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【Gray-hairchives】─07─Jan 31th 2010 Chris Cyborg

Cyborg【写真】左は当時の夫エヴァンゲリスタ、右はフジマール・フェデリコ。サイボーグは目が可愛いことをこの時、知った(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、2017年のUFCの大取を務めるUFC世界女子フェザー級王者クリス・サイボーグ。ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC219のメインで元UFC世界女子バンタム級王者ホーリー・ホルムの挑戦を受ける。

Gray-hairchives─1995年1月にスタートを切った記者生活を、時事に合わせて振り返る──第7弾はゴング格闘技214号より、クリス・サイボーグのインタビューを再録したい。

【後記】
クリス・サイボーグを初めて見たのは、2005年7月にクリチバにあるシュートボクセのプロ練習だった。屈強なシュートボクセの選手たちに交じり、本当に引けを取らない動きをしていた。それが、勝手に彼女のイメージになってしまっていた。それから5年を経て、米国進出を果たしストライクフォースで女子フェザー級(当時の名称はライト級)のベルトの初防衛戦をマルース・クーネンを相手に行い完勝した。その後も色々とあった彼女だけど、今も絶対的に最怖の地位に君臨している。そんなサイボーグの内面が少しは分かる初めてのインタビュ。エヴァンゲリスタとフジマール・フェデリコとも袂は分かっているけど、それが人生。世界が変わり、彼女の心のバリアーも分厚くなっている違いないが、この夜に彼女が垣間見せた人間としての本質は変わることはない。そう昨年の年末に日本で行なったインタビューの際に感じた。


――ナンバーワンコンテンダーのマルース・クーネンを下し、王座防衛に成功しました。今の気分は?

「この試合のために、とてもハードなトレーニングを続けてきたので、とてもハッピーよ。ベルトを保持し続けて、世界中の女性がMMAは男だけのスポーツでなく、全ての女性も戦えるスポーツと思ってもらえるようになってほしい」

――クーネン選手の印象を教えていただけますか。彼女は11年も以前から日本で活躍してきた、この世界のパイオニアだったわけですか。

「彼女がそんなに前から戦っていたことは、知らなかったわ。そうだったの? クーネンのような素晴らしいファイターと戦えたことを、改めて光栄に思うわ。計量のときに、あれだけ睨みあったので凄い戦いになるって覚悟をしていたけど、でも、どんな展開になっても準備を怠ることはなかったので自信を持って戦えたの。試合中も、思った通り戦え、危ないと思うシーンはなかったわ」

――試合前の作戦通り戦えたということでしょうか。

「まず、万全の体調で臨めたことが挙げられるわね。スタンドでも、グラウンドでも自信を持って戦えたから」

――寝技では、クーネンが腕十字を仕掛けてくるのを待って、その直後にパウンドを集中していたように見えました。

「彼女の試合テープを見て、右腕への腕十字を得意としているのが分かった。だから、パンチを打ったあとに取られないように気をつけていたし、仕掛けてくるのが分かっていたから、次の攻撃にすぐに移れるようにしたのよ」

――クリスはストライカーのイメージばかり強調されてきたのですが、今回の試合でテイクダウンディフェンス、そしてテイクダウンもかなりのレベルにあることが確認できました。

「ブラジルでMMAを5試合戦って、対戦相手がいなくなってしまって。2年間もMMAで戦えなかったから、その間、レスリングのトーナメントに出ていた。トーナメントにも3、4回出場していたし、実はレスリングが好きでね。3Rのクーネンのテイクダウンは凄く良いタイミングだったけど、あそこを防いだことで、彼女の戦意がちょっと途切れたように感じたわ。

私はMMAファイター、打撃も柔術も練習しているけど、レスリングにはかなり力を入れているの。余り知られていないけど、私のベースはレスリングだと言ってもいいくらいよ。19歳でMMAのトレーニングを始めて、それから5年、強くなるためだったら何でもやったわ。だから、当然のようにレスリングの練習にも力を入れてきたのよ」

――現在、最大のライバルといえるジナ・カラーノとマルース・クーネンに勝利したことで、対戦相手を探すことが難しくなるような状況です。この両者に完勝したわけですが、どちらが戦い辛かったですか。

