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【UFN71】二転三転ヤヒーラ戦に向け、金原正徳<02>「負けて『次、頑張る』という年齢でない」

Masanori Kanehara【写真】自らの城、ALPHAジムの面々と金原(C)MMAPLANET

15日(水・現地時間)、カリフォルニア州サンディエゴのヴァレービューカジノ・センターで開催されるUFN71「Mir vs Duffe」でハニ・ヤヒーラと対戦する金原正徳インタビュー第2弾。

MMAPLANETではヤヒーラ戦がサンパウロからフロリダに変更された5月13日にひかりTVのUFC中継の収録を行っていた金原にインタビューを試み、さらに出場延期を受けて6月末に2度目の取材を敢行した。

今回はフロリダで戦うつもりだった金原、サンディエゴに日程がずれ込んだ金原とタイムラグ・インタビューを掲載したい。金原が如何に逆境に強いかが、図らずとも明らかとなる。

<金原正徳インタビューPart.01はコチラから>

──やはりハニは寝技が強いということで柔術を強化すると。

「寝技が強いというのは当然としてあって、がんばり屋さんですよね。ハードワーカーです。レスリングが凄く強いわけでもないし、打撃が凄く良いわけじゃない。スタミナも凄くあるということもない。それでも思い切り打って、入って組む。ダメなら引き込んでハーフっていうように、ずっと動き続けています。スタミナが切れても、止まることはない。頑張って一本を取る。そういうイメージの選手です」

──ランカーでなくても、しっかりと強い。

「ランカーかランカーでないかというよりも、こういう相手にしっかりと勝たないといけない──という相手です。寝技が本当に強い選手なので、自分の寝技がどこまで通じるのか。テイクダウンをされると、立てない選手が多い。そんなハニを相手に自分の寝技を試すことができるという楽しさがある一方、自分も年齢が年齢なので、こんなところで負けていたら上なんて見えないという気持ちでいます。正直、これからメチャクチャ強くなる自信なんてないですし。自分を試す、良いテストになると思っています」

──寝技の展開で力を試したいとのことですが、寝技を封じ込むという選択肢もあるかと思います。

「僕の長所は何でもできること、なんです。だから相手の弱いところで勝負ができる。ハニと純粋な寝技勝負をすると向こうの方が強いかと思います。ただ、そんなことをするのもどうかと。上から削って削って、最終的に寝技で勝負できていれば、それで良しとしています。寝技といっても、MMAのなかでの寝技勝負と考えています」

──それにしてもUFCのバンタム級では水垣選手に勝ったアルジャメイン・ステーリング、トーマス・アルメイダなど無敗の若い選手の台頭が目立っています。

「ホントにソレは思います。最近まで名前を知らなかった選手が、チョット試合を見てみると本当に強い。本当の実力者という感じで……。だからこそ、ハニ戦は落とせない。もちろん、落として良い試合なんてないのですが、負けて『次、頑張ります』っていう年齢ではないので。ここをクリアーして、どんどん上を目指さないといけないです」

──次という話はするべきではないのは、百も承知していますが──9月に日本大会があります。

「う~ん、日本云々でなく6月の次が9月というのはきついです。それに次の試合が終わってもいない、戦ってもいないのに『日本大会に出たい』と軽々しく僕の口からは絶対に言えないです。本当に1試合、1試合、命を懸けてやっているので。全てを削って」

──ということを考えると、本当にブラジルでなくて良かったと思います。代役での日本デビューで、対戦相手がユライア・フェイバーからアレックス・カサレスに代わり、今度はブラジルではなくなった。金原選手は持っているな、と。ただし、それまでのことがあったから、持てるようになったかと思います。

「いや、ホントにそういう風に思っていないと、やっていけんスよ(笑)。それ以前のことなくて、『ラッキーだね』なんて言われると、お前が何を知っているんだって言いたくなります(笑)。とにかく試合まで1カ月チョイ、しっかりと対策を練って頑張ります」

このように語っていた金原だが、この後、ビザが取得できないという問題が発生し、試合は当初の予定より約3週間遅れてでサンディエゴに場所を移して組まれることとなった。フロリダには前乗りして調整予定だったが、再び全てをリセットしてヤヒーラ戦に取り組むこととなった金原。6月29日、改めて彼の話を訊くためにALPHAを訪ねた。

──二転三転、日付と場所が変わりサンディエゴで7月15日にハニ・ヤヒーラと戦うことが決まりました。

「まず、6月27日にそのまま試合が行われることを前提に、全てを進めていました。同時に『なければなくてしょうがない』という気持ちでもいました。ただ、本格的に減量も始まるし、練習量も落とすことになる時期になってきたので、あるのか、ないのかハッキリして欲しかったです。

やっぱり練習量を落としたくないですからね。減量が厳しくなってくると、集中力も落ちて練習もきつくなってくる。そうしたらケガをする確率も高くなるので。延期になるならなるで構わないから、早く教えて欲しいって感じでいました。その時点で、ビザが間に合わないとサンディエゴにずれ込むというのも聞いていたので」

──ハッキリしたのはいつぐらいでしたか。

「19日の朝ですね。起きたら携帯にマネージャーから電話が入っていて。そこから食事の量を増やして、体を戻しました。土曜と日曜をゆっくり過ごし、月曜日からまた動き始めたという流れです」

──一度、追い込みを済ませていたわけですね。その頃になると、もう15日で良いという風にはならなかったですか。

「そうですね。27日にあるにこしたことはないのですが、マイナス面ばかりを考えてしょうがないので、ポジティブにもう一度追い込める。もう一度、ヤヒーラ対策ができる。もう一度、調整しなおせるからラッキーなんだと、ポジティブに考えるようにしていました。

フロリダには結局、高野優樹と徳留一樹と行くことになり、2日ほど早く入ってブラックジリアンで調整させてもらうことも決めていたんです。会員さんも試合がなくなったことで、フロリダ行を取りやめていました。ブラジル、フロリダと連続キャンセルで、サンディエゴに来てくれる人はいなくなってしまいました……。

徳留だけ今ブラックジリアンで練習していて、サンフランシスコのギルバート・メレンデスとシーザー・グレイシーの所に移動し、試合前にサンディエゴで合流します(笑)。一樹は7月いっぱいまで米国で練習するようです」

──練習に関しては、試合が延びたことで変化はありましたか。

「実は尻に膿がたまって、暫く練習できなかったんです。お医者さんも『これ、試合がズレて良かったかもしれないね』って言っていました。そういう意味では、まだラッキーは続いているかもしれないです。ただ、7月になるとメディカルが厳しくなったり、コスチュームがリーボックになりスポンサーをつけられなくなる。色々と環境が変わってしまうので……」

<この項、続く>

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