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【TTF Challenge07】グラップリングで世羅智茂と対戦、今成正和─02─「止める力を楽しんでもらえれば」

Masakazu Imanari【写真】駅の北側だけでなく、南側でもこの拳の握り方(C)MMAPLANET

9日(月)に東京都練馬区ココネリ・ホールで開かれるTribe Tokyo Fight Challenge 07で、世羅智茂とグラップリングマッチを戦う今成正和インタビュー後編。

世界の今成にとってMMAと柔術の区分けがない。取っ組み合いにむけて、新しい足関節を練り込む。足関十段のMMA、柔術、格闘論を訊いた。

<今成正和インタビューPart.01はコチラから>


■『戦いは戦い。そんなに別けなくて良いかと』

──「取っ組み合いは取っ組み合い」というのも今成選手らしいです。MMAPLANETで青木真也選手が「柔術はMMAができないからやる。MMAは柔術より上」という発言があり……。

「あぁ、読みましたよ(笑)。まぁ、そこに関して聞かれるだろうなって思っていましたよ」

──あぁ、ありがとうございます。あの意見に関して、反応はほぼ柔術家からでMMAファイターは春日井たけし選手ぐらいでした。MMAファイターであり、黒帯柔術家でない、グラップリングで頻繁に試合をしている今成選手は、どのように思われたか教えていただけますか。

「MMAの方が強いって発言に対してですか? アハハハハ。まぁ、そういう時代もあったかと思います。今は楽しみ方が変わったから、そうとも言えない。青木君らしく、盛り上げたかったんでしょうね。まぁ……グラップリングの練習をして、青木君とMMAファイターは渡り合えないですからね」

──今成選手はもう青木選手と練習することはないですか。

「していないですねぇ。随分と前にトイカツ道場で一度やったかなぁ? でも随分と前ですね。ポラリスの時にはロンドンで一緒だったんですけど、青木君が宇野選手とずっと一緒だったので、少ししか話さなかったです。宇野選手に相当、気を遣っていましたからね(笑)。

その話も『気を遣っているね』ってものでしたから(笑)。青木君も大人になりましたよね」

──そういう今成選手も本当に落ち着きましたよ。

「まぁ、そうですね」

──取っ組み合いは取っ組み合いとしてMMAと柔術で、どのように分けているのですか。

「分けてはいないです。別に……打撃があっても同じです。戦いは戦い。そんなに別けなくて良いかと思っています」

──ではMMAと柔術の試合でも緊張感は同じですか。もう10年以上昔の話ですが、MMAを戦っている選手が柔術に出ると凄くリラックスしていて。今は柔術とMMAは別モノなので、柔術家が柔術の試合に出る時は、そういう今成選手の世代のような柔術家とは違い、物凄く緊張しているのが伝わってきます。

「まぁ、打撃がないからリラックスはしていましたよね。痛くないので。ただ、勝ち負けが掛かると緊張をする人は出て来るでしょうし。柔術でも、極められる怖さはあるかもしれないですしね。ただ、自分の場合は打撃があるから怖いって思わないですからね。

怖くないっていうのはアレですけど、ヤバイなって焦ることはないので。殴られたら殴られたでしょうがない。まぁ、昔はそうでもなかったですね、これは。だいぶ変わりました。昔は打撃がないからっていう意識を持っていたはずですし。

今はMMAもグラップリングも変わらないです。緊張はするけど、ずっと緊張していても疲れちゃいますからね。まぁ、そんなに考えていないんでしょうね(苦笑)。MMAだからって、自分はMMAの練習をするわけじゃないですし」

──えっ、そうなのですか。

「別にグローブをつけてグラップリングをするわけじゃないし。大体、素手なんですよね。思うに裸の取っ組み合いというモノがベースにあるという感じなので。でも、MMAを戦うのは楽しいです」

──今流のスクランブルなどの練習は?

「スポーツ的にはやりますよ(笑)」

──スポーツ的には、とはどういう意味ですか。

「そこを頑張るためでなく、体を鍛えるトレーニングとしてはやります。筋トレみたいなものです(笑)。壁を使った攻防とかは全然使わないので、体を動かすための練習ですね」

──今のMMAのトップを取れば良いという部分に反発を覚えることは?

「う~ん、そこは基準があって今は上を取っている人が勝ちだから。そうやって戦うのは当たり前といえば、当たり前ですよね。でも、自分はそれをやっても楽しくない。いや、楽しくないというのはチョット違うかな……。何だろう、気持ち良くないっ!!

でも、そんな感じでMMAをやっている人間はいないですよ。結局、好きなことをしたいんです。やりたいことをしたい」

──そのスタイルが、判定になるとなかなか勝ちにつながらないとしても?

「そうですね。判定って、そういうものなので。さっきも言ったけど基準があるので」

──MMAファイターとして、絶滅危惧種ですよね。今成選手は。

「ハハハ。まぁ、そうですね。でも、ライアン・ホールが判定勝ちしたのは面白かったです。アレで判定勝ち、アレで良いんだっていうのは、驚きました。まぁ、蹴りが当たっていましたからね」

──大きなハイキックを使っている今成選手と論理は似ていると思います。

「組まれた時に引き込んでいましたし。それでイマナリ、イマナリって言ってくれるから、やっぱり良いヤツです(笑)」

──この戦いを今成選手は続ける?

「もう少し練って、ですね」

──いやぁ、〇〇〇ー〇・〇〇〇〇〇〇〇にサドルポジションからの足関節が極まるシーンなんて、ホント見てみたいです。

「いずれにせよ、もうちょっとアレを練り直して、自分のモノにしてもう一度やりたいですね。トップどころと。トノンともう一度できるなら、MMAよりグラップリングですかね。トノンがMMAをやる必要があるのかとも思いますし、でも、柔術の部分は大切ですよね。

JT・トーレスにしてもタンキーニョにしても、ミヤオも対応していますからね。何かトップの柔術家の人達って違うんですよね。普段はアレがないルールで戦っているのに」

──強引ですが、そのセットアップを世羅選手にしっかりとぶつけてほしいモノです。

「アッハハハハハ。その辺はキッチリと持っていきたいとは思います。まぁ、生きていれば勝ったり負けたりですけど、たくさん動くんでしょうね。楽しみですよ、そういう若い選手と戦うのは。若くて凄く動く人と若くなくて、あまり動かない人の……年寄りの止める力を楽しんでもらえればと思います」

■TTFC07対戦カード

<フェザー級/5分3R>
川那子祐輔(日本)
門脇英基(日本)

<グラップリング70キロ以下/10分1R>
今成正和(日本)
世羅智茂(日本)

<女子フライ級/5分2R+Ex>
ライカ(日本)
ソ・ジヨン(韓国)

<バンタム級/5分2R+Ex>
小蒼卓也(日本)
上久保周哉(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex>
宇宙人(日本)
葛島浩之(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
渡辺謙明(日本)
工藤諒司(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
大門達也(日本)
御代川敏志(日本)

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