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【GI】Ground Impact 東日本黒帯LF級優勝、吉岡崇人「国境って勝手に人間が作ったもの」

Yoshioka【写真】この優勝もずっと過去の事という吉岡。振り切れている(C)JBJJF

8日(日)、東京・中央区立総合スポーツセンター武道場で開催された日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)公認のGroundImpact East JAPAN 2017。

アダルト黒帯ライトフェザー級を制した直後の吉岡崇人を直撃。その独得の感性、吉岡節が今回も炸裂した。
Text by Tsubasa Ito


――アダルト黒帯ライトフェザー級を制しました。

「今回は2試合合計で50対0を目指していたんです。1回戦はベリンボロを狙っていたんですけど、相手がすごく遠かったんですよね。だから、とりあえず普通に勝っとこうと。決勝でたくさん点を取ろうと思ったんですけど、最後にアンクルでアドバンテージを取られちゃって。なかなかうまいこといかんなと思いますね」

――1試合の目安はなぜ25点だったのでしょうか。

「25点って何の試合やねんという感じじゃないですか。一本勝ち、秒殺よりインパクトがあるかなって。僕が勝つと、会場はいつも同じような雰囲気になるじゃないですか(笑)。だったら好きなことをしてやろうと」

――そこまで余裕があったと。

「余裕とは違いますけど、一方的な試合をしたいということですね」

――高橋俊彦選手との1回戦は、吉岡選手がガードポジションをキープしたまま試合が進み、ポイント0-0、アドバンテージ1-0で勝利を収めました。

「そのままでしたね。ベリンボロをしたかったんですけど、相手の左ヒザが遠かったです。ということは、左袖はもっと遠いですよね。僕が入りたい方向、好きな組手にはならなかったです。途中で何回かやり方を変えたんですけどね」

――初戦とは対照的に、決勝戦はポイント23-0の圧勝でした。バックを取った時はチョークでの一本勝ちを狙っているようにも見えました。

01「極まらないとは思っていたんですけど、精神的に優位に立つためですね。絞められると相手はどんどん不安になるので」

――改めまして優勝した感想を聞かせてください。

「特にないです。普通ですよ。負けていたらきつかったでしょうけどね」

――予想通りの答えです(笑)。日本での試合は今年4月のジャパニーズ・ナショナル(アダルト黒帯ルースター級優勝)以来でした。今回帰国した目的は何だったのでしょうか。

「関東でセミナーもありましたし、大会もそうですし、後は事務的なことと、友だちの結婚式とか」

――現在は米国を拠点にしているのですよね。

「今は徳島にいるんですけど、年内には米国に戻ります。前のインタビュー(2017年3月)の後はAOJで練習していました」

――日本でも中国でも追い込んだ練習をしていると思いますが、やはりAOJは違いますか。

「違いますね。回りより自分が弱くなるので良いですよ。AOJとかATOSのキャンプに行くと、まず精神的に回りより弱いんです。違う高校にケンカしにいく時と一緒ですよ。ビビったらナメられるじゃないですか。最初に相手をドン引きさせなダメなので。試合もそうですよ。それが8割です。まずそこで勝たないと」

――6月のムンジアルでは昨年に続き、アダルト黒帯ルースター級でルーカス・ピニェーロ選手と対戦しましたが、ポイント0-2で敗れ惜しくもリベンジはなりませんでした。

02「正直言うと、勝てると思っていましたね。トーナメント表が出た時点で、準決勝まではいけると思いました。やっている時も今年はいけると思ったんですけど、相手のほうが深かったです。日本だったら今回みたいに引いてこられても引っ張り出せるんですけど、ピニェーロはすごく遠いんですよ」

――「深い」というのは、ガードが深いということですか。

「深いし遠いし。例えようがないですね。他にああいう人がいないので。試合をした人にも練習相手にも。でも、去年より今年のほうが良かったと思うんです。端から見たら惜しかったのは去年のほうだと思うんですけど、僕がやった感覚で良かったのは今年ですね。僕もちゃんと強くなっているなと思えたので」

――具体的にどのあたりで実感したことですか。

「びっくりするようなことはされなかったという感じですね」

――想定の範囲内で試合が進んだと。

「だったらスイープし返せよって話なんですけど(笑)」

――8月のワールドマスターではマスター1黒帯ルースター級で3位に入賞しました。

「あれは最悪でしたね。何負けとんねんって話ですよ。準決勝(×アンドレ・カルバーリョ)はレフェリー判定でしたけど、ああいう負け方はしたくないですよね。でも、もう終わったことですから。今日の試合もとっくに過去のことです」

――ワールドマスターは2年前に1度優勝していますが、吉岡選手の中ではムンジアルと並ぶ軸となる大会ですか。

「米国にいて感じたことなんですけど、世界的にはワールドマスターってけっこうガチですよ。特にマスター1はかなり難しいトーナメントなので」

――変わらず世界中を股にかけていますね。

「こういう人生に憧れていたんですよ。国境って勝手に人間が作ったもので、たまたま日本は海に囲まれているから出られない。海外なんて言葉は日本にしかないと思うんですよ。もったいないですよね。あと何年生きられるか知らないですけど、色々な国の色々な考えを持った人と関わりたいですね。そうしたら本質が見えてきますよ。

ミサイルとか戦争とかテロとか、テレビで毎日のように流れていますけど、何が本当のことなのかが見えてきますよ。人の考え方って全部正解なんです。ある意味、全部間違いでもあるし」

――では、もしあれば今後の目標を教えてください。

「目標かぁ……。特にないです。今日みたいな試合じゃダメです。もっと強くならないと。まだまだ僕は未熟です。もっといけますから」

――特定の大会で優勝したいなど、具体的な目的があって強くなりたいわけではない?

「そういうのではないです」

――着地点を設けていないのですね。

「理由はないですよ。よく柔術を始めた理由とかやっている理由を聞かれるんですけど、僕は柔術をやっているんでね……。お母さん好きですよね? 好きな理由なんてないじゃないですか。お母さんが好きな理由を説明できる子どもってやばいですよ。それと一緒ですよ」

――吉岡選手にとっては柔術をやっている自分が自然であり、当たり前のことだと。

「強くありたいんです。だって強いって良いじゃないですか。一番格好良いじゃないですか。恰好悪いの嫌ですもん」

――では、吉岡選手が考える強さとは何ですか。

「もちろん肉体的な強さもあるし、人間的なものもありますし。人間が成長しないと格闘技をやる意味もないと思うんですよ。ブラジリアン柔術といっても武道だと思うので。つまり武士道なわけでね。今のところ全然ダメですけど、恥ずかしくない生き方をしなきゃいけないと思っています」

■GroundImpact East JAPAN 2017黒帯ライトフェザー級の結果
【ライトフェザー級】
優勝 吉岡崇人(ART OF JIU-JITSU)
準優勝 坂本純(トライフォース柔術アカデミー)
3位 高橋俊彦(パラエストラ吉祥寺)

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