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【JBJJF】第10回全日本キッズ選手権に53名のKIDsを送り込む鶴屋浩 「強さより礼儀作法」

Paraesra chiba KIDs【写真】ONEや修斗でチャンピオンを育て続けている鶴屋代表だが、キッズには柔術を強くなることよりも柔術を通しての人間形成が重視している (C)TUSBASA ITO

24日(日)、東京都練馬区光が丘ドームにおいて第17回全日本ブラジリアン柔術選手権と並行して、第10回全日本ブラジリアンキッズ選手権が開催される。大人達に負けじと笑顔あり、涙ありの熱い1日を凄くKIDs柔術家達を率いるパラエストラ千葉の鶴屋浩代表にキッズ柔術のあり方を尋ねた
Text by Takao Matsui


キッズ王国を築きつつあるパラエストラ千葉の鶴屋浩代表は、全日本キッズに子供たちの53名も参加させる。彼のキッズ柔術家への指導方法は、じつに正攻法で真っ当といえるものだった。

「私は、子どもたちに強さよりも礼儀作法を重視させています。練習では元気に挨拶して、正座、黙想から始めて、感謝の言葉をかけるようにさせています。試合でも、対戦相手はもちろんのこと、相手の先生にも挨拶して、畳に一礼。そして、お父さん、お母さんにキチンとお礼を述べるようにしなさいと指導しています。それが本当の金メダルなのだと。勝ち負けよりも、人間として大切なことがありますから」

かつては他流派への挑戦を続け、武闘派でも知られた鶴屋代表は、今や4人の父となり当時とは違たった厳しい表情でこう語る。この言葉、字面だけ見ると厳しい道場のようにも思えるが、実際はその逆だ。見事に明るく楽しい雰囲気をつくり出している。

「最初は私の子ども4人に、楽しみながら覚えるような感じで柔術を教えていたんです。でも、次第に友達とかが次々と始めて増えていきました。松戸道場で週2回、柏道場で週2回のクラスがあるんですが、両方とも出て週4回通う子どもたちが増えていったんです。クラスでは、いきなり柔術をやるのではなく、マット運動をやったり、お尻タッチゲームといった遊び感覚の動きを取り入れるようにしています。最初は怖がる子もいますので、参加しやすいように工夫しています」

楽しみながら、礼儀作法を学ぶ。キッズ人口が増えていくのは、必然なのかもしれない。

「最初は基本しか教えません。ベリンボロとか流行りの技は、メニューに入れていません。大人もそうなんですが、どうしても流行りの技に走りたくなるんですよね。でも基本が中抜けしてしまうと、簡単に崩れる危険性もあります。どんな競技でもそうだと思いますが、基本がしっかりしていないと試合では勝てなくなるものです」

基本を重んじる鶴屋代表だが、結果は求めないと言う。負けてしまっても怒鳴るようなことも、決してしない。もしも怒ることがあるとすれば、それは人間として礼儀作法が出来ていない時だと語る。一本の筋が通っている指導法で、手本となるチャンピオンが次々と生まれれば、柔術界に大きな影響を与えることになるかもしれない。全日本キッズも、全日本選手権と並んで注目を集めそうだ。

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