MMAファイターも参加するからかなりの人数が集まるんだ。キルギスにある柔術連盟……ネワザ協会はアジアゲームスの採用されたUAE柔術協会のやり方にならい、帯の色は関係ないんだよ。

──ところで柔術はどれほど認知されているのですか。

ムルタザリ 僕らが開いたジムが、初めてのキルギスでの道場だよ。僕らのところには200人ぐらい生徒がいるよ。8月のアジア大会でキルギス人は金と銅メダルを獲得した。さっきも言ったけどアジア大会は帯制度が用いられていなくて、黒帯が多かったけど茶帯でも紫帯でも出ることができたんだ。

──柔術とMMAの関係はどのようなものなのでしょうか。

ムルタザリ 柔術はスポーツだし、MMAとは別モノだと捉えている。ノーギ・グラップリングとMMAの方が近い。でもMMAファイターも柔術の練習をしているよ。

──ではキルギスで一番人気のある格闘技は何になりますか。

ムルタザリ フリースタイル、グレコローマン、ボクシング、キックボクシング、一対一の戦いは何でも人気があるよ。誰もが強くなりたいと思っているから。

アブドゥラフマンハジ この国ではサッカーなんて人気がないんだ。

ムルタザリ 男は強くないといけない。それがキルギスの風潮なんだよ。

アブドゥラフマンハジ 子供の頃から、喧嘩は日常茶飯事だし大人も止めることもない。それが男の生き方だから。一対一の喧嘩なら誰も止めないよ。そして、この柔道場に通うように、誰もが強くなることを目指している。

ムルタザリ その先に世界チャンピオンやアジア・チャンピンを目指すことになるかもしれないけど、まずは強くなるために格闘技を始めるんだよ。隣のヤツより、強くなるために。そして格闘技をしっかりと練習することで、もう喧嘩なんてしなくなる。喧嘩をふっかけられても、そんな相手に勝っても何の証明にもならないことが理解できるようになるからね。

──う~ん、そのような風土がキルギスにはあるのですね。

ムルタザリ 子供に何を言っても始まらないからね。で、強くなれば喧嘩なんてしなくなるんだ。キルギス王者、アジア王者、世界王者を目指すようになるから。

──こうして柔道場で、柔術家の2人の取材ができるということは柔術と柔道は友好関係にあるのですね。

ムルタザリ 僕はここで柔道を習っていたから、コーチは教え子をキルギスタン・トップチームに連れて来て柔術の練習だってさせているよ。僕らも分け隔てすることなく、指導している。ただ、サンボの人間はそれほど来ないかな。

──なるほどぉ。

アブドゥラフマンハジ 柔術、柔道、サンボ、皆でやればそれだけ強くなれると思うんだけどね。

ムルタザリ 柔道と柔術に交流があるのは、ここと僕らの関係が近しいからと言うのは間違いないしね。とにかくキルギスでは組み技だけでなく、キックボクシングもムエタイも人気があって格闘技全般が認知されているんだよ。

──それほどまでに格闘技人気が高かったのですね。では2人の今後の目標を教えてください。

アブドゥラフマンハジ この道場自体は政府の持ち物で。6カ月の使用はフリーなんだ。ここでクラスをもうけて、国中のこういう施設に柔術クラスを設けたいと思っている。

ムルタザリ そしてキルギスをまず中央アジアで一番柔術が盛んな国にしたいね。実際のところ中央アジアではカザフスタンが一番、キルギスの10倍は柔術が盛んだろう。カザフスタンではIBJJFの大会もグランドスラムに続き行われることになるだろうからね。

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