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【ADCC2015】神の階級、注目はゲイリー・トノン。88キロ級では、やはりキーナンが気になる

Garyy Tonon【写真】【写真】IBJJF系柔術で結果を残す強豪が揃う77キロで、楽しみなのがゲイリー・トノンだ (C)POLARIS

28日(金・現地時間)から30日(日・同)にかけて、ブラジル・サンパウロのジナーシオ・マウロ・ピンヘイロにてアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の、世界サブミッション選手権が行われる。2年に1度、世界最高峰の組業師たちを集めて行われるこの大会。今年もグラップラーの祭典と呼ぶに相応しい強豪たちが集まった。各階級ごとの見所・第2弾は77キロ&88キロ以下級の模様を紹介したい。

【77キロ以下級】

Otavio Souza前回大会ではクロン・グレイシーの全試合一本勝ちによる完全優勝という、後世まで長く語り継がれる出来事を生んだこの階級。それ以来MMAに専念することになったクロンの姿がない今年度だが、前回クロンに敗れた選手たちを中心に、神の階級と呼ぶにふさわしい実力者、結果を残してきたグラップラーが揃った。

まずは、前回準優勝のオターヴィオ・ソウザ。前回大会の決勝では消極的なスタンド戦を展開し、クロンの父ヒクソンにニワトリ(=「チキン」)の声色をされてからかわれ、それに動揺したかタックルを仕掛けた所でギロチンをもらってしまった。ギあり大会では優勝も、レアンドロ・ロの厚い壁に阻まれて2位止まりの印象が強いだけに、期するものは大きいだろう。

同じ意味で、前回準決勝でクロンの腕十字の前に敗れたJT・トレスの活躍にも期待したいところだ。数年間世界トップの地位を維持しながらも、世界柔術、ADCCといったビッグタイトルには恵まれない万能型柔術家、トレスの悲願達成なるか。

Durinhoさらに、UFCでも無敗を誇る元柔術世界王者、ドゥリーニョことジルベルト・バーンズの参戦も楽しみなところ。彼もまた、クロンとはギありでライバルとして勝ったり負けたりを繰り返した選手だ。

また昨年&今年と、圧巻のパスガード力で世界柔術を制覇したルーカス・レプリのエントリーも見逃せない。ギあり柔術ではライト級で戦うレプリと、ミドル級世界最高峰柔術家ソウザ、JTらとの闘いが実現すれば夢の組み合わせだ。さらに、スーパーヘビー級の強豪達の腕や足を一瞬で破壊する驚異の極め力を誇るダヴィ・ハモスも参戦、ブラジルの超強豪柔術家が勢揃いといった様相だ。

しかし、そんな彼ら以上に注目の存在と言えるのが、前回二回戦でクロンと戦ったゲイリー・トノンだ。完全に極まったかに見えたクロンの腕十字を凌ぎ、前方回転からバックを奪い、父ヒクソンですら絶望的な表情を見せるまで追い込んでみせたトノンは、この試合でその名を世界に轟かせた。その後トノンは、破竹の勢いで快進撃。ヒールを中心とした強烈無比な極めの強さで、サブミッション・オンリー大会を席巻している。

先月の5グラップリング大会のスーパーファイトでパウロ・ミヤオを倒してみせたトノンが、ソウザやJT等相手にどのような闘いを見せるのか。66キロ級のカミングスやマルティネスと並んで、サブミッション・オンリー世代がADCCに吹き込む新しい風に期待したい。

またこの階級には、元UFCライト級王者のベンソン・ヘンダーソン、ディロン・ダニス、エンリコ・コッコ、AJアガザーム等活きの良い米国勢が大挙参戦。彼らと世界トップ勢のぶつかり合いも非常に興味深い。

【88キロ以下級】

(C)METAMORIS

(C)METAMORIS

前回優勝者のホミーニョことホムロ・バハウ、準優勝のラファエル・ロバト・ジュニア、3位のキーナン・コーネリアス、4位のパウロ・ポポビッチと、前大会の4強が全員エントリーしているこの階級。その中で一番注目は、新世代の旗手コーネリアスだろう。

前回準決勝でホミーニョ相手に終始下から攻撃を仕掛けつつも、引き込みのマイナスポイントを挽回し切れずに敗れたコーネリアス。その後ギありで新技術ワームガードを世界に公開し、さらにその発展系をいくつも開発。そのギ無しバージョンまで披露し、まさに柔術技術開発の世界最先端を行くこの男だが、なぜかまだビッグタイトルには恵まれていない。今大会では並み居るベテラン勢相手にどのような闘いを見せてくれるのか、そして若き天才が世界の頂点に立つ姿がついに見られるのか、刮目したい。

もう一人の注目株としては、このコーネリアスに昨年のノーギパンナムの決勝戦で対戦、鬼気迫る闘い振りで終始攻撃を続けてテイクダウンとスイープを極めて完勝したユーリ・シモエスを挙げたい。闘いに集中する精神状態ができたとき、恐るべき強さを発揮することを証明したシモエス。あの時の集中力を発揮できれば、ギ無しでの世界制覇の可能性は大きいだろう。

また、今年の世界柔術ミドル級で初優勝を果たしたクラウジオ・カラザンスもこの階級にエントリー。柔道に加えレスリングの経験を持ちテイクダウンに自信を持つカラザンスにとって、引き込みがマイナスポイントとなるこのADCCルールは有利なものといえる。体格差のハンディを超えた活躍を期待したい。

日本からは5月の予選を勝ち抜いた三原秀美が、10年振りに出場する。大物だらけの同階級、初戦を乗り越えた時点で偉業といえる。

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