【European Open】キーナン・コーネリアス、黒帯初制覇となるか
【写真】茶帯時代は道着もノーギも世界を制したキーナン・コーネリアス。黒帯公式戦初披露はヨーロピアン・オープンとなるか(C)Susumu Nagao
23日（木・現地時間）から26日（日・同）にかけて、ポルトガルの首都リスボンはパピリャオン・ド・コンプレッソ・デスポルチーボ・ムニシパル・ド・サカウ・ヴィストソで、IBJJF主催のヨーロピアン・オープン柔術選手権が開催される。今回は中量級から重量級の見どころを探りたい。
ライト級は、スパイダーガードの名手にして、前回優勝の元世界王者マイケル・ランギ（アリアンシ）が大本命だろう。このランギに対し、レスリング力と思い切りの良さを活かして近年頭角を現しているAJ・アガザーム（グレイシー・バッハ）らがどこまで対抗できるか。日本からは岩崎正寛（CARPE DIEM）、高本裕和（PGN東大和）が出場する。
【写真】意外にも世界の頂点は、ADCC Proでしか縁のないカラザンス。IBJJFの公式戦大会はパンナム王者となっているが、欧州は3年前の無差別準優勝。今大会で欧州一の称号を手に入れることができるか(C)MMAPLANET
ミドル級には、最強集団アトスからクラウジオ・カラザンスとJT・トレスの2人がエントリー。去年度同階級優勝、レスリング力を活かしたトップゲームを誇るカラザンスと、2012年のライト級準優勝、強力な握力を誇りバック取りの名手でもあるJTがワンツー・フィニッシュを成し遂げる可能性は極めて高そうだ。2人揃って決勝に残ったなら、是非対決を観てみたいところだが……。
ミディアムヘビー級には、昨年の茶帯同階級と無差別級の二冠を制したキーナン・コーネリアス（アトス）が登場。黒帯に昇格すると、ADCC大会準決勝で優勝者のホムロ・バハル（グレイシー・バッハ）を終始攻め込んでみせたコーネリアスは、柔術エキスポではルーカス・レイチ（チェッキマット）相手に下からの十字で一本勝ちを奪い、さらに昨年11月に行われた若手黒帯の総当たりリーグ戦ファイブ・グラップリング・インビテーショナル大会でも全勝優勝を果たしている。世界最高峰にあって進化を続けるこの驚異の21才が、黒帯の部初出場初優勝を成し遂げる可能性は大きい。
ヘビー級には、昨年度茶帯同階級優勝のジャクソン・ソウザ（チェッキマット）が出場する。このソウザ、上述のファイブ・グラップリング・インビテーショナル大会では準優勝に輝いている。それも優勝者コーネリアスとの直接対決ではポイント差なしの惜敗、それ以外は全勝しており、これまた黒帯の部初出場初制覇の可能性は高そうだ。
スーパーヘビー級には、米国が誇る元世界王者ラファエル・ロバト・ジュニア（ヒベイロ柔術）がエントリーしている。昨年はブラジレイロの無差別級を制し、ADCC本戦でも準優勝と好調を維持しているロバト・ジュニア。2014年はまずヨーロピアンを制して幸先の良いスタートを切りたいところ。なお、一番弟子の若手黒帯ジェームズ・プオポロ（ロバト柔術）も同階級にエントリーしており、師とのワンツーフィニッシュを狙う。
このロバト師弟に立ちはだかるもう一人の強力な優勝候補が、ラガルト（※トカゲの意）ことルシオ・ホドリゲス（チーム・ラガルト）だ。ガンを克服して復帰した後、11年に本ヨーロピアン選手権とアブダビプロ柔術を制覇した英雄ラガルトだが、一昨年、昨年のこの大会は準優勝に終わっている。イギリスに拠点を置き、ビザの問題により米国で開催される世界選手権には出られずにいるラガルトにとっては、この大会こそ最高峰の舞台だけに気合いが入る。
ウルトラヘビー級は、昨年度の優勝者アレキサンダー・トランス（チェッキマット）と、準優勝者のホドリゴ・カヴァカ（ズィニス柔術）の両者がエントリーしている。去年はトランスがパスガードを決めて勝利しているが、昨年チェッキマットを離脱して自身のチームを発足したばかりのカヴァカとしては、ここで是非雪辱を果たしたいところ。
なお、本大会は当然のようにヨーロッパ各国から選手が参加しており、隠れた柔術王国ポーランドからは、同国柔術界のパイオニアであるピョートル・バジンスキ（カイオ・テハ・アソシエーション）が黒帯マスター3、ミディアムヘビー級の部に参戦する。このバジンスキはFILA主催の世界グラップリング選手権の常連でもあり、同大会において日本初の世界王者となったタカ・クノウこと久能孝徳（チーム太田章）とも凌ぎを削り合っている（2010年には敗戦。2013年には勝利）。このような、米国やブラジルではなかなか見ることのできない選手が登場するのも、この大会の大きな魅力といえるだろう。
