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【PXC47】フェザー級王座に挑戦矢地祐介 「キムは俺と戦いたくないんだと思っていました」

Yusuke Yachi【写真】プロ仕様以前、本人はあまり見せたくない──可愛らしいヘアスタイルの矢地祐介(C)MMAPLANET

13日(金・現地時間)、グアムのUOGカルボ・フィールドハウスで開催されるPXC47。同大会でPXCフェザー級王者キム・ジャンヨンに挑戦することが決まっている矢地祐介。

なかなか正式決定に至らなかった王座挑戦、その裏事情や王座への思い。そして、米国でのトレーニングに身につけた自信を語ってくれた。


──3月13日、PXCでキム・ジャンヨンの持つフェザー級王座挑戦が決まりました。なかなかGOサインが出なかったタイトル戦がようやく決定しましたね。

「去年の10月に本当は試合が組まれていたのが、ここまで掛かってしまって……。アイツが試合をしたくなかったのか、最初は6月にライアン・マルヴィヒルに勝った時に、『次はキムとタイトル戦だ』って言われていて。それが10月だということなので、正式決定じゃないけど、もう準備は始めていたんです。そうしたら、8月にキムがUFCが決まったと聞いたんです」

──ハイ、UFCマカオ大会ですね。

「なら、他の選手と決定戦をする方向で調整するということになったから、そのまま10月に向けて対戦相手が誰になるか分からない状態で、練習は続けていました。そうしたら、9月の終わりぐらいにキムがUFCに出なずにPXCで戦い続けることになったと。『いやいやいや』って言いたいところ、『それはそれで良いから』ということでやっていたんです。そうしたら、キムの方が10月まで時間がないから、1月か2月ならって流れで、ようやく決まったんです(苦笑)」

──いかにもトロピカルなPXCらしい、ダラダラさですね(笑)。

「でも、キムは俺と戦いたくなくて、チャンピオンベルトを持ったまま、あわよくばUFCに引っ掛かったらっていうことなんじゃないかって。凄くムカついていたんです」

──アッ、それはPXCの南国流とは別に、キム・ジャンヨンはキム・ジャンヨンで一度はUFCで戦えることになったのに、マカオ大会で対戦する予定だった人間が出場しなくなったことで、彼の契約もなくなり、10月にはマレーシアの肉親の下に、傷心旅行に行っていたと聞いています。

「エッ、そうなんですか。俺はアイツが嘘ついていると思っていました。それは、それでちょっと、可哀想ですね……」

──腹立たしいモードから、気の毒モードになってしまって戦意に影響はないですか。

「いや、そこはさすがに大丈夫です。試合ですから、戦うだけです」

──私は私で矢地選手がTUF JAPANプランとPXCを天秤にかけているんだと思っていました(笑)。

「俺が、ですか??  いや、もちろんUFCには行きたいですよ。でも、戦績が悪いから声が掛からないのは当たり前だって思うようになったんです。だから、タイトルマッチで勝ってベルトを獲ろうという気持ちでいました。TUFは全然、考えていなかったですよ」

──戦績に関係なく勝てば契約できるのが、TUFですよね? 動向がハッキリしないですが、そこに賭けてくるファイターも少なからずいると思います。

「そうかもしれないですけど、僕はタイトルを獲った方がよりアピールできると思っています。だから、PXCと修斗、二つでタイトルを狙っていたんです。そうしたらPXCでタイトル戦の話がきたので、そっちに勝負を賭けようと思いました」

──修斗はまだ、基本はリングですよね。Uリングの試合はもうケージとは別競技という考えは?

「それはケージなら、ケージで試合がしたいです。本音をいえば。ロープとケージでは、技術体系が違いますからね。でも、試合がないより、あった方が良いという考えを持っている選手も少なくないと思いますよ。俺だって年を取っていっているので、どんどん試合をしたいです。UFCに行けるなら、それは若い間に行けるほうが良いですから。だから、修斗も早くケージ化してほしいです」

──では、8カ月間も試合間隔は空けたくなかったというところですね。

「空けたくはなかったです。ただ、今となっては良い風に捉えています。その間、米国で練習することもできましたしね。良い風に消化しました」

──米国はアリゾナ州に行っていたそうですね。

「ハイ、パワーMMAというジムに行きました。ライアン・ベイダーやCB・ダラウェイがいて、アーロン・シンプソンがヘッドコーチなんです」

──随分と大きな人が多いですね(笑)。

「プロとアマチュア合わせて自分と同じような体格の選手は3人だけでした。2カ月、大きな選手に囲まれていました(笑)。だから割り切って、削り合いとかはできないですけど、レスリングと柔術の技術練習をとことんやり込んだんです。そもそもレスリングの下地がなかったので、技術はたくさん教えてもらえました。アーロンには週に2、3回、マンツーマンで指導してもらえて。壁際とかでなく、普通にレスリングをやっていました。でも、寝技だけなら大きな選手ともスパーリングしていました」

──先日、田中路教選手が米国から戻ってきた『矢地選手が凄く強くなっていた』と話してくれました。

「本当ですか? 自分でも良いターニングポイントになったと実感しています」

<この項、続く>

■ PXC47対戦予定カード

<PXCフェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]キム・ジャンヨン(韓国)
[挑戦者] 矢地祐介(日本)

<PXCウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)
[挑戦者] キム・ハンソル(韓国)

<フライ級/5分3R>
ダレン・ウエノヤマ(米国)
渡辺健太郎(日本)

<ライト級/5分3R>
フランク・カマチョ(北マリアナ諸島)
粕谷優介(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
コートニー・ケイシー(米国)
ヘレン・ヘルパー(英国)

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