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【New Era APmma】フィリピン&KL、エリック・ケリー(02)

Eric Kelly

【写真】 昨年8月にジェンス・パルバーをTKOで下しているエリック・ケリー。(C)MMAPLANET

急激に成長を遂げるアジア太平洋のMMA。MMAPLANETでは、「New Era APmma」としてアジア太平洋地区のファイター、関係者のファイターを紹介していきたい。

第3弾はマレーシアのクアラルンプール在住、フィリピン人ファイターのエリック・ケリー。ホノリオ・バナリオに敗れ負傷療養中のケリーが、フィリピンという国の可能性、そして自身のキャリア、さらに未知のヤウヤン・キックボクシングについて語ってくれた。

<エリック・ケリー インタビューPart01はコチラから>

――ジェンス・パルバー戦を初めエリックの試合を見ていると、常に力強いフィリピン勢にあって凄くソフトに戦うことができる。試合に強弱がついているように感じていたのですが、バナリオ戦はそのような事情があって別人のようなファイトになってしまったのですね。

「パルバー戦は僕自身がファイトを楽しめた。それだけの準備ができていたからね。ただ、バナリオ戦は違った。練習を十分にできなかった」

――お金が必要で戦っても、そこで新たに負傷すると、またお金を得る機会を失ってしまいますよね。

「その通りだよ。あの敗戦で、そこも学んだ。良い経験にしたいと思う。試合は勝つこともあれば、負けることもある。ずっと勝ち続けることはできないし、負けた経験を将来の自分にしっかりと生かしていきたい。運よく、手術の必要はなかったけど、あと1カ月ほど打撃のトレーニングはできないから、今はグラップリングやフィジカルの練習に精を出している。まだ、パンチを顔面に受けるわけにはいかないんだ(笑)」

――では5月31日に予定されているOFCのフィリピン大会で凱旋帰国というのは無理そうですね。

「難しいね。でも、試合を組もうと言われると、きっと戦うんだろうけどね(笑)」

――さきほどと言っていることが違うじゃないですか(笑)。

「分かっているよ(笑)。ケガを直すことが一番大切だからね」

――ところで今、エリックはここマレーシアのクアラルンプールにあるムエフィットで指導も行っていますが、マレーシア人ファイターのポテンシャルをどのように感じていますか。

「マレーシアの人々はMMAに凄く興味を持ち始めた。彼らは金銭的に僕らのような状況にない。それでも戦いに興味を持っている。普通に生活ができる人達が、MMAで戦うことに興味を持っているんだ。

マレーシアはフィリピンよりも豊かだ。何よりも、多くの人が職を持っている。フィリピンでは仕事がしたくても、その職を持てない人間が多いんだ。僕の国よりもマレーシアは治安が良いよね。でもね、僕の国だって本当に良いところなんだよ」

――日本企業でも海外に出たがらない日本の若い世代の仕事を担えるよう、工場労働者ではなく幹部として、フィリピンで人材を養成し始めたところもあるようです。

「フィリピンは経済成長もしている。ただね、政治的にいろいろとあるから、海外から投資してもらうことに関しても難しい面があるんだ。まずは、政府との交渉が控えている。今ではだいぶ良くなってきたようだけどね」

――日本を始め、中国、韓国、シンガポールとアジアで経済的に豊かな国は少子高齢化が顕著になっているなか、フィリピンは若い世代の人口が多く、しかも英語が話せるという強味があります。

「そう、僕らはみな英語を話すことができるし、これからもっと発展していく可能性を持っている。大学に行って、英語を学ばなくても、多くの人間が英語を話せるからね」

――なるほど。フィリピンという国の将来性はここまでにして、エリック・ケリーというファイターの将来に話題を移しましょう(笑)。

「今はケガを直しつつ、次の試合のオファーを待っているところだ。どんな対戦相手と戦えといわれても、僕は応じる。できれば、ハイレベルなファイターと試合がしたい」

――バナリオへのリベンジは?

「もちろん、リベンジは果たしたい。でも、すぐというわけにはいかないだろう。OFC次第だよ」

――OFCはアジア最大のプロモーションへと成長しましたがエリック自身、東南アジアを飛び出して戦いたいという気持ちは?

「もちろん、日本でも米国でも戦いたい。米国はいうまでもなく、僕の階級には日本にも強い選手がたくさんいる。そんなMMAが発展した国で、僕の力が通用するか試したいという気持ちは当然持っている。逆をいえば、日本や米国で戦わないと僕のレベルが分からない(笑)」

――OFCでは日本人ファイターや米国人ファイターも招聘しています。

「アオキやカワジリ、ボクがOFCで試合をしているしね。レベルの高いファイターたちだよ」

――エリックが日本のトップファイターと戦う日を楽しみにしています。

「サンキュー・ベリーマッチ」

――ところでエリックの以前から一つ、尋ねたいことがあったのですが、エリックがトレーニングしていたヤウヤン・キックボクシングとは、どのようなキックなのでしょうか。

「僕は確かにヤウヤン・キックボクシングの代表として試合に出場していたことがある。でも、練習したことはないんだ(笑)。ヤウヤンという人がキックに自分の名前を付けたような感じで、まぁ一つの流派、ジムのようなもの。技術的には特別なものはなく、キックでありムエタイだよ。そのジムをスポンサーの一人が、僕のスポンサーでもあったから、ヤウヤン・キックの代表として戦ってほしいと頼まれて戦っていたんだ(笑)」

【Bio】
1982年4月30日、フィリピン・バギオシティ出身。
MMA戦績10戦9勝1敗。ムエフィット所属、フェザー級

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