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【Bellator200】隠れた実力者=ミドル級王者カルバーリョの左の蹴りをゲガール・ムサシは如何に攻略するか

Bellator200【写真】地味な展開にも、派手なフィニッシュ劇にもなる。そんなカルバーリョとムサシの世界ミドル級戦だ (C)BELLAOTR

25日(金・現地時間)、英国ロンドンのSSEアリーナで開催されるBellator200「London」。既報の通り、メインで予定されていたロイ・ネルソン×ミルコ・クロコップがミルコの負傷欠場でキャンセルされ、Bellator世界ミドル級選手権試合=王者ハファエル・カルバーリョ×挑戦者ゲガール・ムサシ戦が繰り上げメインとして行われることとなった。


カルバーリョは2014年9月にベラトール初出場を果たし、ブライアン・ロジャースとジョー・シリングを破り、ブランドン・ホージーとの王座決定戦を2015年10月に戦いタイトル獲得。メルヴィン・マヌーフとの初防衛戦は、互いに距離を取り合い打撃戦でなくテイクダウン勝負という意外な展開のなか、薄氷を踏むような想いでベルトを守った。

その結果、即マヌーフと再戦が組まれたカルバーリョは、所詮でマヌーフの動きを見切ったかの如く圧力を掛け、テイクダウンをスクランブルで凌いだ後に、組み技でも優位に立つと左ハイでKO勝ちしている。

left cresent moon kickingさらに2度目の防衛戦となったアレッシオ・サカラ戦では開始直後に左ミドルを決め、ワンツーの追い打ち、ケージに下がらせ飛びヒザから右エルボーと、僅か44秒でKO防衛を果たした。シュートボクセ第一世代のマスター・ノグシの下で学んだカルバーリョの最大の武器は、いうまでもなく長身から繰り出される三日月蹴りのような左ミドルだ。

この打撃がデビュー戦の黒星以降、6年で15連勝という記録を作った最大の要因となっている。マヌーフとのお見合いに耐えられる精神力、そして左ハイでのKO劇となかなかスポットが当たることがなかったカルバーリョにとってムサシ戦こそ、その実力を満点下のファンに知らしめる絶好の機会であろう。

一方のムサシは、UFCジッターならぬ元UFCファイターのベラトール・ジッターともいえる大苦戦で、サークルケージ初戦となったアレキサンダー・シュレメンコ戦で競り勝ち、2戦目で王座挑戦という機会を得た。現状の力を経験値で割り出せるものではないが、やはりムサシにはカルバーリョとは違う戦績がある。単に50戦を越える試合数だけでなく、直近の5試合ではクリス・ワイドマン、ユライア・ホール、ヴィトー・ベウフォート、チアゴ・マヘタ、そしてテーレス・レイチと知名度と実績でカルバーリョの上を行く相手を破り、うち4試合でフィニッシュ勝利を手にしている。

UFCでタイトルを狙える位置に居ながらにしてベラトール移籍を果たしたが故に、シュレメンコ戦でのムサシの不調が意外だったわけだ。そんなムサシも、2度目のベラトールではオクタゴン時代に見せた硬軟自在な動きを取り戻すであろう。いわゆる現代MMAのウェルラウンダーとは、レスリングベースで寝技を回避し、打撃で相手を削ってKO、あるいはギロチンやRNCという絞め系の技を過不足使いこなす選手が多い。

対してムサシは打撃で打ち勝ち、下からもトップからも極める寝技を持っている。加えてテイクダウンも米国を主戦場するようになり、攻守ともに打と極レベルに引き上げた。全局面で戦えるムサシだからこそ、サウスポーのカルバーリョに対して、左ジャブで動きを制して左アウトサイドローと右インサイドローで前足を削り、右ストレートやテイクダウンという動きに持ち込むことも可能だろう。

Powndsとはいっても、この距離はカルバーリョにとっても左ミドルを入れる絶好のチャンスでもある。特にカルバーリョが右前蹴りで間合いを掴めば、それは左ミドルへの序曲とみて間違いない。ムサシの左ジャブ、カルバーリョの右前蹴りが第一の勝負の分かれ目となる。

カルバーリョの不安要素は序盤にテイクダウンを奪われることが多いこと。過去の対戦相手のようにすぐにスクランブルに持ち込むことができれば、自分のペースを取り戻すこともできるが、ムサシのパウンドはテクニカル&パワフルだ。立ち上がりながら殴られる、あるいはハーフを許すようなことが序盤で起これば、この世界戦は一気にムサシが流れを掴むことが十分に考えられる。

■ Bellator200対戦カード

<Bellatorミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ハファエル・カルバーリョ(ブラジル)
[挑戦者]ゲガール・ムサシ(オランダ)

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・ペイジ(英国)
デヴィッド・リッケルズ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
フィル・デイヴィス(米国)
リントン・ヴァッセル(英国)

<163ポンド契約/5分3R>
アーロン・チャルマース(英国)
アシュリー・グリフィス(英国)

<女子フライ級/5分3R>
アナスタシア・ヤンコヴァ(ロシア)
ケイト・ジャクソン(英国)

<ライト級/5分3R>
ライアン・スコープ(英国)
マーチン・ハリス(英国)

<ミドル級/5分3R>
マイク・シップマン(英国)
カール・ヌーン(英国)

<フェザー級/5分3R>
ペドロ・カルバーリョ(ポルトガル)
ダニエル・クロフォード(英国)

<ミドル級/5分3R>
ケヴィン・フライヤー(英国)
コステリョ・ファン・スティーニス(オランダ)

<ミドル級/5分3R>
ウラジミール・フィリポヴィッチ(セルビア)
アナトリー・トコフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
チャーリー・ウォード(アイルランド)
ルイス・キング(英国)

<ライト級/5分3R>
チャーリー・レアリー(英国)
トム・グリーン(英国)

<ウェルター級/5分3R>
ケント・カウピネン(英国)
ウォルター・ガハザ(英国)

<ウェルター級/5分3R>
ジャーロー・シェパード(英国)
マルチン・ジュビツァ(英国)

<フライ級/5分3R>
アミール・アルバジ(スウェーデン)
ユーリ・ベレナヒ(フランス)

<フェザー級/5分3R>
トム・ミーンズ(英国)
マイク・エクンダイヤ(英国)

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