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【Special】月刊、青木真也のこの一番:12月─その壱─クンチェンコ✖岡見勇信「貫くことが格好良い」

Okami【写真】生き方も戦い方も自分を貫いている岡見勇信 (C)Zuffa LLC/Getty Images

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2018年12月の一番、第一弾は2日に行われたUFN142からアレクセイ・クンチェンコ✖岡見勇信の一戦を語らおう。

UFC一筋、MMAファイター人生として真逆の道を歩んできた青木は、岡見に対し『恰好良い』を連呼した。


──2018年12月の青木真也が選ぶ、この一番。まず1試合目はどの試合になるでしょうか。

「岡見勇信✖アレクセイ・クンチェンコですね。とにかく訳が分からない相手でした。岡見のテイクダウン狙いに対し、ヘッドダウンして防いでいた。あれは凄いです。普通は岡見のテイクダウンは、あんな風に切れないですよ。

あの岡見のテイクダウンをウェルター級の選手が許さない……良く分からないです」

──19連勝のロシア人ファイターを岡見選手に当てた。そこにUFCの現実を見ました。

「年齢も年齢ですし、世界王座挑戦経験のあるベテランをステップボードにするという……。そのなかで岡見は負けたけど、あのスタイルを貫いたことが凄いと思いました。組んで倒そうとするスタイルを貫いたことは、良いなって。

皆、打ち合う方に逃げるじゃないですか。負けても見栄えが良いから。対して岡見という選手は、自分の強味を大切にした。そこが素晴らしかったし、格好良かったです。自分がこれまでずっとやってきたことをぶつけて負けたわけですから」

──男と男の勝負だから打ち合うという展開は好まれていますが、その言葉を聞く度にMMAなのに……と私も感じます。

「最後は打たれて負けるとね、やっぱり試合として映える。でも、岡見はそうじゃなくて自分が一番強いところで勝負し続けた。そうやって貫くことで、格好良さが出ている。そのスタイル、UFCに拘る姿勢も格好良いです」

──テイクダウンに行き、切られて引きこむ。確かに今の岡見選手だからこそ、その戦いが格好良かったです。

「川尻がクロン・グレイシーと戦った時、彼は自分のスタイルを変えた。あれは悲しかったです。あのジョシュ・トムソンに勝ったスタイルを変えて戦った。対して、今回の岡見は『岡見は岡見だ!!』って、意地を見せて彼らしかった。

それと、選手のキャリアの積み方ってどうしても情勢に左右されるじゃないですか?」

──ハイ。過去10数年、国内においてはPRIDE&HERO’Sから、DREAM&戦極、UFC、そしてRIZIN & ONEが目指すべき場所として変遷が見られます。

「そう、で今は情勢としてONEに皆の注意が向いている。そんな情勢だからこそ、岡見が格好良いです。だって今、高島さんが言った国内の選手が目指してきたステージなかで、岡見は2006年からずっとUFCだけに拘って戦ってきたんですよ。

12年間、想いはUFC一筋。日本におけるUFCって、何かと言われると、それは岡見勇信なんですよ。僕はそう思います。水垣(偉弥)であり、岡見である。なかでも、俺は岡見なんです」

──米国やブラジルにおいて、ユーシン・オカミという名前の認識度は日本と比較にならないです。世界で通用したけど、国内では誰も知らない。それを良しとしない考えもありますが、だからこそ格好良いと捉えることもできますね。

「結局、岡見ってアーティストなんですよ。アーティストは他人に興味ないです。だって岡見は当てにいっていないもん!!

売れるモノを創ろうとしていない。去年、そして今年……皆、当てに行っているんですよ。でも、岡見は当てにいかない。やっぱり格好良いですよ」

──青木選手も自分を貫いていると思います。誰もがUFCを目指した時に、既にONEだった。

「僕は当てに行くときは、当てに行きます(笑)」

──アハハハハ。

「売れるモノも創るし、職人的なモノも創るから、どっちにも当てはまらない」

──当てに行くときは、自ら知恵を絞り、体を削って当てにいきますね(笑)。

「ハイ。だから当てに行くというよりも、狙いに行っている。それをしない岡見は格好良いです」

──青木選手は岡見選手以外にも、今UFCで戦っている選手のことをどう思っているのですか。

「UFCで戦っているヤツらは皆、強いです。だけどUFCの日本国内におけるプロモーションはかなり弱くなっているじゃないですか」

──ハイ。その通りですね。

「それでも残っている連中は、岡見と同じように恰好良いです。僕的にも今のUFCには行きたいと思います」

──おぉ、そういう言葉も出てきますか!!

「だって皆がUFCに向いていないんだもん」

──ついに青木真也、UFCへ?!

「行かないけどね(笑)」

──ダハハハハ。

「僕は行かないけど、若い子たちにとって……今のUFCは行く価値、行こうとトライする価値があると思う。皆が向いていないところを向くのは格好良いです。佐藤天や田中(路教)さん、あの2人は格好良いし、尊敬しています。

僕は生き様という言葉は嫌いなんですが、生き方として岡見勇信や彼らは凄く格好良いです。リテラシーの高い人達には理解できる生き方、それは幸せな形だと思います」

──ジェネラルでの知名度はなくとも?

「知っている人たちが分かる。自分のいる業界のなかで、一定の評価を受けるとある程度、人生は成り立ちますから」

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