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【GI SOUTH JAPAN】獲得直後のDXFCウェルター級王座返上、中村勇太にとってのMMA&柔術

Yuta Nakamura【写真】中村勇太を中央にT-REX柔術の面々と。左が脇本恭平(C)YUTA NAKAMURA

17日(日)、福岡県糟屋郡のかすやドーム武道場でIF-PROJECT主催/日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)公認大会「GROUND IMPACT SOUTH JAPAN 2018」が開催される。

同大会では3日に開催されたGLADIATOR×DEMOLITION でグッドマン田中から一本勝ちを収め、DXFCウェルター級王者となったばかりの中村勇太がアダルト黒帯ミディアムヘビー級&オープンにダブルエントリーしている。MMAと柔術の二刀流で戦う彼に、グッドマン戦を振り返ってもらい、今大会への意気込みを訊いた。
Text by Takao Matsui


――まずは先日のグッドマン田中戦から振り返っていただきたいのですが、RNCの一本勝ちで早い決着になりました。

Nakamura vs Goodman「僕としても、意外な結末でした。グッドマン選手とは展開が合うと思っていましたので壁際の攻防で、もう少し長引くだろうなと予想していたんです。でも、思ったよりも早くバックに回り込むことができて、そのままチョークを極めることができました。

個人的にはもちろん勝てて嬉しいんですけど、メインとしての役割を考えると、もう少し重量級ならではの攻防をお客さんに見せたかったと言うのが正直な本音です」

――試合後のマイクでは、せっかく獲得したDXFCウェルター級王座を返上することを宣言されていましたね。

「これまでデモリッションに出たことがなかったことと、レッツ豪太選手の代役で出場することになったため、複雑な思いがありました。そして、うちの脇本恭平にチャンスをあげる気持ちが強くなり、せっかく頂いたベルトの返上をその場で宣言してしまいました。

(C)PANCRASE

(C)PANCRASE

今年の2月にパンクラスで脇本は郷野聡寛選手と対戦して惜敗しましたが、実力を十分に発揮できていなかったことは、自分が一番よく知っています。彼はレスリングをベースに、しっかりとした技術を持っていますから、チャンスを与えたいと思っています。

それに僕はもうすぐ36歳なので、返上したタイトルのトーナメントを開催して、脇本も含めて若い選手にも出てもらって、切磋琢磨して関西や九州地区を盛り上げていってほしいですね」

――MMAを引退するということは……。

「いえ、そういう意味ではないです。オファーがあれば、これまで通りに年3、4試合はMMAをやっていくつもりですが、いつまでも自分たちだけではなく、もっと若い選手に日の目を見てもらいたいということです」

――中村選手は、MMAと並行してブラジリアン柔術の大会でも活躍されています。今回は、JBJJF公認のグランドインパクトに出場することになりました。

「8月の全日本選手権にエントリーする予定なんですが、その前に1回、柔術の大会に出ておきたいと思っていたんです。それで、たまたまうまくタイミングが合ったのが、グランドインパクトだったんです。脇本も、紫帯ミドル級&オープンに出場します」

――現在、アダルト黒帯ミディアムヘビー級は、まだ対戦相手はいませんが、オープンは石牟禮仁選手や西本健治選手、そして韓国勢との争いになりました。

「石牟禮選手は昔、重い階級を主戦場にしていましたが、今はライト級で戦っていますよね。最初は柔道をベースにしたトップを重視するスタイルかと思いましたが、ボトムでもうまく相手をコントロールすることができて、しっかりとした柔術のテクニックを持っている印象があります。

西本選手とは仲が良いんです。彼はフィジカルが強くてディープハーフを得意にしていますよね。ああいう得意の自分の形を持っている選手は、侮れません」

――ご自身が、柔術のテクニックで強化している点はありますか。

「最近では、足関節ですね。黒帯になってレベルが上がってくると、色帯の頃に比べると学ぶ技術はそんなに多くはないんです。でも、その入り方、考え方を知っていくことで深みや幅ができることがあります。

例えばサドルポジションにしても、通常は組んだ足を極めにいきますが、あえて組んでいない足を極めにいくことで、違う展開になっていくこともあります。そうした研究をしていくのが楽しいですね」

――中村選手は、MMAと柔術を並行して取り組んでいますが、相乗効果はあるのでしょうか。

「自分はMMAをやめようと思ったことがありました。行き詰ってしまい、どうやっても進めない時期があったんです。そんな時に柔術に出会いました。

仲良くさせてもらっていた方と柔術のスパーをさせてもらい、その人は空手ベースで自分は柔道がベースでしたので、自信はあったんです。でも下になったら、どうしたらいいのか分からなくて、柔術的にかなりポイントを取られて負けていたと思います。

それから柔術に興味を持って始めることになりました。ほぼ独学で、柔術の技術を覚えていきましたが、グレイシー系の寝技のベーシックな技術を見ると、ちゃんと殴られないような頭のポジションをとっていることがよく分かります。MMAをやっている選手には、そうした柔術のテクニックを教えることができると思います」

――逆にMMAが柔術に活きる部分はあるのでしょうか。

「MMAの選手は、フィジカルを強化しています。強いフィジカルがあれば、メンタル面もそうですし、スクランブルに活かされると思うからです。これは柔術にも言えることではないでしょうか。柔術はチェスや将棋に例えられることがありますが、そうしたロジックだけに興味があるのであれば、実際にチェスや将棋をやればいいと思います。

でも、競技で最も大切なのはパワー、力です。あの世界最高峰のテクニックを持つミヤオ兄弟ですら、レアンドロ・ロと対戦して『力が強すぎる』と舌を巻いていました。あの言葉が、すべての答えではないでしょうか」

――つまり柔術の選手が、MMAと交わることでフィジカルを強化できる可能性があるわけですね。

「うちの場合(T-REXアカデミー)は、そうです。基本的に、うちの補強は差し、押し、リフトの3種類を1時間くらいかけて取り組みます。差しは、ただ向かい合って差し合うのではなく、ちゃんとワキを締めるところからスタートします。

押し合いも同様で、壁レスリングに入る前の段階から始めます。たまに出稽古に来られる方がいますが、この補強をやると、次からは参加しなくなりますね(笑)」

――T-REX(ティラノザウルス)の意味が分かりました(笑)。

「特にジムの名前に、特別な意味を持ってつけたわけではないんですけどね。中井祐樹会長からは、『イギリスのロックバンド“T.REX”からつけたんですか?』と言われましたが、それも違います(笑)。でもフィジカルを大切にしているのだけは、間違いないです」

――では、ロックで強靭な肉体を持つ中村選手の活躍に期待しています!

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