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【European Open】ハファ、ミヤオ兄の最先端ガードを抑え込む!

2014.01.28

23日(木・現地時間)から26日(日・同)にかけて、ポルトガルの首都リスボンはパピリャオン・ド・コンプレッソ・デスポルチーボ・ムニシパル・ド・サカウ・ヴィストソで、IBJJF主催のヨーロピアン・オープン柔術選手権が開催された。

注目の黒帯アダルトフェザー級では、前大会王者のハファエル・メンデス(アトス)と、前年同級茶帯王者パウロ・ミヤオ(シセロ・コスタ)が決勝に進出。両者による待望の初対決が実現した。

開始と同時に引き込み合う両者。競技柔術の最先端を走る両者の初対決は、まさに現代柔術の技術革新を象徴するような形=ダブルガードからはじまった。この体勢からミヤオはベリンボロを狙って回転するが、メンデスは冷静にそれをかわす。しばらくダブルガードが続いた後、メンデスは上を選択。片膝をミヤオの股間に当てて座る形でベースを作った。ミヤオは左右でラッソーガードを作りメンデスを揺さぶるが、強固なバランスを誇るメンデスは動じない。

そのうち立ち上がったメンデスは、ミヤオの左側に向かって担ぎパスを仕掛けると、そこから自らの頭をミヤオの背中とマットの間に滑り込ませる「上からのベリンボロ」狙い! しかしミヤオも、距離を取って防いでみせた。

その後も上=メンデス、下=ミヤオの攻防が続く。やがてミヤオが膝十字を狙うかのように下からメンデスの右足に絡み付く。対して腰を落とし重心を掛けて体勢を保ったメンデスは、下のミヤオの頭を自らの両足で挟み込むヘッドシザースの形で固定。重心をかけられ、左前腕もシザースに巻き込まれて動けないミヤオは、必死で足を絡ませようとするがメンデスはそれを振り払う。やがて、レフェリーはメンデスのパスガードによる3点を宣告。いわゆる「◯◯パス」というような型通りの動きではなく、限りなく重いベースとバランスと驚異的な足腰の強さを武器に、状況に対応した動きで抑えてみせたところに、世界最強の柔術家の凄みがあった。

ミヤオは体勢をずらして足を絡ませてハーフガードを作ると、やがてオープンガードに戻すことに成功。50/50のように足を絡ませて必死の反撃を試みる。メンデスの足をアキレス腱固めの体勢で取ると、さらにメンデスの裾を引きずり出して固定したミヤオ。そこから立ち上がってのスイープ狙いやアンクルを仕掛けてゆくが、メンデスは巧みに対処してミヤオを立ち上がらせも、足関節のセットアップに入ることも許さない。

残り時間が少なくなる中、複雑に足を絡ませたまま転がり続ける両者。仕掛け続けるミヤオだがポイントは入らない。終了間際、ミヤオはメンデスにズボンを引っ張られ尻が丸出しになるのも構わずアンクルを仕掛けるが、タイムアップ。注目の初対決は、ミヤオの仕掛けを見事な重心のコントロールとシザースで潰したメンデスの貫禄勝ちとなった。

ベリンボロや50/50の使い手としても名高いメンデスだが、それ以上に恐るべきは盤石のベースから繰り出される強烈無比なパスガード。最先端技術云々とは無関係の底知れぬ地力を、メンデスが見せつけた形となった。それにしても、この試合に限らずお互いの尻を取り合うベリンボロの攻防においては、競技者の尻が曝け出されるシーンが目出つ柔術界。このスポーツが世に広く認められるようになるためには、相手のズボンの中を手を入れて掴むことを禁止する等、何らか対処が必要と思われる。

なお同階級に日本から出場した細川顕は初戦で、ジャンニ・グリッポ(アリアンシ)の絞めに屈している。フェザー級以外の黒帯アダルトの部においては、ルースター級では決勝戦で日本の芝本幸司(トライフォース)が、世界王者カイオ・テハ相手に健闘、アドバンテージ差で敗れたものの、日本人最高位の準優勝を飾った。なお一回戦を勝利し、準決勝でテハに敗れた吉岡崇人(徳島柔術)も3位入賞している。

