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【UFC80】天才、遂に頂点へ!ミルコを倒した男も出場

 (C) ZUFFAいよいよ今週末、19日(土・現地時間)に迫ったUFC80「ラピッドファイアー」では、英国ニューカッスルのメトロラジオ・アリーナでUFC世界ライト級王者決定戦BJ・ペン×ジョー・スティーブンソンがメインで行われる。

【写真】ついに天才の腰にUFC世界ライト級のベルトが巻かれるか? (C) ZUFFA

全9試合中、米国人出場選手はメインの2名を含めても僅か7名。その他はブラジル人が3名、北アイルランド、フランス、オランダ、イタリア、スウェーデン、カナダが1選手ずつ、地元英国勢が2名という陣容になっており、まさにUFCが第二の基盤を置こうとしている欧州仕様のPPV大会といえるだろう。


最大の注目はなんといっても、メインのライト級王座決定戦。昨年7月に前王者ショーン・シャークがエルミス・フランカを相手に王座防衛を果たした後、カリフォルニア州アスレチック・コミッションからステロイド使用で1年間のサスペンドを受け、これに抗議。その後、サスペンドは半年に軽減されたが、ズッファではステロイド使用の判断が覆らなかったため、1月の第1週には出場停止期間が終了しているが、シャークの王座を剥奪し、今回の決定戦という運びとなった。

もっとも、今もシャークはコミッションの裁定に納得しておらず、ズッファ・サイドも心情的には悪名高き加州アスレチック・コミッションの判断よりも、シャークの物言いを支持しており、新王者はいわば統一戦とでもいうべきシャークとの防衛戦が予定されているという。

そんなオクタゴン外の話題が豊富なライト級王者決定戦だが、オクタゴンの中はオクタゴン外のごたごたを感じさせない、戦いになることは間違いない。

昨年6月にライト級再転向を果たし、仇敵ジェンス・パルヴァーを倒したBJ・ペンにとって、この王座は実に6年越しのターゲット。今も昔も実力ナンバーワンの称号を持ち続けているペンだが、2002年1月のパルヴァーへの挑戦ではまさかの判定負けを喫し、2003年2月に行われた宇野薫との王座決定戦でもドローに終わり、その後ウェルター級に転向した形になっている。

2000年7月、ブラジル人以外で初めてブラジリアン柔術世界大会の黒帯で優勝するなど、寝技の強さは絶対的なBJ。加えてパンチの的確性、卓越したテイクダウンの技術、柔軟なヒザを利用した数々のテクニックを有しており、天才の異名にふさわしい実力者だ。

対するジョー・スティーブンソンは、17歳のときにプロMMAデビューを果たした25歳のベテランファイター。デビュー当時はふっくらとした体型でミドル級で活躍し、同時にグラップリングの大会でも実績を残してきた。UFCはTUF2で優勝しデビュー、06年4月にジョシュ・ニアーに破れライト級転向を果たすと、日本の三島☆ド根性ノ助を2分7秒で破るなど、4連勝中だ。

BJの相手の隙をついて要所要所で効果的な動きを見せる寝技に対し、タックルに合わせたギロチンチョークが有名なスティーブンソンだが、実はアグレッシブに動き続けるタイプのグラップラー。スタンドの打撃はBJに部があるものの、スタミナではスティーブンソンという見方もあり、かなりの接戦になる可能性も高い。

BJ×シャーク戦をライト級最高峰の戦い――とする見方に、スティーブンソンが意地を見せるか。非常に楽しみな王座決定戦だ。

セミのブラジル人同士のヘビー級の一戦ガブリエル・ナパォン×ファブリシオ・ベルドゥム戦は、2月に決定するヘビー級新王者への挑戦権を賭けた一戦と目されている。

昨年4月にミルコ・クロコップをKOし一躍名を馳せたナパォンが、英国に最上陸。一方のベルドゥムはそのミルコの寝技の師だったこともある。さらに純粋な柔術家だったナパァオンが打撃の技術向上のために一時期属していたシュートボクセに、現在はベルドゥムが属しているという因縁浅からぬ両者。ナパォンの打撃の強さが浸透したため、そのイメージ以上のストライキング・スキルを見せない限り、寝技の技術で上回るベルドゥムがやや有利な一戦と思われる。

アンダーカードで注目されるのは、やはり欧州勢ではなくPPV中継に出場する北米を本拠地にするファイターだろう。

第6試合のライトヘビー級に出場するウィルソン・ゴヘイアは、ATT所属のブラジル人ファイター。MMA戦績こそ9勝4敗と平凡に映るが、その潜在能力は極めて高い。JZ・カルバンやデニス・カーン、マルコ・アウレリオを擁するATTで、フィジカル・コーチを務めるアンドレ・ヴィニシウスによると、「天才肌特有のムラッ気がなくなり、精神的にも充実。練習嫌いもなくなり、その真価を発揮するときが来た」と絶対の自信を持ってUFCライトヘビー級タイトル戦線に送り出す。ライトヘビー級でありながら、トレーニングでは打撃+寝技でアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラを圧倒するというゴヘイア――、リョートが輝きは放ち始めたライトヘビー級で、どこまで存在感を示すことができるのか、試金石のファイトとなる。

忘れてならないのが、PPVオープニングマッチに出場するケンドール・グローブの復帰戦だ。TUF3で優勝、UFC3連勝とミドル級で確実にキャリアアップさせてきたハワイ出身の長身のファイターは、昨年8月のパトリック・コーテ戦でよもやのKO負けを喫し、足踏みを強いられている状態。その間、アンデウソン・シウバが独走していたUFCミドル級戦線にPRIDE二冠王=ダン・ヘンダーソンが割り込み、さらにはヒカルド・アルメイダ、エヴァン・タナーらが復帰し、タイトル挑戦への道が厳しい状態になってきた。ズッファにしても、ここで強いインパクトの勝利が欲しいからこそ――のグローブのPPVオープニング登用。明確な勝利が必要となる。

■UFC80「ラピッドファイアー」対戦カード

◆UFC世界ライト級王座決定戦
BJ・ペン(米国)
×ジョー・スティーブンソン(米国)

◆ヘビー級
ガブリエル・ナパォン・ゴンガザ(ブラジル)
×ファブリシオ・ベルドゥム(ブラジル)

◆ウェルター級
イェース・ローダン(フランス)
×マーカス・デイヴィス(米国)

◆ライトヘビー級
ウィルソン・ゴヘイア(ブラジル)
×ジェイソン・ランバート(米国)

◆ミドル級
ホルヘ・リベラ(米国)
×ケンドール・グローブ(米国)

◆ヘビー級
アントニー・ハードンク(オランダ)
×コリン・ロビンソン(北アイルランド)

◆ウェルター級
ポール・ケリー(英国)
×ポール・テイラー(英国)

◆ライトヘビー級
ジェームス・リー(米国)
×アレッシオ・サカラ(イタリア)

◆ライト級
ペル・エクルンド(スウェーデン)
×サム・スタウト(カナダ)

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