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【ONE62】青木真也と引退試合へ――ベン・アスクレン 「ドラッグに手を出さない限り、33歳は年寄りだ」

Ben Askren【写真】ステージ上でスクリーンに映し出された自らの雄姿を眺める。達観している人が謙虚だとは限らない。傲慢なほどの自信も、ベン・アスクレンの魅力だ (C) MMAPLANET

24日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE62「Immortal Pursuit」のメインで、ONE世界ウェルター級王者ベン・アスクレンが青木真也を相手に現役最後の試合を戦う。

カレッジレスリングでNCAAを2度制覇。さほど好きでないフリースタイルレスリングで五輪出場、MMAでは17試合負けなし(1NC)で引退を決めた。現役最後の試合が目前に迫っているなか、現役の間に尋ねておきたかった質問を彼に投げ掛けた。


――既に何度も尋ねられた質問だと思いますが、なぜ33歳の若さで引退を決めたのでしょうか。

堂々としているとしか表現のしようがないアスクレン

堂々としているとしか表現のしようがないアスクレン

「33歳はもう年寄りだ。俺は年を食ったんだよ。ドラッグに手を出さない限り、33歳のパフォーマンスは25歳から28歳の時と比較して落ちている。それに最初から長くMMAをやろうとは思っていなかった。多くの人間がMMAにしがみついて生きているけど、俺はそんな風になりたくない」

――ベンの実力が落ちているようには見えないですが。

「時は過ぎゆくもんだ。ここまで全ての相手を倒すことができたけど、時計の針は進んでいるんだ」

――今もベン・アスクレンはこの惑星で最も強いウェルター級ファイターの一人だと思っています。

「イエス。きっと、この銀河全体で一番だ(笑)」

――ハハハ。そういうなかで最後の試合が、本来は1階級下の青木選手になりました。

「サイズで全てが決まるわけじゃない。オングラ・エヌサンがヘビー級ファイターに勝ったばかりじゃないか。シンヤはハイレベル・ファイターだ。俺は可能な限りビッグネームと戦いと伝えていた。そしてONEがシンヤの名前を挙げてきた。『レッツゴー』と答えるだけだったよ」

――これが現役ファイターのベンに話を聞く最後の機会だと思うのですが、もう4年も前のインタビューで『レスリングは陸上競技のような人気スポーツになることはない』と言っていたことがとても印象に残っています。

「その通りだ。今もそう思っている」

――MMAにとってもフォークスタイル・レスリングは欠かせないコアの部分と成していますが、MAにおいてもレスリングは理解を得ることはできないでしょうか。

「ストライカーとストライカーを当てて、ストライカーに勝たせる。勝者は常にストライカーだ。そして、レスラーとストライカーが戦えばストライカーの勝利を願っている。それがMMAだ。でも、UFCを見てみてもチャンピオンもランキングのトップもレスリングができないファイターはいない。ただし、レスリングを続けようとするとレフェリーが試合を止めるんだ(笑)。

ファンだって変わらない。殴り合いが見たい。ただし、どれだけレスリングが重要かは分かっている。そして、レスリングがこの地球上でベスト・マーシャルアーツだとも認識しているんだ」

――レスリングの重要性が理解できるなら、レスリングの攻防が受け入れられる日もやってくるのではないでしょうか。

「ノー、あり得ない。見ている人間こそが、打撃でのKOを欲しているんだから。レスリングはそういう連中には理解できないハイレベル・スタイルなんだ。奴らにはその高度な攻防は到底理解できない」

――なんとかならないものでしょうかね。

「ならないよ(笑)。もし、そこを勉強したいって言うなら俺の試合を見ろって。それがヤツらの手助けになる」

――なるほど(笑)。人生に『IF』という言葉は使ってもしょうがないのですが、もしUFCと契約していたら……。

(言葉を遮り)「ノー。『IF』って言葉はないんだろう? そこから先は言ってもしょうがない。UFCは俺と契約したがらなかったんだから」

――このまま最後になるのかと思うと、どうしてもベンがUFCで戦っていれば引退は……。

(再び言葉を遮って)「だから、言ってもしょうがないんだよ。『IF』の話は。でも、まぁそういう風に尋ねようとしてくれたことはありがたい。感謝しているよ」

■ONE62対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ベン・アスクレン(米国)
[挑戦者]青木真也(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
エイドリアン・パン(豪州)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
キム・デフォン(韓国)

<女子ストロー級(※56・7キロ)/5分3R>
メイ・ウウイ(シンガポール)
ブイー・スレイチャイ(カンボジア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
アマド・ムスタバ(パキスタン)

<女子ストロー級(※56・7キロ)/5分3R>
ティファニー・テオ(シンガポール)
プジャ・トマール(インド)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
VV.mei(日本)
ジナ・イニオン(フィリピン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アルナウド・ルポン(フランス)
リチャード・コーミナル(フィリピン)

<68キロ契約/5分3R>
ヤン・フェイ(中国)
モハメド・アイマン(マレーシア)

<ストロー級(※56・7キロ)/5分3R>
ミャオ・リータオ(中国)
シム・ブンスルン(カンボジア)

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