「2人は違うタイプだから、比較はできないわ。カラーノは打撃が強くて、クーネンは寝技を得意にしている。ファイトはファイト、私の前に立ちはだかる相手を倒すだけだから」

――ストライクフォースも、ブラジル時代と同様に対戦相手を見つけるが大変になりそうですね。

「私はとにかく練習をし続けるだけ。スコット・コーカーが決めた相手なら誰でも戦うわ」

――そのスコット・コーカーから、エリン・トーヒルという名前が出ていますが。

「クーネンに勝ったことがある選手よね。でも、145ポンドの試合じゃなかったし、ずっと以前の試合ね。彼女には長いブランクがあったし、私と戦うには今、それだけの力があるかどうかを証明すべきよ。何か、色々たくさん私について話しているみたいだけど、おしゃべりが過ぎるようね、彼女は。いずれにしても、トーヒルと戦えと言われれば、すぐにでも戦うわ」

――ところで、シュートボクセのトップファイターが数多くアカデミーを離脱したとき、自分も離れようと思わなかったですか。

「ハンドボールをやっていた時、フジマール会長に声をかけてもらって、私のパンチや蹴りを凄く誉めてもらえた。その時からシュートボクセなくして、私の人生は考えられないものになった。チームを心の底から愛している。私が強くなれたのは、シュートボクセがあったから。離れようなんてこれっぽっちも考えたことはないわ」

――こうして話していると、試合中のイメージとはかけ離れていて、とても物静かな方で驚いています。実は昨年4月に赤野仁美選手と戦ったとき時に、計量をパスできなかったことで日本のファンはサイボーグ選手に関して、良い感情を持っていないです。正直にいえば私自身もそうでした。

「本当に心の底から、アカノには申し訳ないことをしたと反省しているわ。完全に私に非があった。この場を借りて、二度と計量に失敗するようなことはしないと彼女にも、日本のファンにも約束させてほしいの。普段は165ポンドあって、145ポンドに落とすことも初めてで生理と重なってしまって……、上手く調整ができなかった……。本当にアカノには悪いことをしてしまったわ」

――ところで、日本では男子選手が結婚後、奥方に食事を用意してもらうようになって、減量や体調管理が容易なり、コンディションが上がるとよく聞きます。サイボーグ選手は、もともと食事の管理などはご自身でされているのでしょうか。

「私の場合は旦那、(エヴァンゲリスタ)サイボーグが凄く助けてくれるの。自分は試合前じゃないのに、減量食付き合ってくれたり。もっとたくさん食べたいって思っていることは、私も理解しているんだけど、やっぱり減量中だとなかなかたくさんの食事を作る気にはなれないのよ。でも、私の結婚生活はパーフェクトを。互いに相手のやっていることが分かっているから。

旦那は食事も、掃除もしてくれるし。次は彼がウェルター級チャンピオンになれるように協力する番よ(笑)。私がチャンピオンになれたんだから、彼だって同じように厳しい練習をこなしているんだし、必ずベルトを巻けるようになるに違いないわ」

――なるほど、仲睦まじい世界王者カップルの誕生を期待しています。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「PRIDEで戦っている選手たちに囲まれ、ずっとPRIDEを見て成長してきました。あの素晴らしいファンの前で、戦うことが私の夢です。アカノ戦で犯してしまった失敗を今一度、この場を借りてお詫びしたいです」

■ UFC219対戦カード

<UFC世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]クリス・サイボーグ(ブラジル)
[挑戦者]ホーリー・ホルム(米国)

<ライト級/5分3R>
カビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)
エジソン・バルボーサ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ダニエル・フッカー(ニュージーランド)
マーク・ディアキーシー(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
シンシア・カルヴィーロ(米国)
カーラ・エスパルザ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カーロス・コンディット(米国)
ニール・マグニー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
カリル・ラウントリー(米国)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
マイルズ・ジュリー(米国)
リック・グレン(米国)

<ミドル級/5分3R>
オマリ・アクメドフ(ロシア)
マーヴィン・ヴェットーリ(イタリア)

<フライ級/5分3R>
ルイス・スモルカ(米国)
マテウス・ニコロウ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(米国)
マーク・デラロサ(米国)

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