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【WJJC 2015】世界柔術決勝リポート<06 >ヘビー級Part.02、シャンジ・ヒベイロ7年振りに頂点へ

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Xande【写真】シャンジ・ヒベイロが8年振りに世界の頂点を目指したルーカス・レイチを破り、7年振りに優勝を果たした(C)MMAPLANET

5月28日(木・現地時間)より31日(日・同)にて、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア州立大ロングビーチ校内ピラミッドで、IBJJF主催World Jiu-Jitsu Championship=世界柔術選手権が行われた。今年の競技柔術世界一を決めるこの大会、第6回はフィジカル、モダン、クラシック+進化系、そして小よく大を制すといった柔術の持つ魅力を余すところなく垣間見らえたヘビー級の模様、その後編として残りの準決勝から1試合と決勝の模様をレポートしたい。

Semi Final<ヘビー級準決勝/10分1R>
シャンジ・ヒベイロ(ブラジル/ヒベイロ)
Def. by 6-0
ジャクソン・ソウザ(ブラジル/チェッキマット)

もう一つの準決勝もまた新旧対決。2年振りに世界柔術に戻ってきた2006&2008年無差別級世界王者シャンジ・ヒベイロと、チェッキマットの新鋭ジャクソン・ソウザの一戦だ。前半、柔道を得意とするシャンジは背負いや肩車を仕掛けてゆくが、ソウザも譲らず。

中盤になってシャンジがクローズドガードに引き込むと、立ち上がるソウザ。ソウザにぶら下がる形となったシャンジは、ゆっくり時間をかけてソウザの右手を自らの右手で捕らえるクロスグリップを作ると、左腕をソウザの右足に内側からフックしてバランスを崩す十八番のスイープに。ソウザは倒れずに座り込むが、右腕を深くクロスに流されてしまった状態に。この右腕を引きつけ続けたシャンジは、腰をスピンさせて角度を付けるとソウザのバックに登ってゆく。ここで上下が入れ替わって2点入り、さらにシャンジがバックでの両足フックを完成させてさらに4点追加してみせた。

最後までこのポジションをキープしたシャンジが、6-0で完勝。若手成長株のソウザに対して、グリップを作ってのスイープからアームドラッグ、そしてバック取りと、時間をかけて確実に一つ一つ手順を踏んで優位なポジションを奪ってみせたシャンジ。ソウザとしては、おそらく次に何が来るかの予測はできていただろうが、それでもその進行を止められなかったシャンジの連続技の完成度の高さは圧巻と言える。大ベテランが、これまで磨き上げた技術の凄みを十二分に見せつけた一戦だった。

Final 01<ヘビー級決勝/10分1R>
シャンジ・ヒベイロ(ヒベイロ)
Def. by 4-2
ルーカス・レイチ(チェッキマット)

レイチは07年、シャンジは04~06、そして08年の世界王者。成長著しい若手を制したベテラン同士による決勝戦が実現した。試合開始早々、引き込み合う両者。ここで上を選択したレイチは、片足担ぎからのパスを狙ってゆくが、シャンジも得意の片襟を取る姿勢で譲らない。中盤に入った頃、シャンジがレイチの襟を対角線に引くカラードラッグを狙い、嫌がったレイチが重心を後ろに下げたところで起き上がって2点先制。さらにバックを取りにゆくも、ここはレイチもタックルを仕掛けるようにスクランブルし、両者は場外へ。

Final 02スタンドでのリスタートとなると、シャンジがタックル。これを腕を伸ばして距離を取ったレイチは、次の瞬間引き込みに成功。十八番のハーフガードを作って脇を差すと、後転してあっという間にスイープを決め、同点に追いつく。

さらにパスを狙うが、シャンジは基本通りのエビでしっかり戻す。レイチはそれでも片足担ぎで煽ろうとする。と、シャンジはレイチのバランスが不安定になった瞬間を見逃さず、逆に起き上がってスイープを決め4-2と再びリードする。

下になったもののXガードの体勢を作ったレイチは、そのままシャンジの片足を抱えたまま立ち上がろうとするが、シャンジは素早く立って振りほどきにかかる。それでもしつこく付いてゆくレイチはまたしても脇を差してのハーフガードを作ることに成功。ここからスイープを狙うが、シャンジはウィザーで防御。もう一つの手でレイチの頭を押さえつけると、距離を取って離れることに成功した。

残り約2分でのスタンド再開。ポイントは4-2でシャンジリードだが、アドバンテージを一つ取っているのはレイチの方。どちらが先に引き込んで下を作るかが勝負の分かれ目として注目される場面にて、両者が同時に引き込み。ここで上から攻める選択をしたのは、ポイントで負けているレイチの方だった。レイチはハーフで胸を合わせて両脇を差し、アドバンテージを二つ追加すると、さらに腰を切ってパス狙い。

Final 03さらに絡まれている足を取ってパス成功、と思いきやシャンジはうつ伏せに。残り1分を切ったところでレイチは背中に付くが、バック防御の名手のシャンジは両足フックを完成させない。

ならばとばかりにレイチはシャンジの襟を掴んでのチョーク狙い。しかし、強固なディフェンスを誇るシャンジは涼しい顔。最後はシャンジのセコンドで実兄サウロ・ヒベイロが大声でカウントダウンをするなか、試合終了。と同時にサウロによる歓喜の絶叫が場内に響いた。

08年に階級別と無差別を制して当時の世界最強の柔術家の座に君臨して以来、2012年の準優勝が最高位だった34歳のシャンジが、今大会で見事に復活。準決勝、決勝で決め手となったスイープや最後の守りなどは、「モダン柔術」登場以前、ホイラー・グレイシーの弟子らしく盤石の防御を誇った上で、兄サウロとともに独自の技術を編み出し一時代を築いたベテランの妙味が十二分に発揮されたものだった。

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