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【UFC210】勝つしかない──ミドル級トップ対決、ワイドマン×ムサシに見られるMMAの妙

Mousasi【写真】ビスピン×GSP後を狙うとすれば、ワイドマンという相手に対してもも勝利に+αが必要な非常にタフな状況のゲガール・ムサシ (C)Zuffa LLC/Getty Images

8日(土・現地時間)、ニューヨーク州バッファローのキーバンク・センターで開催されるUFC210「Cormier vs Johnson 2」。ダニエル・コーミエー×アンソニー・ジョンソンのUFC世界ライトヘビー選手権試合がメインの同大会で、今、最も忸怩たる想いを抱くミドル級のトップランカー対決が組まれている。


3年半ぶりに復帰を決めたGSPがいきなり、世界王者マイケル・ビスピンに挑戦することとなったミドル級はヨエル・ロメロ、ゲガール・ムサシ、ホナウド・ジャカレといつタイトル挑戦が実現してもおかしくない実力者が揃った階級だ。

そこでミドル級チェリーボーイのGSPがいきなりの世界挑戦となり、他のトップランカーは果てしない潰し合いを強いられることになる。前王者ルーク・ロックホールドのように「なら、俺はファブリシオ・ヴェウドゥムと戦いたい」と切れ気味の発言が出るのも頷ける。ただし、この現実を前にして彼らは組まれた試合を勝ち抜くしかない。

そんな悲しきサバイバルマッチが、15日のFOX24におけるジャカレ×ロバート・ウィティカー戦同様に今週末も組まれた。それがクリス・ワイドマン×ムサシの対戦だ。ロックホールドに敗れて王座陥落後、リマッチを負傷欠場したワイドマンは昨年12月の復帰戦もロメロの飛びヒザで敗れている。

一方、ムサシは一昨年のユライア・ホール戦で思わぬ敗北を経験したものの、そのホールへのリベンジを果たした試合も含めて現在4連勝中、そして3試合連続でTKO勝ちと好調の波に乗っている。以前から卓越したボクシング技術には定評があったムサシだが、左ジャブで相手と突き放し、右ストレートで仕留めるスタイルにラッシュ能力が加わり、その存在感も増している。

非常に綺麗なボクシングと堅実なスプロールを駆使するムサシに対し、3連敗は許されないワイドマンの狙いはズバリ、その左足だ。やや腰高な構えから、前足となる左足を踏み込み体重を掛けて放たれるムサシのパンチ。

ワイドマンは強烈な右ローの持ち主で、近距離での打ち合いも強い。その打ち合いの強さを導き出しているのが、相手の踏み込みに合わせたパンチやエルボーだ。つまりワイドマンのローはダメージを与えるだけでなく、相手との距離を測るレーダーの役割を持っており、その踏み込みに対してしっかりと下がると右ストレートのカウンター、短めだとエルボーを打ち込むことができる。

何よりも打撃のオーソ、左手前の構えでワイドマンはテイクダウンを奪うことに長けている。前述したようにムサシはスプロールも巧妙だが、ワイドマンの打撃を融合させたテイクダウン能力の高さは注意が必要だ。特に左手でオーソの相手の左足のヒザ裏を取り、シングルに入ると右肩を押し込むことで──対戦相手の右足をつっかえ棒にし、さらに右に回り続け体重を掛けて倒していく。

このテイクダウンを許すと、背中を付けた時点でワイドマンはハーフ、あるいはサイドを奪取してしまっている。ムサシは体重の乗った左足を打撃戦のなかで、仕掛けられるシングルに対して、如何に下げることができるか。

ムサシは倒された直後にスイープや上を取り直す術にも長けているが、そこを狙うにはワイドマンのトップコントロール術は余りにも厄介といえる。エルボーを入れて、わざと上体を起こしたところで相手をスプロールに誘い、バック奪取、あるいはギロチンを仕掛ける。ここもワイドマンの勝利の方程式だ。

そんな方程式に持ち込まれないために、ムサシは勢いのあるパンチを打ち込み、距離と間合いを自分のモノにする必要がある。そのためには左足で踏み込んでボクシングを仕掛けることが必須──というMMAの妙、打撃から組みへの展開、その直前の距離に注視したいミドル級トップ対決だ。

■ UFC210対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ダニエル・コーミエー(米国)
[挑戦者]アンソニー・ジョンソン(米国/1位)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国/2位)
ゲガール・ムサシ(オランダ/4位)

<女子ストロー級/5分3R>
シンシア・カルヴィーロ(米国)
パール・ゴンザレス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
パトリック・コーテ(カナダ)
チアゴ・アウベス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ウィル・ブルックス(米国)
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル/9位)※フェザー級

<ウェルター級/5分3R>
ショーン・ストリックランド(米国)
カマル・ウスマン(米国/11位)

<フェザー級/5分3R>
シェーン・バーゴス(米国)
チャールス・ロサ(米国)

<ライト級/5分3R>
デス・グリーン(米国)
ジョシュ・エメット(米国)

<フェザー級/5分3R>
マイルズ・ジュリー(米国)
マイク・デラトーレ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヤン・ブラボヴィッチ(ポーランド/12位)
パトリック・カミンズ(米国/13位)

<ライト級/5分3R>
グレゴール・ギレスピー(米国)
アンドリュー・ホルブルック(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
ケイトリン・チューケイギアン(米国)

<フライ級/5分3R>
マゴメドフ・ビブラトフ(ロシア)
ジネル・ラウサ(フィリピン)

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