ライトフェザー級では、ミヤオ兄弟の弟ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)は同門のジョゼ・バロスとワンツーフィニッシュ(2位扱い)。日本の山田秀之(デラヒーバ・ジャパン)が3位入賞を果たした。

ライト級でも前年度のマイケル・ランギ(アリアンシ)が、同門フランシスコ・シニストロとワンツーフィニッシュ。ミドル級では、クラウジオ・カラザンス(アトス)がJTトレスと同門対決を敢行! 僅差で勝利を収めた。ヘビー級はジャクソン・ソウザ(チェッキマット)が初出場初優勝。スーパーヘビー級ではラガルトことルシオ・ホドリゲス(グレイシー・バッハ)がロバトジュニア(ヒベイロ)を倒して優勝した。ソウザと並んで初出場初優勝が注目されたキーナン・コーネリアス(アトス)は、ミディアムヘビー級を欠場した。

ウルトラヘビー級は、現在世界最強の柔術家と呼ばれるマーカス・ブシェシャ・アルメイダ(チェッキマット)の師匠、ホドリゴ・カヴァカ(ズィニス柔術)が優勝。無差別級では、ヨーロピアンの重量級上位常連、アレキサンダー・トランス(チェッキマット)が制している。IBJJF四大トーナメントの第1戦、ヨーロピアン・オープンではブラジル人、常連米国人のラファエル・ロバトJr以外に軽量級で日本勢が3名銅メダル、ミッドヘビー級でポーランド人のマクシミリアン・ウィスニウスキが同じく銅メダルを獲得、ヘビー級でもフィンランドのトニ・リンデンが3位に入り2人の欧州人柔術家が表彰台に立っている。

■ヨーロピアン・オープン アダルト黒帯の部結果

<ルースター級>
優勝  カイオ・テハ(ブラザ/カイオ・テハ)
準優勝 芝本幸司(トライフォース)
3位  吉岡崇人(徳島柔術)

<ライトフェザー級>
優勝  ジョゼ・バロス(シセロ・コスタ)
準優勝 ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
3位  山田秀之(デラヒーバ・ジャパン)
    ルイス・フェルナンデス(バイタ・チーム・ポルトガル)

<フェザー級>
優勝  ハファエル・メンデス(アトス)
準優勝 パウロ・ミヤオ(カイオ・テハ・アソシエーション)
3位  シモーネ・フランセスチーニ(サイクロン)
    ジャンニ・グリッポ(アリアンシ)

<ライト級>
優勝  マイケル・ランギ(アリアンシ)
準優勝 フランシスコ・シニストロ(アリアンシ)
3位  サンドロ・ヴィエイラ(チェッキマット)
    AJ・アガザーム(グレイシー・バッハ)

<ミドル級>
優勝  クラウジオ・カラザンス(アトス)
準優勝 JT・トレス(アトス)
3位  ルカ・アナコレッタ(アナコレッタ)
    レオナルド・イトゥラーデ(アリアンシ)

<ミディアムヘビー級>
優勝  チアゴ・サ(チェッキマット)
準優勝 ヘナート・コルドッソ(チェッキマット)
3位  マクシミリアン・ウィスニウスキ(ズィニス柔術)
    ヴィトー・トレド(アトス)

<ヘビー>
優勝  ジャクソン・ソウザ(チェッキマット)
準優勝 ユーリ・シモエス(ブラザ/カイオ・テハ)
3位  パウロ・ジャーディム(チェッキマット)
    トニ・リンデン(ヒルティ柔術)

<スーパーヘビー級>
優勝  ルシオ・ホドリゲス(グレイシー・バッハ)
準優勝 ラファエル・ロバト・ジュニア(ヒベイロ)
3位  イゴール・シウバ(GFチーム)
    アントニオ・ペイナード(アリアンシ)

<ウルトラヘビー級>
優勝  ホドリゴ・カヴァカ(ズィニス柔術)
準優勝 ヒカルド・エヴァンゲリスタ(GFチーム)
3位  アレキサンダー・トランス(チェッキマット)
    ブルーノ・ソアレス(チェッキマット)

<無差別>
優勝  アレキサンダー・トランス(チェッキマット)
準優勝 ユーリ・シモエス(ブラザ/カイオ・テハ)
3位  ジャクソン・ソウザ(チェッキマット)
    ファビアーノ・レイチ(アリアンシ)

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