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【UFN111】メインは女子バンタム級戦!! 元世界王者ホルムの結界をコヘイアは打ち破ることができるか

Holm【写真】この距離にならないことがホルムの持ち味。コヘイアとすれば、さらに近づくことが必要になってくる(C)Zuffa LLC/Getty Images

17日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC Fight Night111「Holm vs Correia」。3年7カ月振りのシンガポール大会のメインは、イベント名にある通りホーリー・ホルム×ベチ・コヘイアの女子バンタム級戦だ。


女子ボクシング界の女王ホルムは、2015年11月にロンダ・ラウジーを破り、UFC世界女子バンタム級王座に就き、このスポーツの頂点に立った。しかし、僅か4カ月後の初防衛戦でミーシャ・テイトに下り王座陥落。さらにはヴァレンチーナ・シェフチェンコとの再起戦で判定負け、そして今年の2月には心機一転──階級を上げて新設された世界女子フェザー王座決定戦に挑むも、今度はジャーメイン・デランダミーに敗れ、3連敗となってしまった。

ホルムのMMAとは、ずばりディスタンスコントロールとポジショニングにある。178センチのリーチを生かし、サウスポーの構えからジャブで相手を牽制し、サイドキックを有効活用して制空権を創り上げる。自分の攻撃は当てて、相手の攻撃は被弾しないというものだ。

この距離と角度の創り上げ方が抜群で、スピードに乗った打撃で試合を支配する。逆をいえばスピード溢れる、遠い距離からのパンチはポイント空手のようにダメージを与えることを目的としていない。よってレガシーFCなどフィーダーショーで地力の違う相手には、倒すファイトを心掛けていたホルムも、実力者が集まったUFCで挙げた3勝のうち、KO勝ちはロンダ戦の1試合に留まっている。

それも組んで倒すことを生命線としているロンダを相手に、闇雲にパンチを振るって前に出てくる彼女の体重を利用して、KOパンチを放り込みダメージを与えていった結果だ。ロンダに勝った最高の夜から、泥沼の3連敗中のホルム。ミーシャ戦の敗北はともかくとして、シェフチェンコとデランダデミー戦の連敗は、彼女のMMAファイターとしての特徴が如実に表れている結果だった。

ミーシャ戦ではMMAファイターとして、苦手部分を衝かれた黒星だったのに対して、シェフシェンコ戦とデランダミー戦はホルムの打撃戦に付き合う相手に喫した──負けである。それまで制空権を築いて戦うことができたのは、相手がホルムの打撃を警戒してのこと。近々の2試合では正面から打撃戦に応じる相手に制空権を作れず、倒しに行く試合で有効打を許した。つまり、ディスタンスコントロールとポジションを保てず、自らのMMAができなかったファイトとなる。

そんなホルムとシンガポールで戦うベチ・コヘイアは、分の良い相手といえるだろう。身長で8センチ、リーチでは15センチの差がある両者。コヘイアはMMA界では珍しい、リーチが伸長よりも短い選手だ。どっしりしたボディで、上半身も下半身も体は強い。なので後ろ足重心の構えでも、勢いのあるパンチを振るうことはできる。

ただし、ホルムに通用するかといえば話は違ってくる。ホルムにあのパンチを当てるには相当な踏み込みが必要だ。つまり、それは瞬発力を生かした前進力。距離のコントロールに長けたホルムにとって、コヘイアはパンチを効かせることができたロンダに似た相手ということになる。

コヘイアとしては蹴り足をキャッチしてテイクダウンをしたいという思いもあるはずだが、ホルムが多用するサイドキックは、まずキャッチを許さないことを想定して選択された足技だ。だからこそ、コヘイアが勝利を手にするためには、前に出続けて接近戦に持ち込むしかない。コヘイアがカウンターを恐れ、様子見のファイトを選択すると、シンガポール・インドアスタジアムはホルムの発する、「ハッハッハッハッ」という掛け声ばかりが響く空間になってしまうだろう。

■ UFN111対戦カード

<女子バンタム級/5分5R>
ホーリー・ホルム(米国)
ベチ・コヘイア(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
マルチン・ティブラ(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ドンヒョン(韓国)
コルビー・コビントン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)
タレック・サフィジーヌ(ベルギー)

<ライト級/5分3R>
五味隆典(日本)
ジョン・タック(グアム)

<ヘビー級/5分3R>
マット・ハリス(米国)
シリル・アスケア(フランス)

<フェザー級/5分3R>
アレックス・カサレス(米国)
ロランド・ディ(フィリピン)

<フライ級/5分3R>
佐々木憂流迦(日本)
ジャスティン・スコッギンス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リー・リンジャン(中国)
フランク・カマチョ(グアム)

<バンタム級/5分3R>
クァク・グァンホ(フランス)
ラッセル・ドーン(米国)

<フライ級/5分3R>
ジョン・デ・トーマス(フィリピン)
井上直樹(日本)

<女子バンタム級/5分3R>
キム・ジヨン(韓国)
ルシエ・プシオワ(チェコ)

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