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【UFC208】ボクシング×キックのMMA世界戦、ホルム×デランダミー。勝負の鍵は距離と首相撲

Holm vs De Randmie【写真】ボクシングとキックの女帝対決。勝者が初代世界女子フェザー級王者の栄冠に輝く(C)Zuffa LLC/Getty Images & MMAPLANET

11日(土・現地時間)、ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターでUFC208「Holm vs de Randamie」が開催され、メインで初代UFC世界女子フェザー級王座決定戦=ホーリー・ホルム×ジャーメイン・デランダミーが行われる。


一昨年11月にロンダ・ラウジーにMMA初黒星をつけ、世界女子バンタム級王座に就いたホルム。しかし、昨年3月にミーシャ・テイトに敗れて王座陥落すると、7月にはヴァレンチーナ・シェフチェンコに敗れ、連敗中で新設された女子フェザー級王座に挑むこととなった。

対するデランダミーのUFC戦績は3勝1敗、去年の5月に母国オランダでアンナ・エルモセを得意の首相撲からボディへのヒザでTKOし、このチャンスをゲットした。

知っての通りホルムはボクシング世界18冠、対してデランダミーはキックボクシングの世界10冠からMMAに転向を果たしている。ロンダの柔道、サラ・マクマンのレスリング──五輪メダリスト同様に、女子コンバットスポーツはその頂点に君臨しても、将来が光り輝くという状況にはない。ただし女子MMAに関しては、僅かUFCで4年間開催されただけで、この2つの歴史あるスポーツの女子部門のバリューを凌駕する存在になった。

ホルムが豪州でロンダを破り、アルバカーキ―に凱旋した際の空港へのファンの出迎え、そしてTV出演の数々などは、ボクシング世界王者時代にはなかった。デランダミーもMMA人気の低かったオランダにあって、ロッテルダム・アホイに満員の観客を集めたオランダ大会の成功により、その知名度は比較にならないほど上がった。

MMAによってスポットライトを浴びるようになったボクシングとキックの猛者の対決、デランダミーはそのスリムな体系でかなりの長身のように映るが、その実175センチで、リーチも180センチ。対するホルムは173センチ&175センチで圧倒的な差があるわけではない。

そして、ボクシングの女帝のホルムのスタイルは、完全にMMA化されたもの。距離も遠く、サイドキックやミドル、そしてハイも多用し、そこに目を慣らさせておいて右や左ストレートを打ち込む。どちからといえば、ガード高いのがデランダミー、ただし背中は丸まっておらず、相手の攻撃を上から下まで見る目を持っている。

MMAファイターとして、組み&距離の取り方共にテイクダウン対策ができているのがホルムだが、この試合はこのテイクダウンの攻防を重視する必要はない。度外視しても良いといっても過言でない。

だからといって組みがないかといえば、それも違う。デランダミーには強烈な首相撲という武器がある。彼女のようなタイクリンチをホルムは、女子相手の実戦で経験したことはないはずだ。よって、ホルムはテイクダウン対策と同じように距離を取ってこの形を避けるべき動くに違いない。ここでデランダミーに残る問題は、いかにこの態勢に持ち込むのかという点。基本的に前に真っ直ぐ前に出る動作、そして下がるという前後の動きが多いデランダミーは、ホルムのサークリングとパッと当ててサッと位置を変えるステップワークにフラストレーションを溜めることになるだろう。

この局面でデランダミーに何が必要か。それは斜めに動くカットイン、恐らくは右に回るホルムの横への移動を、先に左に飛び込んで当たらなくても良いパンチに反応させる。ここからさらに距離を詰めて首を捉えることができれば──首相撲の態勢に入るチャンスが広がる。そして首相撲に捉えられたホルムはどのような対応があるのか、非常に興味深く勝負の行方を左右する攻防が見られるだろう。

■UFC208対戦カード

<UFC世界女子フェザー級王座決定戦/5分5R>
ホーリー・ホルム(米国/※女子バンタム級2位)
ジャーメイン・デランダミー(オランダ/※女子バンタム級10位)

<ミドル級/5分3R>
アンデウソン・シウバ(ブラジル/7位)
デレック・ブルンソン(米国/8位)

<ミドル級/5分3R>
ジャカレ・ソウザ(ブラジル/3位)
ティム・ボッシュ(米国/13位)

<ライトヘビー級/5分3R>
グローバー・テイシェイラ(ブラジル/3位)
ジャレッド・キャノニア(米国/15位)

<ライト級/5分3R>
ダスティン・ポイエー(米国/10位)
ジム・ミラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ベラ・マハメッド(米国)

<フライ級/5分3R>
ウィルソン・ヘイス(ブラジル/5位)
佐々木憂流迦(日本)

<ライト級/5分3R>
ニック・レンツ(米国)
イスラン・マカチェフ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
イアン・マッコール(米国/6位)
ジャレッド・ブルックス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・ウィリス(米国)
マルチン・ティブラ(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ライアン・ラフレアー(米国)
ホアン・ジュカオン・カルネイロ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
フィリップ・ノヴァー (米国)
リック・グレン(米国)

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