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【Bu et Sports de combat】ディラショー✖ガーブラントから見る──武術の四大要素、総括=入る─02 ─

Dillashaw vs Garbrandt【写真】ディラショーの完勝で終わった一戦、武道的にみるとガーブラントは居着いていた=入られていた状態であった(C)Zuffa LLC/Getty Images

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の要素──『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態はMMAで勝利を手にするために生きる。才能でなく修練により、誰もが身に付けることができる倒す力。

『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態を経て、理解できるようになる『入れた』状態とは。武術の四大要素編、総括となる『入る』について剛毅會空手・岩﨑達也宗師に尋ねる。

第2回は8月4日に行われたUFC世界バンタム級選手権試合=TJ・ディラショー✖コディー・ガーブラント戦を参考に、入られている状態=居着いた状態=受けに回った状態を理解していきたい。

<武術の叡智はMMAに通じる。武術の四大要素、総括=入る─01─はコチラから>


──入る、入らないという状態が、TJ・ディラショーとコディー・ガーブラント戦の方が分かりやすいというのは、どういうことでしょうか。

「ひとえにディラショーが居着いていなかった。そのことに尽きます。ガーブラントはオーソドックスでパンチから右の蹴り、ディラショーは足を引きながら常にその引いた足で蹴りを放ち、試合を組みたてていました。この引いた足で攻められるとオーソドックス、特にボクシングで戦うタイプのファイターは、間違いなく居着きます」

──その居着きが、入る状態とどのように関連しているのですか。

「『入られている』状態を定義するものはいくつかありますが、相手を居着かせるというのもそのなかの一つの定義です。それは自分が居着いていたらできません。どちらが居着いているかで勝負は決まっているとも言えます。

ディラショーが足を引く行為を相手の攻撃を避けるために使っていたら、彼の方が居着いてしまいます。しかし、ディラショーは常に攻撃のために引いた足を使っていました。

ダウンを奪ったパンチは2発とも左足を引きながら打っています。この足は避けるためでなく、常に蹴るために引いていたんで、ガーブラントとしてはここで蹴りが来ると思ってしまうんです」

──なるほど。攻めるために引いているので、足で攻めてこない時もそこから蹴りが来ると思ってしまうわけですね。

「その通りです。私の持論に下がることができるレスラーは最強だというモノがあります。かつてのジョン・ジョーンズがそうでした。ですから、剛毅會では随分と前から下がりながらの打撃を稽古しているのですが、なかなか試合で使えるレベルに至るには時間を要します。

いずれにせよ、上下・前後・左右に武器を持つディラショーが、基本は近い距離の戦いに強いとはいえ、前後にしか武器のないガーブラントを居着かせていたんです」

──例えばですね、居着かせるという武術用語をMMAやスポーツ用語に置き換えると、どのような言葉に当てはまるのでしょうか。

「居着かせる……そうですね、受けに回らせるという表現になるかと思います」

──それはより居着くということが理解できます。そして、受け身に回っていると、入らされていることの通じているわけですね。

「あるいは回らされているという状況いうも言えます」

──回らされている……は難しいです。

「そうですか。では、パンチを打とうとする側とガードをしようという側では、打とうとする側が入れていると言えます。

ただし、ガーブラント✖TJ・ディラショーと同じ日にあったUFC世界フライ級戦のような試合は入る、入れているという見方をするのは難しいですね」

──デメトリウス・ジョンソンが、ヘンリー・セフードに敗れた試合ですね。

「ハイ。あのようなシーソーゲームでは攻守が目まぐるしく入れ替わるので、どちらが入れているのか? 居着いているか? 受けに回っているか言い切れないのです。対して、ディラショーが蹴ろうとした時点でガーブランドは受けようとしていたので、この時点でガーブランドは受けに回っているので、入られているとすぐに理解できます」

──受けに回る……それで回らされているという表現になるのですか。

「そうですね。回らされているというのは、受けに回っていることです」

──ところで一進一退ではなく、一方的で良いパンチも入っているのに倒しきれない。例えばピョートル・ヤンとソン・ジンス戦などは、『入る』、居着く、受けに回るという観点で捉えると、どのように判断すればよいのでしょうか。

「1Rは一進一退でした。つまり入ったり、入られたりしている展開ですね。これはお互いが前進することで攻撃をしようとしているので、相手が出れば下がる。下がれば出るという動きに終始して、決め手に欠く展開になっていたわけです。

ところが2Rになると、突然ピョートル・ヤンがソン・ジンスを迎撃するようになります。迎撃、つまりヤンが『後の先』を取り、ジンスを攻撃するようになったのです」

<この項、続く>

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