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【DWTNCS03】最大の注目はキューバMMA国家代表、ジュードーキックボックス(??)のラウル・ゴメス

ダナ・ホワイトがライブで試合を観戦し、UFCとの契約ファイターを決するダナ・ホワイト・チューズデー・ナイト・コンテンダー・シリーズも、25日(火・現地時間)に3回目の開催を迎える。

第1週にカート・ホロボウ&ボストン・サーモン、第2週にショーン・オマーリーが契約を果たし早くもUFCの重要コンテンツにとなっている同シリーズ。ただし、今回はよほど通のMMAファンでなくてはラインナップを見て、スッと顔を名前が一致するファイターは殆ど存在しないのではないだろうか。

そんなDWTNCS03でメインに登場するのはライアン・スパンとカーロ・ロバ―ソンだ。スパンはLegacy FCからLFAへ戦場を移したものの、メインに抜擢されたLFA03でトレヴィン・ジェイルズに判定負け──勝ったジェイルズがUFC行きを決めている。

その後、WFCというローカル大会で勝ち星を挙げ、捲土重来スパンは今回のチャンスに全てを賭ける。対するロバ―ソンはMMA戦績4勝0敗のストライカーで、勝ち星こそ手にしていないがGLORYに2度出場、ジェロム・レバンナとキックで対戦経験もある。スパンとしては、UFC初陣でKO勝ちを収めているジェイルズに敗れたといってもスプリット──そして初回はバックマウント、2Rもマウントを制するなど攻勢だっただけに打撃系のロバ―ソンからしっかりと一本勝ちを手にし、オクタゴンへの切符を手にしたいところだ。

セミもLFAからキャリア8勝0敗のカイル・スチュアートが出場し、TUF21出演のブラックジリアン所属のジェイソン・ジャクソンと対戦する。ジャクソンは昨年12月にTitan FCウェルター級王座を獲得しており、その試合で130秒でKOした相手=ディエゴ・リマは、その後TUF25でファイナル進出を果たしている。

つまりUFCファイターになるだけの素養は既に備えているといっても過言でないジャクソン。ただし、彼には寝技に脆いという課題がある。倒されず、殴って勝つ。KOパワーは持っているが、基本はアウトボックスのジャクソンに対して、スチュアートはキャリア8勝のうち3試合が一本勝ちで、3試合がKO勝ちというフィニッシャーだ。

しかも、サブミッションを極めた試合も得意の右ストレートをガンガン打ち込み、相手が疲弊したところをスパッと関節を極めている。寝技に持ち込まれたくないジャクソン、寝技で切って落とせるスチュアート。よりアグレッシブに攻めるのは後者になるだろうが、だからこそアウトボックスのジャクソンのカウンターを被弾する確率も高くなる。この試合はMMAの妙が詰まった一戦になりそうだ。

そんなセミ&メインからも、そろそろ落ち着きを見せてきたDWTNCS中盤戦──と思うなかれ、今大会はこの上位カードよりも実はオープニングファイトが最注目だ。フェザー級のダン・イゲ×ルイス・ラウル・ゴメス・アルバレス、通称ルイス・ゴメス戦こそマストウォッチの一戦となる。

イゲはレガシーFCとタイタンFCで戦ってきた以外に、2015年11月にパンクラス・ハワイ大会で中島太一を対戦経験がある(結果はスプリット判定負け)ファイターだが、気になるのはルイス・ゴメスの方だ。まだキャリア4戦、4試合連続で勝利を収めているとはいえ、パナマとフロリダのローカル団体での勝利でしかない。

それなのになぜゴメスが気になるのか。まず第1の注目点として彼がキューバ人ファイターであること。そして、キューバのMMAナショナルチャンピオンというキャリアに目が行く。ご存じのようにキューバはオバマ政権後期の2015年7月に54年振りに米国と国交が回復したとはいえ、今も社会主義共和制を敷いている国だ。そんなキューバにMMAが存在しているのか、これが第2の注目点だ。

そして、第3の注目点はゴメスの所属が、ジュードーキックボックス・キューバということ。この所属ジムも非常に気になるところだが、第2と第3の注目点は、実はもう回答を見つけることができる。実はこのジュードーキックボックスこそ、社会主義国キューバで2002年より行われきたMMAを意味する。

ヘッドギア、オープンフィンガーグローブ、シンガード着用で柔道の畳のような試合場で行われるパウンド有りのファイト。競技人口は300名でコーチは10人、そしてファイターの多くが柔道、空手、テコンドーの国家代表クラスといわれている。なぜMMAではなくて、ジュードーキックボックス=JKBなのか──それはあくまでもマーシャルアーツの一環として、キューバで行われているからである。

なかでもゴメスは強烈な柔道の投げを得意としており、これが第4の注目点であり、最大に興味深い点である。フロリダで決して経験豊富とはいい難いファイターを相手にした試合であるが、ゴメスはいずれの試合でも対戦相手を思い切り背負い投げなど、腰に担いだ投げで叩きつけている。圧巻は昨年12月のマーチン・ジョージス戦だ。

この試合でゴメスはクリンチの態勢から、一本背負いと思いきや腰に乗せることなく、頭を抜いて両ヒザをついて投げを放った。いや、これは投げというよりも体をすかした叩きつけ技だ。この時、ジョージスは顔面をモロにマットに叩きつけ、失神に追い込まれている。

米国では柔道の投げでなく、アームドラッグ・スラムというような呼び方もされたフィニッシュは──いってみれば、背負わない投げはまさに前代未聞の荒業だった。そんな担ぎ系に留まらず、故意か偶然か危なすぎる叩きつけを見せるゴメスは、これまでのMMAシーンで見られなかったタイプのファイター表といえる。

投げから繰り出す、腕十字の速さもまさに天下一品のゴメスは打撃も使いこなすが、これは真正直すぎる嫌いがある。真正面の殴り合いが信条のようで、打ち負けることも十分にありえるだろう。さらには実はダブルレッグにはからきし──ということも考えられる。だからこそ、一見の価値あり。ゴメスの試合は絶対に見逃せない。

■ DWTNCS03対戦カード

<ライトヘビー級/5分3R>
ライアン・スパン(米国)
カール・ロバ―ソン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
カイル・スチュアート(米国)
ジェイソン・ジャクソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
チェイス・ウォルドン(米国)
ジョフレイ・ニール(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダニエル・ジョリー(米国)
アロンゾ・メインフィールド(米国)

<フェザー級/5分3R>
ダン・イゲ(米国)
ルイス・ゴメス(キューバ)

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